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事業融資の平均金利|日銀の貸出約定平均金利の推移と、公庫・マル経・保証協会付との総額の差を500万円・5年で計算

最終更新日:

この記事の要点

  • 日本銀行の公表では国内銀行が2026年8月に新しく貸した1年以上の貸出の平均は年1.999%でした。2022年8月の0.766%から1.233ポイント上がり、同じ500万円・5年の利息は97,957円から258,197円に増えています。
  • この平均には住宅ローンや政府向けの貸出も入っています。中小企業の事業融資だけの金利ではありません。
  • 500万円・5年の総額は、平均の金利より公庫の中小企業事業の基準利率(5年以内3.20%)で159,115円多く、マル経融資(3.05%)で139,079円多くなります。平均の金利に保証料(東京信用保証協会の区分1)を足した432,822円は、平均より174,625円多い額です。

推移は8月の平均金利の表、総額の差は同じ500万円・5年の表からどうぞ。

日本銀行の公表では2026年8月に国内銀行が新しく貸した1年以上の貸出の平均金利は年1.999%でした。信用金庫は2.209%です。残高のある貸出全体(ストック)は国内銀行1.424%、信用金庫1.796%でした。

ただしこの平均には住宅ローンや政府向けの貸出も入っていて、中小企業が事業資金を借りるときの金利そのものではありません。
平均は「いまの水準と動き」を見る物差しで、自分の借入の金利は銀行や公庫の提示で決まります。

日銀の月次の公表7本と公庫・東京信用保証協会の原文から、平均金利の推移と同じ500万円・5年の総額の差を計算しました。
形態ごとの平均金利と印紙税は当座貸越・手形貸付・証書貸付の違いに載せています。

日銀の平均金利は、事業融資の金利ではない

「貸出約定平均金利」は日本銀行が国内銀行と信用金庫の円貸出の金利を貸出残高で加重平均して毎月公表しているものです。
対象は銀行勘定の円貸出から金融機関向けを除いたもので、日銀の解説は一般法人向け・個人向け(住宅ローンを含む)・政府向け・地公体向けを例に挙げています。
事業融資に絞った数字ではなく、中小企業に限った数字でもありません。

項目 日本銀行の解説に書かれていること
新規 月末の貸出残高のうち当月中に実行した貸出。手形貸付の書替継続のように、いったん返済を受けて同額を貸す取引もすべて含む。大口融資の実行の有無で月々大きく振れることがある
ストック 月末時点で残高のあるすべての貸出
短期・長期 約定時の貸出期間が1年未満なら短期、1年以上なら長期。住宅ローンは大半が1年以上のため長期に入る
国内銀行 都市銀行・地方銀行・第二地方銀行のほか、信託銀行やSBI新生銀行・あおぞら銀行なども含む。ゆうちょ銀行は除く
信用金庫 全国信用金庫協会のデータ。短期は手形貸付と割引手形、長期は証書貸付の金利

原文:日本銀行「『貸出約定平均金利の推移』の解説」。表は要旨の言い換えです。
同じ解説は参考データとして、金利ごとの貸出残高を0.25%刻みで載せる「利率別貸出金」も挙げています。ここでは使っていません。

上位の解説には、この平均を「銀行融資の金利の目安」として示すものがあります。
借り手の信用力も借りる期間も混ざった平均なので、平均より高い金利で借りることも低い金利で借りることもあります。
この表だけでは、大きな会社向けや住宅ローンが平均をどれだけ動かしているかは分かりません。

平均金利の推移のイメージ

平均金利の推移:2022年8月から2026年8月まで

日銀の月次の公表から毎年8月の平均金利を取り出しました。長期は貸出期間が1年以上で事業資金の証書貸付に近い区分です。

各年8月 新規 長期
国内銀行
新規 長期
信用金庫
ストック 長期
国内銀行
ストック 長期
信用金庫
新規とストックの差
国内銀行
500万円・5年の利息
(国内銀行 新規長期)
2022年 0.766% 1.593% 0.749% 1.356% 0.017 97,957円
2023年 0.830% 1.575% 0.746% 1.354% 0.084 106,196円
2024年 0.933% 1.627% 0.813% 1.363% 0.120 119,475円
2025年 1.378% 1.871% 1.083% 1.582% 0.295 177,097円
2026年 1.999% 2.209% 1.424% 1.796% 0.575 258,197円

