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この記事の要点
- 税金が払えないときは、納期限から6か月以内なら「換価の猶予」を申請できます。認められると原則1年以内の分割納付になります。災害・病気・事業の休廃止・著しい損失などがあれば「納税の猶予」も使えます。
- 猶予期間中の延滞税は令和8年は年1.3%(通常は年2.8%〜9.1%)です。消費税300万円を180日後に納める仮設例では、約10.3万円が約1.9万円になります。
- 申請日より前の延滞税は軽くなりません。6か月を過ぎた、他にも滞納がある、という場合でも職権による換価の猶予などの道はあります。まず所轄の税務署(徴収担当)に電話してください。
税金が払えないときに事業者が使える国税の制度は、「換価の猶予」と「納税の猶予」です。
どちらも税金が免除される制度ではありません。期限後に分割して納めることを認め、そのあいだの延滞税を軽くする制度です。
ただしいつ動いたかによって、使える制度も延滞税の額も変わります。
この記事では国税庁の資料と法令(国税通則法・国税徴収法)で確認した内容をもとに、時点ごとの判定表、延滞税の計算、申請が通りにくくなる行動まで順に整理します。
厚生年金保険料・健康保険料が払えない場合は窓口と制度が異なります。社会保険料が払えないときの猶予制度をご覧ください。
税金が払えないときに使える猶予制度は3つ
国税の猶予は、国税徴収法の換価の猶予(申請によるもの・税務署長の職権によるもの)と、国税通則法の納税の猶予に分かれます。
| 換価の猶予(申請) | 換価の猶予(職権) | 納税の猶予 | |
|---|---|---|---|
| 根拠 | 国税徴収法151条の2 | 国税徴収法151条 | 国税通則法46条 |
| 使える場面 | 一時に納付すると事業の継続・生活の維持が困難になるおそれがある | 同左、または換価を猶予したほうが徴収上有利なとき | 災害・盗難、病気・負傷、事業の休廃止、事業の著しい損失などで一時に納付できない |
| 申請期限 | 納期限から6か月以内 | 申請ではなく、分割納付の相談などを受けて税務署長が判断 | 定めなし(災害で財産に相当な損失を受けた場合の猶予は、災害のやんだ日から2か月以内) |
| 他の国税の滞納 | 原則として、ないこと | 既に滞納があっても対象になりうる | あっても受けられる |
| 猶予期間 | 1年以内(延長で最長2年) | 1年以内 | 1年以内(延長で最長2年) |
| 延滞税 | 猶予期間分は年1.3%に軽減(令和8年) | 同左 | 災害・病気等は全額免除。事業の休廃止・著しい損失等は年1.3%に軽減(令和8年) |
| 主な効果 | 差し押さえた財産の換価(売却)が猶予される。差押えの猶予・解除もありうる | 同左 | 新たな督促・差押えを受けない。既にある差押えの解除を申請できる |
出典:国税庁「納税に関する総合案内」、国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」、e-Gov法令検索「国税徴収法」151条・151条の2・152条、同「国税通則法」46条・48条(2026年9月11日確認)。
業績の悪化で資金が足りないだけなら換価の猶予、災害・病気・休廃業・大きな赤字といった具体的な事実があれば納税の猶予、と考えると整理しやすくなります。
国税庁のFAQでは、損益が黒字でも要件を満たせば猶予を受けられるとされています。黒字でも手元資金が足りない状態は珍しくありません(資金ショートの兆候)。
気づいた時点で使える制度が変わる:時系列の判定表
税金を納期限までに払わないと、手続きは法律で決まった順に進みます。
督促状は原則として納期限から50日以内に発送され、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと、差押えの要件を満たします。
| いつ | 税務署側で起きること | 使える制度 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ① 納期限の前 (払えないと分かった) |
まだ何も起きていない | 換価の猶予(申請)。該当する事実があれば納税の猶予 | 最も有利。納期限前に申請すると猶予期間は法定納期限の翌日から始まり、延滞税が当初から軽減の対象になる |
| ② 納期限の翌日〜督促状 | 延滞税が日割りで増える。督促状は原則50日以内に発送 | 同上 | 申請日の前日までの延滞税は軽減されない |
