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創業融資の受け方|自己資金要件がなくなった公庫と制度融資の選び方

最終更新日:

この記事の要点

  • 日本政策金融公庫の創業融資は、現在「新規開業・スタートアップ支援資金」が中心です。限度額7,200万円、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内、据置期間は5年以内です。
  • 2024年4月1日の拡充で「創業資金総額の1/10以上の自己資金」という要件はなくなりました。ただし公庫は自己資金を重要な要素としており、創業資金に占める自己資金の割合は平均で2割程度です。要件がないことと、自己資金ゼロで借りられることは別です。
  • 自己資金が少ないほど借入が増え、月の返済と必要な売上が上がります。この記事の仮設例では、自己資金をゼロにすると1日に必要な客数が49人から51人に増えます。

条件を知りたい方は公庫の条件、自己資金が気になる方は自己資金の考え方、計画を作る方は返済からの逆算からどうぞ。

創業融資とは、これから事業を始める人や、開業して間もない人が受ける事業資金の融資です。
主な窓口は日本政策金融公庫(公庫)と、自治体・信用保証協会・金融機関が協調する制度融資の2つです。

公庫の創業向け融資は2024年4月1日に拡充され、自己資金の要件がなくなりました。
一方で、公庫の公式資料には自己資金を重視する記述が今も残っています。
要件がなくなったことと、審査で自己資金が見られなくなったことは違います。

この記事では、公庫・信用保証協会・自治体の公式ページで確認できた条件を整理したうえで、
自己資金の額が月の返済と必要な売上をどう変えるかを、仮設例の数字で示します。

日本政策金融公庫の創業融資の条件

公庫で創業時に使う代表的な制度は、国民生活事業の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。
2025年3月に「新規開業資金」から名称が変わりました。
公庫の3つの事業(窓口)の違いは日本政策金融公庫の融資制度で解説しています。

項目 新規開業・スタートアップ支援資金の内容
利用できる方 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方。適正な事業計画を策定し、計画を遂行する能力が十分あると認められることが前提
資金の使いみち 事業を始めるため、または事業開始後に必要な設備資金・運転資金
融資限度額 7,200万円
返済期間 設備資金20年以内/運転資金10年以内(原則)
据置期間 いずれも5年以内
利率 基準利率。女性、35歳未満または55歳以上の方など、一定の要件に当てはまる場合は特別利率
担保・保証人 希望を聞いたうえで相談。創業期の方(新たに事業を始める方、税務申告を2期終えていない方)は原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できる

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
日本公庫スタートアップ支援ポータル「『新規開業・スタートアップ支援資金』に関するお知らせ」
日本政策金融公庫「Q&A(創業支援)」(2026年9月11日確認)。

金利の決まり方

  • 基準利率が原則で、要件に当てはまる場合は特別利率が適用されます
  • 利率は融資制度・お使いみち・融資期間・担保の有無などによって異なります
  • 契約時の金利が最後まで適用される固定金利です
  • 公庫の金利情報ページには、適用日つきで利率が掲載されています(2026年9月11日の確認時点では「令和8年9月1日現在」の表示)。申込時点の利率を必ず確認してください

出典:日本政策金融公庫「金利情報」
日本政策金融公庫「Q&A(創業支援)」(2026年9月11日確認)。
利率は改定されるため、この記事では数値を掲載していません。

2024年4月の拡充で何が変わったか

以前は、新たに事業を始める方や税務申告を2期終えていない方が無担保・無保証人で借りるための仕組みとして「新創業融資制度」がありました。
公庫の2024年4月1日のニュースリリースでは、この仕組み(旧:新創業融資制度)の拡充内容を次のように示しています。
新規開業資金(現在の新規開業・スタートアップ支援資金)を無担保・無保証人で利用する場合の例です。

項目 2023年度 2024年度(2024年4月1日〜)
要件 創業時において、創業資金総額の1/10以上の自己資金があること等 なし
融資限度額 3,000万円
(うち運転資金1,500万円)
7,200万円
(うち運転資金4,800万円)
返済期間 設備資金20年以内
運転資金7年以内(原則)
設備資金20年以内
運転資金10年以内(原則)
うち据置期間 2年以内 5年以内

