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小規模企業共済で借入はできる?契約者貸付の種類・利率と解約との比較

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要点まとめ

  • 小規模企業共済は解約しなくても、掛金の範囲内で借りられます(契約者貸付)。一般貸付は年1.5%で最高2,000万円。売上減少などの事情があれば特別貸付が年0.9%で最高1,000万円です。担保・保証人は要りません。
  • 240か月(20年)未満で解約すると元本割れします。月3万円・10年の仮設例だと解約で54万円減るのに対し、240万円を1年借りた利息は36,000円です。
  • 掛金が払えないときは解約の前に減額(最低1,000円)や掛止めという手があります。滞納が12か月以上続くと契約が解除されることがあります。

借り方を知りたい方は貸付の種類から、解約を考えている方は解約と貸付の比較からどうぞ。

小規模企業共済は個人事業主や小規模企業の役員が、廃業や退職に備えて積み立てる国の退職金制度です。
運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で、掛金は全額が所得控除の対象になります。

資金繰りに困ると「解約すればまとまったお金が戻る」と考えがちです。ところが加入から20年未満で解約すると、払った掛金より少なくしか戻りません。
実は積み立てた掛金の範囲内で借りられる契約者貸付という仕組みがあります。
ここでは貸付の種類と条件を整理したうえで、解約した場合と同じ金額で損得を比べてみます。

小規模企業共済とは

加入できる人

加入できるのは常時使用する従業員が一定数以下の個人事業主・その共同経営者(2人まで)・会社等の役員です。

営む事業 常時使用する従業員
建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)など 20人以下
商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 5人以下

「常時使用する従業員」に家族従業員やパート・アルバイトなど臨時に雇う人は含みません。
人数は加入時の要件なので加入後に従業員が増えても契約は続けられます。

掛金と税金

  • 掛金月額は1,000円〜70,000円(500円単位)。加入後に増額・減額できる
  • その年に支払った掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になる
  • 共済金は廃業・退職などのときに一括・分割・併用で受け取る
  • 2027年1月1日から掛金の納付は原則として口座振替に統一される予定(現金納付は2026年12月末で終了予定)
共済の積立から借りるイメージ

契約者貸付の7種類と利率

契約者貸付には簡易迅速に借りられる「一般貸付」と特別な事情がある場合の「特別貸付」6種類があります。
どれも納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で借りる形で、担保・保証人は要りません。

種類 使える場面・条件 利率 金額 期間・返済
一般貸付 事業資金・生活資金。資格判定時までに12か月以上納付 年1.5% 10万〜2,000万円 6〜60か月(金額による)
緊急経営安定貸付 最近3か月または6か月の売上高が前年同期比5%以上減少などの確認 年0.9% 50万〜1,000万円 36か月または60か月・6か月ごとの元金均等
傷病災害時貸付 5日以上の入院、災害救助法が適用された災害、一般災害の罹災など 年0.9% 50万〜1,000万円 36か月または60か月・6か月ごとの元金均等
福祉対応貸付 本人・同居親族が65歳以上または身体障碍者で、住居等の改築・福祉機器購入の計画 年0.9% 50万〜1,000万円 36か月または60か月・6か月ごとの元金均等
創業転業時・新規事業展開等貸付 新規開業・転業、事業多角化などの確認 年0.9% 50万〜1,000万円 36か月または60か月・6か月ごとの元金均等
事業承継貸付 事業用資産や株式等の取得の確認 年0.9% 50万〜1,000万円 36か月または60か月・6か月ごとの元金均等
廃業準備貸付 廃業の計画について中小機構の承認 年0.9% 50万〜1,000万円 12か月・期限一括

利率・金額は2026年9月時点の内容です。
特別貸付の期間は500万円以下が36か月、505万円以上が60か月です。特別貸付は一般貸付の資格を取得していることが前提になります。

一般貸付の借入期間

一般貸付は借りる金額によって選べる期間が変わります。

借入額 選べる期間 返済方法
100万円以下 6か月/12か月 期限一括
105万円〜300万円 6か月/12か月/24か月 6・12か月は期限一括、24か月以上は6か月ごとの元金均等
305万円〜500万円 6か月/12か月/24か月/36か月 同上
505万円以上 6か月/12か月/24か月/36か月/60か月 同上

利息は期限一括なら借入時に一括前払い、分割なら借入時と返済時に6か月分ずつ前払いです。
期間内に返せないときは約定利子を払って借り換えることもできます。

貸付限度額の決まり方

  • 限度額は掛金の範囲内で、掛金納付月数に応じて掛金の7〜9割
  • 算定基準日の掛金残高と納付月数をもとに年2回(4月・10月)設定される
  • 一般貸付の資格判定は4月末と10月末。4月末判定は同年10月1日から、10月末判定は翌年4月1日から適用
  • 4月からの限度額と借入窓口は、毎年3月に届く「掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ」に書かれている
  • 借入中の人が追加で借りられるのは限度額から現在の残高を引いた額

