「総量規制(読み方:そうりょうきせい)」
カードローンを調べていると耳にすることもあると思います。
簡単に説明すると借入を制限するものです。
しかし、すべてのカードローンが対象ではありません。
当記事では「総量規制とは何か?」という点から、「総量規制の対象と対象外になるもの」についてを紹介したいと思います。
総量規制とは
「総量規制って何?」
まずはこちらについて簡単に説明していきます。
総量規制とは、過度の借入から利用者を守る為の制度です。
この制度により、貸金業者は「利用者の年収3分の1を超える貸付が原則禁止」されています。
具体的に年収別で確認すると、以下のようになります。
例1)年収240万円の人は「最大80万円借入可能」
例2)年収360万円の人は「最大120万円借入可能」
例3)年収480万円の人は「最大160万円借入可能」
借入金額は1社辺りではなく「すべての貸金業者からの総額」となります。
ですから年収240万円の人が既に50万円の借入がある場合は、新たに借入できるのは30万円までとなります。
年収の3分の1を超える借入がある場合は、新たに貸金業者から借入をするのは難しいです。
しかし総量規制の「例外貸付け」や「除外貸付け」に分類されるものは、総量規制にかかわらず借入ができます。
詳しくは次の「総量規制の対象とは」で紹介していきます。
総量規制の対象とは
総量規制はすべてのローン(借入)が対象ではありません。
大きく分けると、以下のように3つに分けられます。
・総量規制の対象
・総量規制の例外貸付け
・総量規制の除外貸付け
それぞれを簡単に紹介していきます。
総量規制の対象
総量規制の対象になるのは「貸金業者からの個人の借入」です。
法人としての借入は総量規制の対象外となります。
貸金業者とは、お金を貸すことを業務としている会社のことで、国に認可を受けた登録業者のことをいいます。
具体的には「消費者金融」や「クレジットカード会社」が貸金業者に該当します。
銀行や信用金庫などは貸金業者に該当しないので、銀行などからの借入(カードローン含む)は総量規制の対象外となります。
つまり、消費者金融やクレジットカード会社からの借入が総量規制の対象となります。
具体的には、
・カードローン
・振込キャッシング
・クレジットカードのキャッシング
などがあります。
総量規制は貸金業法が適用される場合の規制です。
ですからクレジットカードのショッピングは総量規制の対象外となります。
※ショッピングのリボ払いや分割払いは「割賦販売法」が適用されます。
総量規制の例外貸付け
各種借入には総量規制の例外貸付けに分類されるものもあります。
例外貸付けとは、言葉の通り「例外的に貸付けを認める制度」です。
つまり、年収の3分の1を超える借入が可能になるということです。
例外貸付けに分類されるのは、以下の通りのです。
1.顧客に一方的に有利となる借換
2.借入残高を段階的に減少させるための借換
3.緊急に必要と認められる医療資金の貸付
4.社会通念上、緊急に必要と認められる資金の貸付
(10万円以下、3か月以内の返済などが要件)
5.配偶者とあわせた年収3分の1以下の貸付
(配偶者の同意が必要)
6.個人事業者に対する貸付
7.新たに事業を営む個人事業者に対する貸付
8.預金取扱金融機関からの貸付を受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け
(貸付けが行われることが確実であることが確認でき、1か月以内の返済であることが要件)
色々とあるので例外貸付けの具体例をいくつか確認していきましょう。
例外貸付けの具体例
・おまとめローン
・緊急入院等の医療費
・専業主婦の借入
それぞれを簡単に紹介していきます。
1.おまとめローン
おまとめローンとは、複数社からの借入を1社にまとめる為のローンです。
1社にまとめることで
・金利が低くなる
・毎月の返済が1社で完結できる
・返済額が軽減される
など「顧客に一方的に有利となる借換」ができます。
総量規制が適用される前までは、年収の3分の1以上でも借入が可能となっていました。
そのため、既に年収の3分の1を超える借入をしている人も沢山います。
また、年収の3分の1を超えていない場合でも、おまとめローンを契約する際に、一時的に超えてしまうケースが多いです。
総量規制の対象にしてしまうと、そういう方が利用できなくなってしまいますね。
そのようなことがないように例外貸付けとして認められています。
おまとめローンの目的は「借入残高を段階的に減少されるための借換」です。
「借入残高を段階的に減少」とあるように、おまとめローンはカードローンのように利用限度額の範囲内で繰り返し利用はできません。
2.緊急時の医療費
医療費も例外貸付けの対象となります。
自分はもちろんですが、親族などの医療費も対象です。
しかし全ての医療費が対象ではありません。
「緊急に必要と認められる医療資金の貸付」のみが対象です。