| ③ 督促状の発送から10日を経過 | 差押えの要件を満たす | 同上(納期限から6か月以内なら申請による換価の猶予も可) | 預金や売掛金などが差押えの対象になりうる |
| ④ 納期限から6か月を超えた/他の国税も滞納している | 滞納処分が進む | 職権による換価の猶予(分割納付の相談を通じて適用される場合がある)。該当する事実があれば納税の猶予 | 申請による換価の猶予は原則として使えない |
| ⑤ すでに差押えを受けた | 財産の換価(公売・取立て)へ進む | 換価の猶予(換価が猶予され、差押えの猶予・解除もありうる)。納税の猶予(差押えの解除を申請できる) | 猶予が認められても本税と延滞税は残る |
出典:e-Gov法令検索「国税通則法」37条(督促)・48条、同「国税徴収法」47条(差押の要件)・152条、国税庁「納税の猶予等の取扱要領」、国税庁「納税に関する総合案内」(2026年9月11日確認)。
「申請期限は6か月あるから、まだ大丈夫」は誤りです
換価の猶予の申請期限は納期限から6か月ですが、延滞税が軽くなるのは申請した日からです。
納期限の翌日から申請日の前日までは通常の割合のままです。国税庁のFAQも、納期限を過ぎてからの申請は不利になるとして早めの申請を勧めています。
どれだけ差が出るかは、下の仮設例で計算しています。
換価の猶予(申請)の要件
次の5つをすべて満たす場合に、換価の猶予を受けることができます。
- 国税を一時に納付すると、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある
- 納税について誠実な意思がある
- 猶予を受けようとする国税以外に、国税の滞納がない
- 納期限から6か月以内に「換価の猶予申請書」を提出している
- 原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保を提供する
「事業の継続を困難にするおそれ」とは
事業に不要不急の資産を処分するなど、経営の合理化を行った後でも、なお一時に納付すると事業の休止・廃止に追い込まれるおそれがある場合をいいます。
「払うと少し苦しい」ではなく、合理化をしても払えば事業が続けられないかどうかが問われます。
「誠実な意思」とは
その国税を優先的に納付する意思があることです。
国税庁の取扱要領では、これまで期限内に納付していたか、過去の猶予で分割納付を守ったか、経費の節約・借入金の返済額の減額・資金調達などの努力をしているかを考慮して判定するとしています。
過去に滞納があったことだけで判断するのではなく、いま早期完納に向けて何をしているかもあわせて見られます。
他に滞納している国税があるとき
申請中の国税や、すでに猶予を受けている国税は「他の滞納」に含まれません。
取扱要領では、申告所得税と消費税のように近い時期に納期限が来る国税も滞納が見込まれるなら、あわせて申請するよう勧めるとしています。
払えない税目が複数ありそうなら、まとめて相談してください。
出典:国税庁「猶予の申請の手引」、国税庁「納税の猶予等の取扱要領」第3章第1節・第2節(2026年9月11日確認)。
納税の猶予の要件
次のいずれかの事実があり、その事実が原因で国税を一時に納付できないと認められる場合に、納付できない金額を限度として、申請により1年以内の期間で納税が猶予されます。
- 財産が災害を受けた、または盗難にあった
- 本人または生計を一にする親族が病気にかかった、または負傷した
- 事業を廃止した、または休止した
- 事業について著しい損失を受けた
- これらに類する事実があった
「事業の著しい損失」の基準
猶予期間の始期の前日以前1年間(調査期間)の損益で、その前の1年間(基準期間)の利益の2分の1を超える損失が出ていることをいいます。
たとえば基準期間の利益が400万円なら、調査期間に200万円を超える赤字が出ていれば該当します。
基準期間も赤字だった場合は、調査期間の損失が基準期間の損失を超えていることが基準です。
「類する事実」には、売上の著しい減少や経費の著しい増加による損失のほか、取引先の破産などで売掛金の回収が不能・著しく困難になったケースも挙げられています(売掛金が回収できないときの督促手順)。
納期限前に災害で大きな損失を受けた場合
震災・風水害・火災などで全資産額のおおむね20%以上の損失を受けた場合は、別枠の納税の猶予があります。
災害のやんだ日から2か月以内に申請し、認められると納期限から1年以内の期間で猶予され、猶予期間中の延滞税は免除されます。
出典:e-Gov法令検索「国税通則法」46条、国税庁「納税の猶予等の取扱要領」第2章第1節、国税庁「納税に関する総合案内」(2026年9月11日確認)。