出典:日本政策金融公庫 ニュースリリース「『スタートアップサポートプラザ』の新設について」別紙(2024年4月1日)(2026年9月11日確認)。
同資料では「2024年4月1日から拡充予定(一部は2024年2月16日拡充済)」とされています。

「新創業融資制度」「自己資金1/10」は改正前の情報です

  • 2024年4月1日:創業期の無担保・無保証人融資を拡充。自己資金の要件はなし、限度額7,200万円、据置5年以内に
  • 2025年3月:「新規開業資金」が「新規開業・スタートアップ支援資金」に名称変更
  • 現在:創業期の方は原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できる

「新創業融資制度を使う」「自己資金は創業資金の1/10以上が必要」と書かれた情報は、2024年3月以前の制度を前提にしています。

「自己資金要件なし」は「自己資金ゼロで借りられる」ではない

要件がなくなったのは申込の条件の話です。
公庫の公式資料を見ると、自己資金は今も計画の実現性と返済の余裕を判断する材料として扱われています。

公庫の資料 自己資金・計画について書かれていること(要旨)
新規開業・スタートアップ支援資金(利用できる方) 適正な事業計画を策定し、計画を遂行する能力が十分あると認められる方
Q&A(創業支援) 自己資金は重要な要素。それ以上に創業計画全体がしっかりしているかが重要。創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度
創業計画書 セルフチェックリスト 自己資金が少なく、借入依存の資金調達計画になっていないかを確認する項目がある
創業の手引(令和8年5月) 自己資金は着実に蓄積することが重要。割合が高いほど借入の割合が低くなり、余裕をもった資金繰りが可能。調達総額に占める自己資金の割合は平均22.9%(2025年度新規開業実態調査)

出典:日本政策金融公庫「Q&A(創業支援)」
同「創業計画書 セルフチェックリスト」
同「創業の手引」(2026年9月11日確認)。

自己資金が少ないと、なぜ計画が苦しくなるのか

理由は単純で、自己資金で賄えない分はすべて借入になり、借入は毎月返す必要があるからです。

  • 借入が増える → 月の返済元金と利息が増える
  • 同じ売上でも → 手元に残るお金が減る
  • 開業後に売上が計画を少し下回っただけで → 返済と生活費を賄えなくなる

後の計算例では、必要資金1,050万円のうち自己資金210万円を用意した場合と、ゼロの場合を比べています。
自己資金ゼロにすると、月の返済元金+利息が30,250円増え、1日に必要な客数は49人から51人に上がります。

創業計画書では「自己資金」と「親族等からの借入」は別の欄

公庫の創業計画書の「必要な資金と調達方法」欄は、調達方法を次の4つに分けて書く様式です。

  • 自己資金
  • 親、兄弟、知人、友人等からの借入(内訳・返済方法を記入)
  • 日本政策金融公庫 国民生活事業からの借入
  • 他の金融機関等からの借入(内訳・返済方法を記入)

返済が必要なお金は、身内から借りたものでも借入の欄に返済方法とともに書く作りになっています。
その返済額は、事業の見通しで手元に残るお金からも差し引いて考えてください。
なお、親族から資金をもらった(贈与を受けた)場合の税務上の扱いは、所轄の税務署へ確認してください。

出典:日本政策金融公庫「創業計画書【記入例】」
同「創業の手引」(2026年9月11日確認)。

自治体の制度融資と、信用保証協会の創業関連保証

制度融資は、自治体・信用保証協会・金融機関が協調して、中小企業が金融機関から借りやすくする仕組みです。
貸すのは民間の金融機関で、信用保証協会が保証します。そのため金利に加えて信用保証料がかかります。
保証の仕組みと保証料の考え方は信用保証協会付融資とはで解説しています。

東京都の制度融資では、都が信用保証料の一部を保証協会に補助することで利用者の負担を軽くしています。
ただし保証料の補助や利子補給があるか、どの程度かは自治体ごとに異なります。
公庫の創業の手引も、都道府県や市区町村の制度融資について、創業予定地の自治体のホームページで確認するよう案内しています。