3.専業主婦の借入
例外貸付けのひとつに「配偶者とあわせた年収3分の1以下の貸付」というのがありましたね。
わかりやすい例として、専業主婦の借入があります。
総量規制の対象だと「ご自身の年収の3分の1まで」となりますから、専業主婦の方は借入ができません。
しかし例外として「配偶者とあわせた年収3分の1以下の貸付」があるので、専業主婦の方も借入が可能となっています。
但し、配偶者の同意は必要となります。
1~3のよくある例外貸付けを紹介しました。
また、個人事業者は「事業計画等により返済能力を超えないと認められる場合」は例外貸付けが可能となっており、年収の3分の1を超える借入が可能です。
総量規制の除外貸付け
例外貸付けの他には「除外貸付け」があります。
除外貸付けとは、言葉の通り「総量規制の対象から除外される貸付け」のことをいいます。
総量規制といっても、すべてのローン(借入金)が対象になるわけではありません。
・住宅ローン
・自動車ローン
・高額療養費の貸付け
・有価証券を担保とする貸付け
・不動産を担保とする貸付け
・売却予定不動産の売却代金により返済される貸付け
上記のローンや貸付けは除外貸付けとなっています。
除外貸付けは高額であることが多く、年収の3分の1を超えてしまうケースもあります。
そうなると多くの人が住宅や自動車の購入等ができなくなってしまいます。
ですから、そういった総量規制に適用するのが不適当なものは除外対象となっています。
カードローン等で自動車の購入資金を借入した場合は、総量規制の対象となります。
あくまで「自動車ローン」が除外貸付けであって、自動車の購入資金が除外対象となるわけではありません。
また、有価証券や不動産、売却代金などの担保がある貸付けも総量規制から除外されています。
総量規制の注意点
総量規制を紹介してきました。
ここで勘違いをしないように、2つの注意点を紹介したいと思います。
・総量規制は絶対ではない
・総量規制の基準となる年収
それぞれを確認していきましょう。
総量規制は絶対ではない
総量規制の対象となる借入は「年収の3分の1まで」と紹介しました。
しかし総量規制は絶対ではありません。
総量規制的には「年収300万円の人は100万円まで借入OKですよ」と言っても、実際にお金を貸すのは貸金業者です。
ですから貸金業者が「あなたは50万円までなら借入OKですよ」と言うならば、50万円までしか借入はできません。
除外貸付け(例えば、住宅ローン)の場合も同様です。
総量規制の対象から除外されているとはいえ、返済能力が乏しいと判断された場合は住宅ローンは組めません。
また、総量規制の対象であるカードローンと除外貸付けの住宅ローンは別枠として考えられていますが、カードローン等で借入がある場合は、住宅ローンの審査に少なからず影響すると認識しておいた方がいいでしょう。
総量規制はあくまで目安ということを覚えておきましょう。
総量規制の基準となる年収
総量規制は年収の3分の1を基準としています。
それでは「年収」に該当する収入とは何を指しているのでしょうか。
ほとんどの方は「給与」が該当します。
しかしそれ以外にも該当するものがあります。
・給与
・年金
・恩給
・定期的に受領する不動産の賃貸収入
(事業として行う場合は除く)
・年間の事業所得
(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る)
給与以外には、年金なども年収に含まれます。
つまり給与所得と年金受給がある場合は、それらの合計が年収となります。
また、最近は副業をされている方も増えており、様々な形で収入を増やしている方がいます。
しかしそれらの収入は貸金業法上では年収に含まれない可能性があります。
・宝くじの当選金
・各種保険金(生命保険、損害保険等)
・ギャンブルの配当金(競馬や競艇等)
・株式の配当金
・譲渡所得
ですから実際に稼いだ金額が「給与所得300万円と副業60万円」だとしても、総量規制的には給与所得の300万円のみを基準として計算する場合もあります。
お申込時に年収を記入することも多いですが、間違った記入をすると審査に時間がかかったり、審査に通らなかったりするので覚えておくといいでしょう。
まとめ
総量規制について紹介しました。
総量規制の対象になるのは
・消費者金融からの借入
・クレジットカード会社からの借入
主に上記の2つです。
銀行や信用金庫からの借入は総量規制の対象になりません。
極端な話ですが、銀行から年収と同等の金額を借入していても、消費者金融から年収の3分の1までは借入できることになります。
しかし、実際のところは返済能力の有無で借入金額等は決まりますから、上記のケースのように年収以上の借入ができるのは稀です。
最近では銀行も自主規制をしており、年収の3分の1から2分の1程度でとどめていることが多いです。
ですからカードローン等を利用する場合は「借入金額は原則年収の3分の1まで」と覚えておくのがいいでしょう。