必要書類
猶予を受けようとする金額が100万円以下か、100万円を超えるかで、添付する書類が変わります。
この判定には、申請中や猶予中のほかの国税の額も含めます。
| 書類 | 100万円以下 | 100万円超 |
|---|---|---|
| 申請書 | 換価の猶予申請書 または 納税の猶予申請書 | 同左 |
| 財産と収支 | 財産収支状況書 | 財産目録 + 収支の明細書 |
| 担保 | 不要 | 担保提供書など(猶予期間が3か月以内、または担保にできる財産がない場合は不要) |
| 納税の猶予の場合のみ | 猶予に該当する事実を証する書類(り災証明書、医師の診断書、廃業届、調査期間と基準期間の損益計算書など) | |
取扱要領では、財産目録・収支の明細書などに代えて、法令で定める事項をすべて記載していれば、自社で作った資金繰表や試算表を添付してもよいとされています。
資金繰り表を普段から作っている会社は、そのまま審査の材料になります。
あわせて元帳・売上帳や、手元資金が分かる現金出納帳・預金通帳を用意しておくと、相談がスムーズです。
いくらが猶予されるのか:「現在納付可能資金額」の考え方
猶予されるのは税額の全部ではなく、今すぐ納められる額を差し引いた残りです。
国税庁のFAQでは、当面の資金繰りに必要な額として、一般に事業継続のため1か月以内に支出が予定されている金額を納税資金から除くとしています。
仮設例:消費税300万円が払えない会社
手元資金(現金・預金など):250万円
1か月以内の支出見込み 280万円 − 収入見込み 80万円 = 当面の必要資金 200万円
現在納付可能資金額:250万円 − 200万円 = 50万円(これは速やかに納付)
猶予を受けようとする金額:300万円 − 50万円 = 250万円(100万円超なので財産目録と収支の明細書が必要)
手引では、現在納付可能資金額は直ちに納付に充てられる金額なので速やかに納付し、納付がない場合は猶予が不許可となることがあるとしています。
出典:国税庁「猶予の申請の手引」、国税庁「納税の猶予等の取扱要領」第4章第1節、国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」(2026年9月11日確認)。仮設例の金額は説明のためのものです。
申請手順
- 所轄の税務署(徴収担当)に電話する。相談時間の確保や持参資料の案内があるため、事前に日時を連絡します
- 申請書と添付書類を作る。書き方と記載例は国税庁の「猶予の申請の手引」にあります。税理士による代理申請も可能です
- 提出する。e-Tax(スマートフォンからも可)、郵送、税務署への持参のいずれか
- 審査を受ける。職員から事情や収支について質問を受けたり、帳簿の確認を求められたりします。不備があれば電話などで補正を求められ、補正通知書を受けた日の翌日から20日以内に補正しないと、申請を取り下げたものとみなされます
- 許可されたら、通知書の分割納付計画どおりに納める。申請より少ない金額・短い期間・異なる分割計画で許可されることもあり、不服があれば所定の期間内に不服申立てができます
なお、換価の猶予を申請しても、督促状は送られてきます。手引にも明記されている扱いなので、届いても慌てる必要はありません。
猶予が認められた国税は、事前に徴収担当職員と納付相談をしたうえで、e-Taxに登録した口座からの引落しで分割納付する方法(ダイレクト分納)も使えます。
出典:国税庁「G-9 換価の猶予の申請手続」、国税庁「G-4 災害、盗難等により納付困難となったときの納税の猶予の申請手続」、国税庁「猶予の申請の手引」、e-Gov法令検索「国税通則法」46条の2(2026年9月11日確認)。
猶予期間・分割納付・担保
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 猶予期間 | 1年の範囲内で、財産や収支の状況からみて最も早く完納できると認められる期間 |
| 延長 | 期間内に完納できないやむを得ない理由があれば、当初の期間と合わせて最長2年まで延長が認められることがある(猶予期間の終了前に申請) |
| 分割納付 | 原則として猶予期間中の各月に分割。金額は事業の継続を困難にしない範囲で、最短で完納できる額。毎月同額とは限らない |
| 担保が不要な場合 | ① 猶予を受ける金額が100万円以下 ② 猶予期間が3か月以内 ③ 担保として提供できる財産がないなど特別の事情がある |
| 担保の種類 | 国債・地方債、税務署長が確実と認める有価証券、土地、保険を付けた建物・自動車など、税務署長が確実と認める保証人の保証など |