出典:東京都産業労働局「お申込み条件(東京都中小企業制度融資)」
日本政策金融公庫「創業の手引」(2026年9月11日確認)。

創業関連保証:保証限度額3,500万円、100%保証

項目 創業関連保証の内容
対象 事業を営んでいない個人で、一定期間内に事業開始や会社設立を予定している方、分社化で会社を設立する方、創業後5年未満の個人事業主・会社など
保証限度額 3,500万円(再挑戦支援保証・スタートアップ創出促進保証と合わせた額)
保証割合 100%保証(責任共有制度の対象外)
保証期間 10年以内(うち据置1年以内)
信用保証料率 協会ごとに定める。例:新潟県信用保証協会は年0.80%、埼玉県信用保証協会は年0.90%以内
担保・保証人 担保は不要。連帯保証人は必要となる場合がある

出典:新潟県信用保証協会「創業関係」
埼玉県信用保証協会「創業関連保証」
全国信用保証協会連合会「創業をお考えの方」(2026年9月11日確認)。
対象期間・料率・必要書類は協会ごとに異なります。利用する協会でご確認ください。

通常の保証の多くは、責任共有制度で協会80%・金融機関20%の負担割合です。
創業関連保証は責任共有制度の対象外で、融資額の100%を協会が保証します。
実績のない創業者に金融機関が貸しやすくなるのは、この点が大きく関わっています。

スタートアップ創出促進保証:経営者保証なしの創業保証

  • 2023年3月15日に取扱いが始まった制度です
  • 保証料率を上乗せ(全国信用保証協会連合会の案内では0.2%)することで、経営者が会社の連帯保証人になる必要がありません
  • 対象は会社を設立する予定の個人や、創業後5年未満の法人などです(個人事業のままでは対象外)
  • 保証限度額は3,500万円(創業関連保証などと合わせた額)
  • 税務申告を1期終えていない場合は、創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要です

出典:東京信用保証協会「スタートアップ創出促進保証制度の創設について」
J-Net21(中小企業基盤整備機構)「スタートアップ創出促進保証」
全国信用保証協会連合会「創業をお考えの方」(2026年9月11日確認)。

公庫の自己資金要件はなくなりましたが、保証協会の制度には自己資金の要件が残っているものがあります。
「創業融資は自己資金不要」とひとまとめにせず、制度ごとに確認してください。

例:東京都中小企業制度融資「創業」

  • 融資限度額は3,500万円(既往の融資残高を含む)
  • 融資期間は設備資金10年以内(据置1年以内を含む)、運転資金7年以内
  • 創業支援特例に該当する場合は、融資利率が0.4%優遇されます
  • 自己資金について、東京信用保証協会は「都の制度融資では要件に含まれないケースもあるが、保証審査では事業経験とともに重要な項目」と説明しています

出典:東京都創業NET「東京都中小企業制度融資『創業』」
東京信用保証協会「創業保証について」(2026年9月11日確認)。
東京都以外の制度融資は、名称・限度額・利率・補助の内容が異なります。

公庫と制度融資の比較表

日本政策金融公庫(新規開業・スタートアップ支援資金) 制度融資(自治体+信用保証協会+金融機関)
申込先 公庫の支店。個人は創業予定地、法人は本店所在地を管轄する支店 取扱金融機関や自治体のあっせん窓口など(自治体により異なる)
貸す相手 公庫 民間の金融機関(信用保証協会が保証)
上限の目安 7,200万円 創業関連保証は3,500万円(関連制度と合算)
返済期間 設備20年以内・運転10年以内(据置5年以内 創業関連保証は10年以内(据置1年以内)。自治体の制度によって異なる
コスト 公庫の利率(固定金利) 金融機関の利率 + 信用保証料保証料の補助・利子補給の有無は自治体により異なる
担保・保証人 創業期は原則として無担保・無保証人 担保不要。連帯保証人は必要となる場合がある(経営者保証が不要な制度もある)
自己資金 要件なし(2024年4月1日〜)。ただし重要な要素とされる 制度により異なる(スタートアップ創出促進保証は税務申告1期未了なら1/10以上)
期間 申込から融資決定まで平均2〜3週間程度 自治体・保証協会・金融機関それぞれの手続きがある
取引の広がり 公庫との取引実績ができる 借りた民間金融機関との返済実績ができる