加入して12か月たっても、判定日の関係ですぐには借りられないことがあります。
いざというときに使うつもりなら手元のお知らせで限度額と窓口を先に見ておくと慌てずに済みます。

申込み方法と窓口

順番 やること ポイント
1 限度額と借入窓口を確認 「掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ」を見る。10月以降の限度額は共済相談室へ問い合わせ
2 貸付の種類を決める 売上減少・入院・災害などに当たるなら、利率の低い特別貸付を先に検討
3 特別貸付は中小機構へ事前申込み 緊急経営安定貸付などは、商工会・商工会議所などの確認と、中小機構への事前の借入申込みが必要
4 窓口の金融機関へ事前に連絡 一般貸付は登録した代理店(未登録なら商工組合中央金庫の本支店)、特別貸付は商工組合中央金庫の本支店
5 窓口で手続き・借入 中小機構は「即日貸付けも可能」と案内。ただし例年4月は窓口が混雑する

緊急経営安定貸付は売上高が減少した期間の最終月の翌月から3か月以内に申し込まなければなりません。
売上の落ち込みに気づいた時点で動き出すのが鉄則です。
資金ショートの兆候が出ている段階なら、共済の貸付と並行して日本政策金融公庫への相談も始めておくと選択肢が広がります。

解約と貸付を比べるイメージ

解約して現金化するか、貸付で借りるか

解約手当金の支給率

任意解約で戻る解約手当金は、納付した掛金に納付月数に応じた支給率を掛けた額です。

掛金納付月数 支給率 払った掛金と比べると
1〜11月 0.00% 全額掛け捨て
12〜83月 80.00% 2割減る
84〜89月 80.50% 以降6か月ごとに0.75ポイント上昇
120〜125月 85.00% 15%減る
180〜185月 92.5% 7.5%減る
240〜245月 100.00% ここで元本と同額
246月〜 100.25%〜 以降6か月ごとに0.25ポイント上昇(720月以上で120.00%)

平成16年4月以降の掛金の支給率です。途中で増額・減額した場合は掛金区分ごとの納付月数で計算します。
任意解約の解約手当金は、65歳以上なら退職所得、65歳未満なら一時所得として扱われます。

同じ240万円で比べる

仮設例です。掛金月額3万円を10年(120か月)払い、掛金合計が360万円の個人事業主が240万円の資金を必要としているとします。
貸付限度額は掛金の7〜9割です。7割でも252万円あるので240万円は範囲に収まります。

方法 計算 手元に入る額 失う額・コスト
任意解約 360万円 × 85.00% 306万円 54万円(元本割れ)
一般貸付・12か月一括 240万円 × 年1.5% 240万円 利息36,000円
一般貸付・24か月分割 60万円ずつ4回返済、6か月分ずつ前払い 240万円 利息45,000円
特別貸付・36か月分割
(売上減少などの条件を満たす場合)
40万円ずつ6回返済、年0.9% 240万円 利息37,800円

利息は「残高 × 利率 × 6か月分」を返済のたびに前払いすると単純化した概算です。実際の利子の計算方法は中小機構の定めによります。解約手当金の税金は考慮していません。

解約の損は、1年借りた利息の15倍

解約すると54万円が戻りません。一般貸付で1年借りた利息は36,000円。解約の損は利息の15倍です。
しかも解約すればそれまでの納付月数がリセットされ、その後の所得控除も受けられなくなります。
5年(60か月)で解約した場合でも180万円 × 80.00% = 144万円で、36万円減ります。
一時的な資金不足ならまず借りるのが基本です。

もちろん借りたお金は返さなければいけません。
返済がないまま共済金や解約手当金を請求すると、貸付金相当額が差し引かれます。
約定償還日から1年たっても返済がなければ借入金相当額が掛金から取り崩されます。延滞した場合の延滞利子は年14.6%です。
返済のめどが立たない不足なら、借入を重ねる前に事業の立て直しや公庫への相談を考えたほうがいいです。

掛金が払えないときは、解約の前に減額・掛止め

資金繰りが苦しくて掛金が負担になっても、いきなり解約する必要はありません。検討する順番は次のとおりです。

順番 方法 できること 注意点
1 減額 500円単位で最低1,000円まで減らせる。月7万円を1,000円にすれば、年84万円の支出が年12,000円になる その年に所得控除できる額が少なくなる。前納済みの期間は減額できない
2 掛止め 所得がない、災害に遭った、入院しているなどで継続が著しく困難と認められれば、6か月または12か月払込みを止められる 原則は不可。止めた期間は契約期間に入らず、後から払えない
3 契約者貸付 掛金を残したまま、事業資金を借りる 返済が必要。延滞利子は年14.6%
4 任意解約 解約手当金を受け取る 240か月未満は元本割れ。12か月未満は掛け捨て

