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資金ショートの兆候7つ|どの段階で気づけば、まだ手が打てるか

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最終更新日:

要点まとめ

  • 資金ショートは突然起きません。最初の兆候は3〜6か月前に出ています。下で取り上げる例でも、ショートの3か月前には月次の現金増減がマイナスへ転じていました。
  • いちばん早く気づける指標は手元流動性(現金 ÷ 月商)です。例の会社は0.60か月 → 0.47 → 0.24 → 0.08と落ちていきました。1か月分を切ったら黄色信号です。
  • 気づくのが遅れるほど選択肢が減ってコストが上がります。早い段階なら銀行融資、遅くなるとノンバンクやファクタリング。順序を間違えると次の手が打てなくなります。

自社を確かめたい方は7つの兆候から。すでに気づいている方は打ち手の順序からどうぞ。

資金ショートは支払わなければならないお金に対して手元の現金が足りなくなる状態を指します。
赤字とは別の話で、黒字でも起こります。

しかもショートの当日にいきなり始まるものではありません。
数字は数か月前から動いています。ここでは実際の数字を使ってその過程を追ってみます。

ショートまでの5か月を数字で追う

A-1で使った会社です。
売上は毎月20%伸びていて5か月とも黒字。それでも5月に資金がショートしました。

(単位:万円) 1月 2月 3月 4月 5月
売上(月商) 1,000 1,200 1,440 1,728 2,074
利益 100 160 232 318 422
現金の増減 +100 −40 −208 −210 −212
月末の現金 600 560 352 142 −69
手元流動性(月商倍率) 0.60 0.47 0.24 0.08 —

手元流動性 = 月末の現金 ÷ その月の月商。何か月分の売上に相当する現金を持っているかを表します。
検算:600 ÷ 1,000 = 0.60/560 ÷ 1,200 = 0.47/352 ÷ 1,440 = 0.24/142 ÷ 1,728 = 0.08。
表は万円未満を四捨五入しているため、142 − 212 と5月末の −69 のように1万円ずれる箇所があります。

利益はずっと増え続けています。損益計算書だけを見ていたらこの会社は絶好調に映るでしょう。
ところが現金は2月から減り始めました。手元流動性は4か月で0.60から0.08まで落ちています。
この会社は1月の0.60の時点で、すでに目安の1か月分を下回っていました。売上が伸び始める前から余裕の少ない状態で、そこへ増加運転資金が重なった形です。

最初の兆候は「2月」に出ていた

2月の現金増減は −40万円。金額は小さいし残高もまだ560万円あります。
つい見過ごしてしまう数字です。でもここが「利益は出ているのに現金が減る」構造に入った瞬間でした。
ショートの3か月前です。この時点で気づいていれば、銀行と話す時間が3か月ありました。

資金ショートの兆候のイメージ

7つの兆候と、その時点でできること

# 兆候 ショートまでの目安 この時点でできること
1 月次の現金増減がマイナスに転じた 3〜6か月 選択肢が最も多い。銀行に運転資金を相談。条件交渉も間に合う
2 手元流動性が1か月分を切った 2〜4か月 銀行融資はまだ可能。資金繰り表を作って申込額の根拠を用意する
3 売掛金の回収が遅れ始めた 1〜3か月 督促と回収条件の見直し。相手が危ないなら取引条件そのものを変える
4 借入の返済のために借入をした 1〜3か月 危険信号。リスケジュール(条件変更)の相談を検討する段階
5 役員報酬を止めた・未払いにした 1〜2か月 一時しのぎにしかならない。並行して調達か構造改善を進める
6 買掛金の支払いを待ってもらった 数週間〜2か月 信用が傷つく。取引停止のリスクがあるので回数を重ねない
7 税金・社会保険料の納付を遅らせた 数週間 滞納する前に猶予制度の相談を。滞納は融資審査で最も重く見られる

下に行くほどできることは減り、コストは上がります。
1〜2の段階なら銀行の運転資金融資が現実的な選択肢です。
6〜7まで進むとノンバンクやファクタリングしか残らず、コストは数倍から十数倍に跳ね上がります。

打ち手を順番に進めるイメージ

打ち手には順序がある

気づいた瞬間に慌てて調達へ走るのは最善ではありません。順序があります。

ステップ1:あと何か月もつかを数字にする

最初にやるのは資金繰り表を作ることです。
いつ・いくら足りなくなるのかがわからなければ借りる額も決まりません。
金額の根拠を示せない申込は、それだけで審査で不利になります。