出典:上記の各制度の出典に加え、日本政策金融公庫「よくあるご質問(国民生活事業)」(2026年9月11日確認)。

どちらが有利かは、借りる額・返済期間・自治体の補助の内容で変わります。
据置期間や返済期間の長さを重視するなら公庫
自治体の保証料補助や利子補給があり、地元の金融機関との取引を作りたいなら制度融資、というのが比べるときの軸です。
コストは金利だけでなく保証料を足して比べてください。

創業計画書の要点

公庫の創業計画書は、面談にかかる時間を短縮するために使われる書類で、自分で作成した計画書を代わりに出してもよいとされています。
創業の手引(令和8年5月)に載っている様式は、次の10欄です。

書く内容 公庫のセルフチェックの観点
1 創業の動機 創業の目的・動機 熱意や、創業を志すまでの経緯を書いているか
2 経営者の略歴等 勤務先名だけでなく、担当業務・役職・身につけた技能。取得資格 業務や役職、実績、資格・スキルを書いているか
3 取扱商品・サービス 内容、セールスポイント、販売ターゲット・販売戦略、競合・市場 誰に・何を・いくらで売るか。競合や近隣の状況を調べたか
4 従業員 3か月以上継続して雇用する予定の人数
5 取引先・取引関係等 販売先・仕入先・外注先と、回収・支払の条件 入金や支払いのタイミングを書いているか
6 関連企業 申込人等が経営している企業がある場合
7 お借入の状況 事業・住宅・車・教育・カードなどの借入(法人は代表者個人の借入)
8 必要な資金と調達方法 設備資金(見積先)と運転資金、その調達方法。両方の合計は一致する 見積が適切か(相見積など)。黒字化までの運転資金を検討したか。借入依存になっていないか
9 事業の見通し(月平均) 創業当初と軌道に乗った後の売上高・売上原価・経費・利益と、計算の根拠 計算根拠があるか。経費に漏れがないか。利益から借入を返済できるか
10 自由記述欄 追加でアピールしたいこと、悩み、欲しいアドバイス等

出典:日本政策金融公庫「創業の手引」
同「創業計画書 セルフチェックリスト」
同「創業計画書【記入例】」(2026年9月11日確認)。
様式は 各種書式ダウンロード(国民生活事業) から入手できます。

セルフチェックの観点のうち、最後の「利益から借入を返済できるか」が、計画全体の整合を決めます。
次の章で、この確認を数字でやってみます。

売上予測から逆算する:借入額 → 月の返済 → 必要な粗利(仮設例)

公庫の創業の手引は、収支を次のように整理しています。
返済元金と家計費は経費に含めない点がポイントです。

  • 利益 = 売上高 − 売上原価 − 経費(人件費・家賃・支払利息など)
  • 手元に残るお金 = 利益 − 借入金の返済元金 − 家計費(個人事業主の場合)

売上高については、飲食業などのサービス業で「客単価 × 設備単位数(座席など) × 回転数 × 営業日数」の算式が示されています。
ここでは同じ考え方で、客単価 × 1日の客数 × 営業日数で組みます。

前提(仮設例:カフェを個人で開業)

  • 客単価1,200円、1日の客数60人、月25日営業。原価率30%
  • 経費(支払利息を除く):人件費30万円、家賃20万円、その他15万円 = 月65万円
  • 必要資金1,050万円(設備資金780万円、運転資金270万円)を、自己資金210万円+公庫840万円で調達
  • 借入は年3.0%(仮定)、84回(7年)の元金均等返済、据置なし
  • 家計費は月25万円。減価償却費は現金が出ていかないため、この計算では省略
項目 計算 金額(月)
① 売上 1,200円 × 60人 × 25日 1,800,000円
② 売上原価 ① × 30% 540,000円
③ 粗利 ① − ② 1,260,000円
④ 支払利息(初月) 840万円 × 年3.0% ÷ 12か月 21,000円
⑤ 経費合計 650,000円 + ④ 671,000円
⑥ 利益 ③ − ⑤ 589,000円
⑦ 返済元金 840万円 ÷ 84回 100,000円
⑧ 手元に残るお金 ⑥ − ⑦ − 家計費250,000円 239,000円