未納のまま放置すると、契約が解除されることがあります

口座振替できなかった掛金は、その後の偶数月にまとめて請求される仕組みです。
未納が12か月以上になると、中小機構から解除予告(催告書)兼解除通知書が届き、期限までに納付しないと契約が解除されます。
払えなくなりそうだと思った時点で減額か掛止めの手続きを先に進めておくことです。

掛金より先に税金や社会保険料の支払いが苦しくなっているなら、滞納になる前に納税の猶予や社会保険料の猶予を相談しておきます。
共済の掛金は減額できますが、税金・社会保険料の滞納は融資の審査にも響きます。

経営セーフティ共済との違い

名前が似ていて混同されやすいのが経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)です。
同じ中小機構の制度でも目的と借りられる条件はまったく違います。

小規模企業共済 経営セーフティ共済
何のための制度か 経営者本人の退職金 取引先の倒産による連鎖倒産の防止
誰が入れるか 従業員20人以下(商業・一部サービス業は5人以下)の個人事業主・共同経営者・会社等役員 1年以上事業を続けている中小企業者(会社・個人事業主)
掛金 月1,000円〜70,000円 月5,000円〜20万円、総額800万円まで
税金 掛金の全額が所得控除(個人の所得から引く) 掛金が損金・必要経費(事業の経費)
借りられる条件 12か月以上の納付など。理由を問わない一般貸付がある 無利子の共済金貸付は取引先の倒産が条件。一時貸付金は倒産がなくても可
借入のコスト 年1.5%(特別貸付は年0.9%) 共済金貸付は無利子だが借入額の10分の1が掛金から控除
解約したとき 240か月未満は元本割れ 40か月以上で100%

どちらを選ぶかの目安はシンプルです。
自分の老後・廃業後の資金を作りたいなら小規模企業共済、売掛金の多い取引先が倒れるリスクに備えたいなら経営セーフティ共済です。
両方に加入することもできます。解約時の支給率が上がる時期や借りたときの実質コストは経営セーフティ共済の仕組みで詳しく計算しました。

よくある質問

小規模企業共済の貸付は審査がありますか

一般貸付は納付した掛金から算定した限度額の範囲内で借りる仕組みで、担保・保証人は不要です。
資格は判定時(4月末・10月末)までに12か月以上の掛金を納付していて、限度額が10万円以上あることです。
特別貸付では売上減少や入院などの事由について商工会等の確認や中小機構の承認などが必要になります。

貸付の利率はいくらですか

一般貸付は年1.5%、特別貸付は年0.9%です。
返済が遅れると年14.6%の延滞利子がかかります。
利率は変わることがあるので、借りる前に中小機構の最新の案内に目を通しておくと安心です。

途中で解約するといくら戻りますか

納付12か月未満は0円、12〜83か月は掛金の80%です。そこから少しずつ上がって240か月(20年)で100%になります。
それより前の任意解約は元本割れです。
解約手当金は65歳以上なら退職所得、65歳未満なら一時所得として扱われます。

掛金が払えなくなったらどうすればいいですか

解約の前に掛金月額を最低1,000円まで減額する方法があり、所得がない・災害・入院などの理由があれば6か月または12か月の掛止めも使えます。
未納が12か月以上続くと解除予告の通知が届き、期限までに納付しないと契約が解除されます。

まとめ

  • 小規模企業共済は解約しなくても、掛金の範囲内で契約者貸付を利用できる。担保・保証人は不要
  • 一般貸付は年1.5%・最高2,000万円。売上減少・傷病災害・事業承継などの特別貸付は年0.9%・最高1,000万円
  • 限度額は掛金の7〜9割で年2回(4月・10月)設定。3月に届くお知らせで確認する
  • 240か月未満の解約は元本割れ。月3万円・10年の仮設例では解約で54万円減り、240万円を1年借りた利息36,000円の15倍
  • 払えないときは減額(最低1,000円)→ 掛止め → 貸付 → 解約の順に検討する
  • 取引先の倒産に備えるなら経営セーフティ共済。目的が違うので併用もできる

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の資金調達・税務に関する助言ではありません。
共済の条件・利率・支給率は2026年9月時点の中小機構の公表内容に基づいており、改定されることがあります。
最新の内容は中小機構の公式サイトまたは共済相談室にご確認ください。
税務上の取扱いは個別の状況により異なるため、所轄の税務署または税理士にご相談ください。
記載した計算例は説明のための単純化した仮設例です。

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