出典:国税庁「猶予の申請の手引」、e-Gov法令検索「国税通則法」46条、同「国税徴収法」152条(2026年9月11日確認)。
延滞税はいくら軽くなるか:消費税300万円の仮設例
まず、令和8年(2026年1月1日〜12月31日)の期間に適用される割合です。
| 期間・区分 | 令和8年の割合 |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% |
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年9.1% |
| 換価の猶予、事業の休廃止・著しい損失などによる納税の猶予をした期間 | 年1.3% |
| 災害・病気などによる納税の猶予をした期間 | 全額免除 |
年1.3%は「猶予特例基準割合」で、財務大臣が告示する平均貸付割合(令和8年は0.8%)に年0.5%を加えた割合です。
法律上の原則は「納期限から2か月を経過した後の期間の延滞税の2分の1を免除」ですが、猶予特例基準割合が年7.3%に満たない年は、猶予期間全体について、年1.3%で計算した額を超える部分が免除されます。
出典:国税庁「No.9205 延滞税について」、国税庁「延滞税の割合」、財務省「国税を期限内に納付できないときは、どうしたら良いですか?」、財務省「延滞税・利子税・還付加算金について」、e-Gov法令検索「国税通則法」63条、同「租税特別措置法」94条(2026年9月11日確認)。
3つのパターンで計算する
前提:消費税(本税)300万円、納期限2026年3月31日。180日後の9月27日にまとめて納付したとします。
延滞日数は4月1日〜9月27日の180日で、そのうち5月31日までの61日が年2.8%、6月1日以後の119日が年9.1%の期間です。
| パターン | 計算 | 延滞税 |
|---|---|---|
| ① 猶予なし | 300万円 × 2.8% × 61日 ÷ 365 = 14,038円 300万円 × 9.1% × 119日 ÷ 365 = 89,005円 合計 103,043円 |
103,000円 |
| ② 納期限までに換価の猶予を申請 (180日すべてが猶予期間) |
300万円 × 1.3% × 180日 ÷ 365 = 19,232円 | 19,200円 |
| ③ 納期限から3か月後の7月1日に申請 | 申請前の91日(軽減なし):14,038円 + 300万円 × 9.1% × 30日 ÷ 365 = 22,438円 申請後の89日:300万円 × 1.3% × 89日 ÷ 365 = 9,509円 合計 45,985円 |
45,900円 |
早く申請するほど、延滞税は小さくなる
猶予なしと納期限までの申請との差は83,800円。3か月後に申請した場合でも猶予なしより57,100円少なくなりますが、
納期限までに申請した場合と比べると26,700円多くなります。申請期限の6か月以内に収まっていても、待った分は取り戻せません。
300万円に対する1日あたりの延滞税は、年9.1%の期間で約748円、年2.8%の期間で約230円、猶予中の年1.3%なら約107円です。
※ 割合の違いを見るための単純化した仮設例です。実際の猶予では毎月分割して納めるため残高が減り、延滞税はこれより小さくなります。
延滞税は本税の1万円未満を切り捨てて計算し、100円未満を切り捨てます(各行の1円未満も切り捨てて表示)。正確な金額は所轄の税務署でご確認ください。
出典:e-Gov法令検索「国税通則法」60条・118条・119条、国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」問24・問31(2026年9月11日確認)。
猶予が通りにくくなる行動:公式の要件から逆算する
国税庁の取扱要領と手引に書かれている要件・不許可事由・取消し事由を並べると、やってはいけない行動が見えてきます。
| 行動 | 引っかかる要件・扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 税務署から連絡が来ても応答しない | 質問に答えない、帳簿の提示を拒むと、要件を審査せずに不許可とされうる | 国税通則法46条の2第10項 |
| 手元の「現在納付可能資金額」を納めない | 納付がない場合は不許可となることがある。誠実な意思がないと判断されうる | 手引、取扱要領 |
| 返済条件を見直さず、他の債務を優先して返し続ける | 誠実な意思の判定で、借入金の返済額の減額などの努力が考慮される | 取扱要領 第3章 |