※ 当サイトの計算。前提:借入500万円・5年(60回)の元利均等・月払い。月利は年利の12分の1で、金利は表の新規長期(国内銀行)をそのまま当てはめた。差の単位はポイントです。
原文:日本銀行「貸出約定平均金利の推移」の各月のPDF(2026年8月分は2026年10月2日公表)。
2022年から2025年は各年8月を含む月次PDFの数値です。日銀が後の公表で0.001ポイント改めた値は新しい公表のものを使いました。2026年7月と8月の表は画像のため画像を読み取って転記しました。

国内銀行の新規長期は4年で0.766%から1.999%に上がり、同じ500万円・5年の利息は約2.6倍になりました。
信用金庫は1.593%から2.209%で、国内銀行との差は2022年8月の0.827ポイントから2026年8月の0.210ポイントに縮みました。

2026年8月の業態別

業態(2026年8月) 新規 長期 ストック 長期
国内銀行 1.999% 1.424%
 都市銀行 2.159% 1.490%
 地方銀行 1.862% 1.370%
 第二地方銀行 1.991% 1.460%
信用金庫 2.209% 1.796%

原文:日本銀行「貸出約定平均金利の推移(2026年8月)」(表は画像のため読み取って転記)。
都市銀行はみずほ・三菱UFJ・三井住友・りそな・埼玉りそなの各銀行です。

新規の長期は都市銀行が最も高く、地方銀行が最も低くなっています。差は0.297ポイントです。
2026年3月から8月の新規長期は都市銀行が1.962%から2.546%と幅が大きく地方銀行は1.705%から1.902%でした。

新規とストックが0.575ポイント開いた:どちらと比べるか

推移の表の右から2番目の列が、新規とストックの差です。2022年8月は0.017ポイントでほぼ同じでしたが2026年8月は0.575ポイントに開いています。

ストックは過去に貸した分も残高に含む平均です。表の数字では、新規より遅れて上がっています。
そのためこれから借りる金利を考えるなら新規の1.999%、いま持っている借入の金利を点検するならストックの1.424%と比べるのが筋です。
ストックの平均だけを見て「平均は1%台前半」と考えると、これから借りるときの水準を低く見積もります。

新規は大口融資の有無で月々振れます。2026年は3月から8月まで国内銀行の新規長期が1.790%から2.066%の間を動いています(4月1.790%・5月2.066%・8月1.999%)。
1か月の数字ではなく、数か月の動きで見てください。

原文:日本銀行「貸出約定平均金利の推移(2026年8月)」の「1. 新規」。

同じ500万円・5年で、平均金利と公庫・マル経・保証付の総額を並べる

日銀の平均金利で借りられたと仮定した場合と、公庫・マル経・保証協会付の総額を同じ条件で並べます。
保証協会付は利息に保証料が加わります。保証付の貸し手の金利は確認した資料に載っていないため、ここでは日銀の平均をその金利とみなしました。公庫の利率は令和8年10月1日現在のものです。