ステップ2:入金を早め、支払いを遅らせる

調達より先に現金が戻ってくるまでの日数を縮められないかを見ます。
こちらは利息がかからず返す必要もありません。

  • 回収サイトの短縮を交渉する
  • 滞留在庫を処分する(在庫と資金繰り)
  • 支払サイトの延長を交渉する(ただし取適法の範囲内で)

この余地がどれだけあるかは、運転資金の計算方法で測れます。

ステップ3:足りない分を調達する

ここでようやく調達です。速さとコストは反比例します。

手段 入金まで コスト 使うべき状況
日本政策金融公庫・信用保証協会付融資 3週間〜2か月 年2〜5%程度 1〜2か月の余裕がある
銀行のプロパー融資・当座貸越 2週間〜1か月 年1〜4%程度 取引実績がある
ビジネスローン(ノンバンク) 即日〜1週間 年5〜18%程度 今週必要
ファクタリング 即日〜数日 手数料2〜18%程度 売掛金がある/負債を増やしたくない

コストは一般的な水準の目安です。実際の条件は審査により決まります。

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手数料は融資より高くなりやすいので、使うのは1〜2か月のつなぎに限るのが無難です。


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税金・社会保険料を滞納する前に

資金が足りないとき後回しにされやすいのが税金と社会保険料です。でもこれは順序として最悪です。
融資審査で最も重く見られるのが滞納で、滞納があるだけで公的融資も民間融資もほぼ通らなくなります。
延滞税・延滞金も発生します。

納付が難しいとわかった時点で滞納する前に所轄の税務署または年金事務所へ相談に行ってください。
換価の猶予・納税の猶予といった制度があります。認められれば分割納付ができ、延滞税も軽くなります。
「払えないから連絡しない」が最も不利な選択です。支払日が数日後に迫っているときの順番は今日中・数日中に事業資金が必要なときにまとめています。

やってはいけないこと

  • 資金繰り表を作らずに借りる。必要額より少なく借りて数か月後にまた足りなくなる
  • 構造的な赤字を調達で埋め続ける。借りるほど返済が増え、翌月さらに苦しくなる
  • 税金・社会保険料を無断で滞納する。その後の調達手段をほぼすべて失う
  • 給与ファクタリングなど、貸金業登録のない業者を使う。違法な高金利の可能性がある(見分け方)

よくある質問

手元流動性はどれくらい必要ですか

最低でも1か月分、できれば1.5〜2か月分が一つの目安とされます。
適正水準は業種で変わります。入金が月1回にまとまる業種や
季節変動の大きい業種はもっと厚めに持っておきたいところです。
絶対値より「下がり続けていないか」のほうが大事です。

黒字なのに現金が減っていきます。経理の間違いですか

間違いではないことがほとんどです。利益と現金は別の物差しだからです。
売掛金の増加・在庫の増加・借入元本の返済。どれも利益には現れませんが現金は減ります。
仕組みは資金繰りとはで詳しく書いています。

すでに支払いが今月分しかもちません。何から手をつけますか

最初にやるのは支払いの優先順位を決めることです。
確保する順番は、止めたときの影響が大きい給与→税金・社会保険料→取引先への支払い→借入返済です。
そのうえで借入返済については、滞納する前に金融機関へリスケジュールを相談しておきます。
黙って遅らせるより事前に相談したほうが選択肢は残ります。

銀行に相談したら、かえって警戒されませんか

早い段階で数字を持って相談する会社は、むしろ評価されます。
警戒されるのは状況が悪化してから根拠のない金額を急いで申し込むケースです。
資金繰り表と
必要額の計算根拠を持って行けば、話は前に進みます。

まとめ

  • 資金ショートの兆候は3〜6か月前から出る
  • 最初に動く数字は月次の現金増減。マイナスに転じた月が起点
  • 手元流動性(現金 ÷ 月商)が1か月分を切ったら黄色信号
  • 兆候が下に進むほど選択肢は減ってコストは上がる
  • 順序は①資金繰り表 → ②入金を早め支払いを遅らせる → ③調達
  • 税金・社会保険料は滞納する前に相談する。猶予制度がある

すでに銀行に断られている場合の選択肢は
銀行に融資を断られたらにまとめています。

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の経営判断や資金調達に関する助言ではありません。
猶予制度の要件や手続きは所轄の税務署・年金事務所にご確認ください。
金利・手数料の水準は一般的な目安であり、実際の条件は各社の審査により決まります。
記載した計算例は説明のための仮設例です。

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