| 役員借入金など期限の定めのない債務を返す | 収支の見込みで「事業に係る支出」として認められない | 手引 |
| 不要不急の資産を買う | 支出として認められない。合理化後も困難かが問われる | 手引、取扱要領 |
| 補正の求めに20日以内に応じない | 申請を取り下げたものとみなされる | 国税通則法46条の2第9項 |
| 不許可の後、事情が変わらないのに同じ税で再申請する | 「申請が誠実にされたものでない」として不許可とされうる | 取扱要領 第4章 |
| 猶予中に別の国税を滞納する/分割を守らない | 猶予が取り消されることがある(やむを得ない理由がある場合を除く) | 国税通則法49条 |
誤解しないでいただきたいのは、「銀行への返済を止めて税金を払え」という意味ではないことです。
見られているのは、税を後回しにしたまま他の支払いを満額続けていないか、返済条件の見直しや資金調達の努力をしているか、という点です。
金融機関への返済が重いなら、税務署への相談と並行して返済条件の変更(リスケジュール)を金融機関に相談してください。すでに融資を断られている場合の選択肢は銀行に融資を断られたらにまとめています。
出典:国税庁「納税の猶予等の取扱要領」第3章第1節・第4章第1節、国税庁「猶予の申請の手引」、e-Gov法令検索「国税通則法」46条の2・49条(2026年9月11日確認)。
消費税・源泉所得税で資金繰りが詰まりやすい理由
払えなくなる税金として多いのが消費税と源泉所得税です。どちらも自社の利益から払う税金ではなく、預かったお金を後からまとめて納める性格を持っています。
消費税:売上と一緒に入り、1年分がまとめて出ていく
国税庁は、消費税は事業者に負担を求めるものではなく、商品やサービスの価格に含まれて転嫁され、最終的に消費者が負担する税だと説明しています。
つまり売上代金と一緒に入金されますが、確定申告・納付は原則として課税期間の末日の翌日から2か月以内(個人事業者は翌年3月31日まで)です。
入金から納付までの間、運転資金と区別されずに使われてしまいやすいのが詰まる理由です。
- 前の課税期間の消費税の年税額が48万円を超えると、中間申告・納付が必要になります
- 国税庁のFAQでは、売上が大きく減っている場合に仮決算による中間申告で納税額を抑えられる場合があるとしています
- 国税庁は納税資金の積立てを勧めており、年間消費税額が20万円なら月約1.7万円という例を示しています。口座引落しで事前に納める「予納ダイレクト」もあります
源泉所得税:従業員の給与から預かった税金
給与などから源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。
納期の特例を受けている場合は、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納めるため、半年分が一度に出ていく月が生まれます。
どちらも、資金繰り表に納税月の支出を先に書き込んでおくことで、払えなくなる事態の多くは事前に見えるようになります。
出典:国税庁「No.6101 消費税のしくみ」、国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」、国税庁「納税に関する総合案内」、国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」問7(2026年9月11日確認)。
住民税・事業税など地方税の猶予
地方税にも同じ考え方の制度があり、窓口は都道府県・市区町村です。
- 徴収の猶予(地方税法15条):災害、病気、事業の休廃止、事業の著しい損失などで一時に納付できない場合。1年以内(延長で最長2年)
- 職権による換価の猶予(地方税法15条の5):1年以内
- 申請による換価の猶予(地方税法15条の6):申請できる期間は各自治体の条例で定める期間です。国税の「6か月」と同じとは限らないので、自治体に確認してください
国税庁のFAQでは、地方税や社会保険料で猶予を申請したときの申請書や財産収支状況書の写しを添付すると、国税の申請で一部の記載や添付を省略できるとしています。
税金と社会保険料が同時に払えないときは、どちらか一方で作った書類を活かしてください(社会保険料の猶予制度)。
出典:e-Gov法令検索「地方税法」15条・15条の5・15条の6、総務省「加算金、延滞金、還付加算金」、国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」問26(2026年9月11日確認)。
猶予を受けている間に注意すること