借り方(500万円・5年) 金利 利息総額 保証料 合計 平均との差
日銀の平均 国内銀行 新規長期 1.999% 258,197円 なし 258,197円 基準
日銀の平均 信用金庫 新規長期 2.209% 285,803円 なし 285,803円 +27,606円
国内銀行の平均+保証料 区分9 1.999% 258,197円 41,250円 299,447円 +41,250円
国内銀行の平均+保証料 区分1 1.999% 258,197円 174,625円 432,822円 +174,625円
信用金庫の平均+保証料 区分9 2.209% 285,803円 41,250円 327,053円 +68,856円
信用金庫の平均+保証料 区分1 2.209% 285,803円 174,625円 460,428円 +202,231円
公庫 中小企業事業 基準利率 5年以内 3.20% 417,312円 なし 417,312円 +159,115円
公庫 中小企業事業 特別利率③ 5年以内 2.30% 297,794円 なし 297,794円 +39,597円
公庫 国民生活事業 無担保・2期済 基準利率の下限 4.05% 531,728円 なし 531,728円 +273,531円
公庫 国民生活事業 無担保・2期済 基準利率の上限 5.65% 751,142円 なし 751,142円 +492,945円
マル経融資(特別利率F) 3.05% 397,276円 なし 397,276円 +139,079円

※ 当サイトの試算。前提:借入500万円・5年(60回)の元利均等・月払い・据置なし。月利は年利の12分の1。保証料は「500万円×料率×60÷12×0.55」(円未満切捨て)で0.55は25回以上の均等分割の係数。料率は東京信用保証協会の500万円以下・一般保証で区分は9つあり区分9が最も低く(0.30%)区分1が最も高い(1.27%)。公庫の日割り計算や端数処理は含みません。
利率は令和8年10月1日現在で改定されると変わります。国民生活事業は融資制度・使いみち・期間・担保などで幅があり表は無担保で税務申告を2期終えている場合の下限と上限です。中小企業事業は公庫が「標準的な貸付利率」とし適用利率は信用リスク等で変わると注記しています。特別利率③の適用条件は確かめていません。
原文:公庫「金利情報【国民生活事業】」(令和8年10月1日現在)、同【中小企業事業】(令和8年10月1日実施)、東京信用保証協会「信用保証料率の体系」・同「信用保証料の計算例」。

平均の金利で借りられるなら、総額は公庫の基準利率より少なくなります。差は中小企業事業の基準利率で159,115円、国民生活事業の基準利率の下限で273,531円です。
保証料を足すと区分9の299,447円はマル経融資(397,276円)より少なく、区分1の432,822円は中小企業事業の基準利率(417,312円)より多くなります。
保証付は保証料の区分で総額が133,375円変わります。

この表を読むときの注意は2つあります。
1つ目は、平均の金利で借りられるのは平均的な借り手で、事業の実績が短い小規模な事業者が同じ金利になるとは限らないことです。
2つ目は、公庫の利率が融資制度や担保の有無で幅を持つことです。表の値は無担保で税務申告を2期終えている場合の例です。比べるときは金利だけでなく、保証料を含めた合計を見てください。

銀行の金利がいくら以下なら保証付が公庫と並ぶかは、公的融資制度の比較で逆算しています。
保証料の仕組みは信用保証協会付融資にまとめています。

金利の差を総額に直す早見

500万円・5年で金利が2.0%のときの利息を基準に、金利が上がると利息がいくら増えるかを計算しました。

金利 利息総額 2.0%との差
2.0% 258,328円 基準
2.1%(+0.1ポイント) 271,463円 +13,135円
2.5%(+0.5ポイント) 324,208円 +65,880円
3.0%(+1.0ポイント) 390,607円 +132,279円
4.0%(+2.0ポイント) 524,957円 +266,629円

※ 当サイトの計算。前提は前の表と同じです。500万円・5年では金利が0.1ポイント違うと利息は1万3千円ほど変わります。

自分の金利と平均を比べるイメージ

自分の借入金利が平均より高いかを計算する

複数の借入があるときは、残高で重みを付けた平均で比べます。式は次のとおりです。

  • 加重平均の金利=(各借入の残高×金利)の合計÷残高の合計

設例です(実在の事業者ではなく計算の説明のために置いた数字です)。銀行から残高1,000万円を年1.8%で、公庫から残高500万円を年3.05%で借りているとします。
(1,000万円×1.8%+500万円×3.05%)÷1,500万円で、加重平均は約2.217%です。
この金利を日銀のストックの長期(国内銀行1.424%・信用金庫1.796%)と比べます。