支払利息を「借入金 × 年利率 ÷ 12か月」で出すのは、公庫の創業計画書の記入例と同じ方法です。
元金均等返済では残高が減るにつれて利息も減るため、ここでは最も利息が大きい初月の値を使っています。
実際の返済額や利息は、公庫が示す返済予定で確認してください。

逆算:返済と生活費を賄うには、1日何人必要か

計画を立てるときは、売上から順に計算するだけでなく、「返済と生活費を払うと、最低いくら売ればいいか」を逆に計算しておくと、計画の余裕がわかります。

項目 計算 結果
必要な粗利 経費671,000円 + 返済元金100,000円 + 家計費250,000円 1,021,000円
必要な売上 1,021,000円 ÷ 粗利率70% 約145.9万円
必要な客数(1日) 約145.9万円 ÷(1,200円 × 25日)= 48.6人 49人

計画の60人に対して、49人は約8割(81.7%)です。
つまり客数が計画より2割減って48人になると、手元に残るお金は−13,000円になります
(売上1,440,000円 → 粗利1,008,000円 − 必要な粗利1,021,000円)。
創業計画書に売上高の計算根拠を書く欄があり、「1日60人」のような数字の根拠が大切になるのはこのためです。

自己資金をゼロにすると、どう変わるか

同じ前提で、自己資金210万円を用意せず、1,050万円すべてを公庫から借りた場合と比べます。

項目 自己資金210万円 自己資金ゼロ
公庫からの借入 840万円 1,050万円
月の返済元金 100,000円 125,000円
支払利息(初月) 21,000円 26,250円
返済元金+利息 121,000円 151,250円
必要な粗利 1,021,000円 1,051,250円
必要な売上 約145.9万円 約150.2万円
必要な客数(1日) 49人 51人

毎月30,250円、返済の負担が重くなります。
金額だけ見れば小さく感じますが、開業直後に売上が計画を下回ったとき、その差を埋める余裕がそれだけ小さくなるということです。
公庫のセルフチェックリストにある「借入依存になっていないか」という確認項目は、この構造と合わせて読むと意味がわかります。

据置期間を使うと、総利息は増える

据置期間は、一定期間利息だけを払い、元金の返済を後ろにずらす仕組みです。
840万円・年3.0%(仮定)で、月割りの単純計算をすると次のとおりです。

項目 据置なし(84回) 据置1年(その後72回)
最初の1年の支払い 元金100,000円+利息 利息21,000円のみ
据置後の月の返済元金 116,667円
総利息 892,500円 1,018,500円

据置1年を使うと、開業直後の資金繰りは楽になりますが、総利息は126,000円増え、据置後の毎月の元金も16,667円増えます。
黒字化までの期間を資金繰り表で見積もり、必要な長さだけ使うのが基本です。
運転資金をいくら借りるかは運転資金の計算方法も参考にしてください。

計算は説明のための仮設例で、利率年3.0%は仮定です。実際の利率・利息の計算方法・返済額は、申込時に公庫へご確認ください。

申込から入金までの流れと期間

公庫の場合

段階 内容
1 相談 事業資金相談ダイヤル、支店の窓口、オンラインなどで相談。全国152支店の創業サポートデスクで予約制の相談を受け付けている
2 申込 インターネット申込(24時間365日受付)または郵送。創業計画書、設備資金なら見積書、法人なら履歴事項全部証明書、本人確認書類、許認可が必要な事業なら許認可証などを用意
3 面談 資金の使いみちや事業計画の聞き取り。事業所(予定地)の訪問もある。オンライン面談にも対応
4 契約 融資が決まったら、電子契約サービスで契約手続き
5 融資 指定の銀行口座へ送金
6 返済 原則として月賦払い。元金均等返済・元利均等返済・ステップ返済から選ぶ

期間について、公庫は申込から融資が決まるまでの平均所要日数を2〜3週間程度(土日・祝日を含む)としています。
融資の条件や支店の混雑状況によっては、さらに日数がかかる場合があります。
決定後の契約手続きや、申込前の計画づくりの時間は別なので、開業日から逆算して早めに動いてください。