取り消される場合がある
分割納付を期限までに納めない、猶予中の国税以外に新たに滞納する、担保の変更命令に応じない、偽りの申請が判明した、などの場合は猶予が取り消されたり期間が短縮されたりすることがあります。
予見できなかった事情で払えなくなったときは、期限前に税務署へ相談してください。やむを得ない理由があれば分割計画の変更が認められることがあります。
納税証明書にどう書かれるか
融資の申込みや入札で納税証明書を求められることがあります。国税庁のFAQによると、猶予中の扱いは次のとおりです。
| 納税証明書 | 猶予中の扱い |
|---|---|
| その1(納付すべき税額・未納税額などの証明) | 備考欄に猶予中である旨が記載される |
| その2(所得金額の証明) | 発行される。猶予の記載はない |
| その3(未納の税額がないことの証明) | 猶予中の税目については発行されない |
| その4(滞納処分を受けたことがないことの証明) | その期間に滞納処分を受けていなければ発行される。猶予の記載はない |
その3が必要な場面では、代わりに何を出せばよいかを提出先に確認してください。
日本政策金融公庫などに融資を相談する場合も、猶予を受けて計画どおり納付していることを説明できるよう、許可通知書を手元に置いておくと話が早くなります。
さらに延滞税が免除される場合
猶予をした場合で、財産の状況が著しく不良で事業の継続が著しく困難になると認められるなど一定の場合には、残りの延滞税についても、納付が困難と認められる額を限度に免除されることがあります。
出典:国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」問11、国税庁「猶予の申請の手引」、e-Gov法令検索「国税通則法」49条・63条3項(2026年9月11日確認)。
よくある質問
すでに納期限を過ぎて滞納しています。今からでも猶予は受けられますか
納期限から6か月以内で、ほかに滞納している国税がなければ、換価の猶予を申請できます。
6か月を過ぎた場合や他にも滞納がある場合でも、税務署に分割納付を相談し、要件を満たせば職権による換価の猶予が適用されることがあります。
災害や事業の著しい損失などの事実があれば、納税の猶予も検討できます。
いずれも遅れるほど延滞税が増えるので、まず所轄の税務署(徴収担当)に電話してください。
猶予を受けると税金は免除されますか
免除されません。猶予は期限後に分割して納めることを認める制度で、本税はそのまま残ります。
軽くなるのは延滞税で、令和8年は換価の猶予などをした期間について年1.3%に軽減され、災害や病気などによる納税の猶予では全額が免除されます。
猶予を受けるには担保が必要ですか
原則として必要ですが、猶予を受ける金額が100万円以下の場合、猶予期間が3か月以内の場合、担保として提供できる財産がない場合は不要です。
担保にできるのは、国債・地方債、確実と認められる有価証券、土地、保険を付けた建物、確実と認められる保証人の保証などです。
消費税を分割で払うことはできますか
換価の猶予や納税の猶予が認められれば、原則として猶予期間中の各月に分割して納めることになります。
相談をしないまま自己判断で分割するのは避けてください。国税庁は、徴収担当職員との納付相談を経ずに口座引落しの分割納付計画を登録した場合、差押えなどの滞納処分を行うことがあるとしています。
まとめ
- 税金が払えないときの国税の制度は換価の猶予(申請・職権)と納税の猶予。どちらも免除ではなく、分割納付と延滞税の軽減
- 換価の猶予(申請)は納期限から6か月以内、他に滞納がないこと、誠実な意思などが要件
- 災害・病気・事業の休廃止・前年の利益の2分の1を超える赤字などがあれば納税の猶予
- 猶予中の延滞税は令和8年は年1.3%。消費税300万円・180日の仮設例で103,000円が19,200円
- 申請日より前の延滞税は軽減されない。3か月待つと仮設例で26,700円多くなる
- 相談に応じない、手元資金を納めない、補正に応じないと通りにくくなる。借入の返済条件の見直しも並行する
このページについて
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務判断に関する助言ではありません。
猶予の要件に該当するか、猶予される金額や期間は、申請内容と税務署の審査によって決まります。所轄の税務署(徴収担当)または顧問税理士にご確認ください。
延滞税の割合は令和8年(2026年)に適用される値で、毎年見直されます。
記載した計算例は説明のための単純化した仮設例です。