  1. 期間が1年以上の借入の金利を集めて、加重平均を出す
  2. いま持っている借入はストックの長期、これから借りる条件は新規の長期(国内銀行1.999%・信用金庫2.209%)と比べる
  3. 平均より高い場合は、金利の理由(担保・保証・創業からの年数・決算の内容)を借入先に聞く

平均より高いことは、それだけでは不利とは言えません。
日銀のストックは住宅ローンなどを含む平均で、担保や保証の有無も借り手の規模も混ざっているからです。
保証協会付なら、利息に保証料を足した合計で見ます。
平均との差は「見直しのきっかけ」であり、借換えの可否は提示条件で決めます。
借換えの比較には、前の章の総額の表がそのまま使えます。

よくある質問

事業融資の金利の平均はいくらですか

日本銀行の2026年8月の公表で国内銀行の新規長期は1.999%、ストック長期は1.424%です。信用金庫は2.209%と1.796%です。ただし住宅ローンや政府向けを含む平均で中小企業の事業融資だけの平均ではありません。

日銀の平均金利と公庫の金利はなぜ違いますか

平均に含まれる貸出と借り手が違うためです。日銀の平均は銀行と信用金庫の貸出全体の残高加重平均で公庫は融資制度や担保の有無ごとの利率表です。500万円・5年の利息は日銀の平均(1.999%)なら258,197円で公庫の中小企業事業の基準利率(3.20%)なら417,312円です。

保証協会付の融資は、平均金利より高くつきますか

利息に保証料が加わるため同じ金利なら高くなります。500万円・5年で平均金利の1.999%なら東京信用保証協会の区分9で299,447円、区分1で432,822円です。保証付の金利は貸し手が決めるので実際の総額は銀行の提示で変わります。

自分の借入金利が平均より高いかは、どう調べますか

残高で重みを付けた加重平均を出してストックの長期(国内銀行1.424%)と比べます。これから借りる条件は新規の長期(1.999%)と比べます。平均との差は見直しのきっかけで借換えの判断は借入先の提示条件で行います。

まとめ

  • 日銀の平均金利(2026年8月)は国内銀行の新規長期が1.999%、ストック長期が1.424%。住宅ローンや政府向けを含み、事業融資だけの金利ではない
  • 国内銀行の新規長期は2022年8月の0.766%から上がり、500万円・5年の利息は97,957円から258,197円に増えた。新規とストックの差は0.575ポイントに開いた
  • 平均の金利と比べると、公庫の中小企業事業の基準利率は+159,115円、マル経は+139,079円。保証付は保証料の区分で総額が133,375円変わる
  • 自分の借入は残高加重平均で出し、いまの借入はストック、これからの借入は新規と比べる

この記事の調べ方

  • 日本銀行の月次公表(2022年8月から2026年8月まで)と日銀の解説は原文で読みました。2026年3月から8月の表は画像のため読み取って転記し、うち3月から6月は文字の層のある2026年6月分のPDFと突き合わせて一致を確かめました。
  • 公庫の利率と東京信用保証協会の保証料率は公式ページの原文で確かめ、利息と保証料は元利均等の式で計算した試算です。実際の金利は審査で決まり、保証付の貸し手の金利は確認できませんでした。
  • 日銀の平均を事業融資の金利としてそのまま示す説明や、公庫・マル経の利率を現行と違う数字で書く説明は、日銀・公庫の原文と合わないため使っていません。日銀の「利率別貸出金」と、公庫の各区分の対象となる借入額は確認していません。

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の融資・税務に関する助言ではありません。
融資・保証の可否と条件は各金融機関・日本政策金融公庫・信用保証協会の審査によって決まります。金利・保証料率は変更されることがあるため、申込前に各機関の公式情報をご確認ください。
記載した計算例は、日本銀行の平均金利と公式の利率を当てはめた説明のための単純化した試算です。

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