出典:日本政策金融公庫「創業予定の方(お手続きの流れ)」
同「よくあるご質問(国民生活事業)」
同「創業の手引」(2026年9月11日確認)。

申込前に確認しておくこと

  • 創業予定地(店舗など)が決まっていないと申し込めません。立地を踏まえた売上や経費の予測が立てられないためです
  • 法人設立の資本金の払込みにあてる資金は、融資の対象外です
  • 申込先は、個人なら創業予定地、法人なら本店所在地を管轄する支店です(事前の相談は近くの支店で可能)
  • 飲食店の営業許可など、許認可が必要な事業かどうかを先に確認してください

個人事業などで税金や社会保険料の納付が遅れている場合は、融資の相談と並行して
納税の猶予・換価の猶予
社会保険料の猶予の相談を進めてください。

出典:日本政策金融公庫「Q&A(創業支援)」(2026年9月11日確認)。

制度融資の場合

東京都の場合、申込書は制度融資の取扱指定金融機関とあっせん窓口にあります。
信用保証協会は、経営者の人物、資金使途、返済能力などを総合的に判断して保証の可否や金額を決めます。
金融機関の審査と保証協会の審査の両方を経るため、手続きの窓口がどこになるかを最初に確認しておくと進めやすくなります。

出典:東京都産業労働局「お申込み条件(東京都中小企業制度融資)」
同「東京都中小企業制度融資」(2026年9月11日確認)。

よくある質問

自己資金ゼロでも創業融資を受けられますか

公庫の創業期の融資では、2024年4月1日から自己資金の要件がなくなったため、自己資金ゼロでも申し込むことはできます。
ただし公庫は自己資金を重要な要素としており、創業資金に占める自己資金の割合は平均で2割程度です。
借入が増えるほど月の返済が増え、必要な売上も上がります。
また、スタートアップ創出促進保証のように自己資金の要件がある保証制度もあります。

親から借りたお金は自己資金として書けますか

公庫の創業計画書では、「自己資金」と「親、兄弟、知人、友人等からの借入」は別の欄になっており、借入の欄には内訳と返済方法を書きます。
返済が必要なお金は借入として書き、その返済も収支の見通しに入れてください。
贈与を受けた場合の税務上の扱いは、所轄の税務署へ確認してください。

店舗が決まっていなくても申し込めますか

公庫の創業支援のQ&Aでは、創業予定地が未定の場合は申し込めないとされています。
立地が決まらないと、資金計画も、立地を踏まえた売上や経費の予測も立てられないためです。
事前の相談は、予定地が決まる前でも受け付けています。

公庫と制度融資は、どちらを選べばいいですか

一概には決まりません。据置期間や返済期間の長さを重視するなら公庫
自治体の保証料補助や利子補給を使え、地元の金融機関との取引も作りたいなら制度融資が比べる軸になります。
制度融資は金利に信用保証料が加わるため、補助後の保証料を足した実質コストで比べてください。

まとめ

  • 公庫の創業融資の中心は新規開業・スタートアップ支援資金(限度額7,200万円、設備20年・運転10年以内、据置5年以内)
  • 2024年4月1日の拡充で「創業資金総額の1/10以上の自己資金」の要件はなくなった。2025年3月に新規開業資金から名称変更
  • ただし自己資金は今も重要な要素。自己資金の割合は平均で2割程度
  • 自己資金が少ないほど借入が増え、月の返済と必要な客数が上がる(仮設例では49人→51人)
  • 制度融資は創業関連保証(3,500万円・100%保証)などを使う。保証料の補助や利子補給は自治体ごとに異なる
  • 計画書は「利益から返済と家計費を払っても手元にお金が残るか」を逆算して確認する
  • 申込から融資決定までは平均2〜3週間程度。予定地が決まってから申し込む

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の融資判断や税務に関する助言ではありません。
融資制度の名称・限度額・利率・要件、信用保証制度の内容、自治体の補助の有無は改定されることがあり、地域によっても異なります。
最新の内容は日本政策金融公庫、利用する信用保証協会、創業予定地の自治体または取扱金融機関にご確認ください。
記載した計算例は説明のための仮設例で、利率は仮定です。審査の結果および条件は個別の判断によります。

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