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開業費用の平均は975万円・中央値は600万円|35年の推移と資金調達の内訳を公庫の調査から再計算

最終更新日:

開業費用の平均は975万円で中央値は600万円です。日本政策金融公庫(公庫)総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」が公表した数字で、公庫が融資した開業後1年以内の企業が対象です。
費用の大きい開業が少数含まれるので、平均は中央値を375万円上回ります。1,000万円未満で開業した企業は71.5%で、500万円未満でも41.8%でした。

この記事の要点

  • 開業費用は平均975万円・中央値600万円。1,000万円未満で開業した割合は71.5%で、1991年度の50.5%から21ポイント増えました。
  • 資金調達額の平均(1,219万円)は開業費用の平均より244万円多い状態です。この差は1998年度までは0〜71万円でしたが、1999年度以降は90〜251万円で推移しています。
  • 調達額に占める自己資金は22.9%で金融機関等からの借入は67.9%です。自己資金の割合は35年間で21.2〜30.2%の幅に収まっています。公庫が業種別に載せた最新の内訳は2018年度調査で、飲食店・宿泊業の内装工事は482万円と運転資金(196万円)の約2.5倍でした。

開業費用の分布・調達額との差・業種別の内訳の順に並べました。

調べたのは公庫の2025年度調査です。調査時点は2025年8月で、2024年4〜9月に公庫が融資した開業後1年以内の企業8,517社に調査票を送り、2,165社が回答しました(不動産賃貸業は除く)。
公庫から借りた企業の調査なので日本の開業者全体の平均ではありません。図ごとの回答数は資料に記載がありません。金額は各年度の当時の金額で物価の補正はしていません。

公庫の概要版には、開業費用と資金調達額を1991年度から2025年度まで並べた図が載っています。その数値ラベルを年度ごとに書き出し、割り算と引き算をしました。
創業融資の条件と返済は創業融資の記事で扱っています。

開業費用の分布:1,000万円未満が71.5%

2025年度の開業費用を金額の階級に分けた割合です。右の列は、少ない階級から足し上げた累積の割合です。

開業費用 割合 累積の割合
250万円未満 20.1% 20.1%
250万円〜500万円未満 21.7% 41.8%
500万円〜1,000万円未満 29.7% 71.5%
1,000万円〜2,000万円未満 18.5% 90.0%
2,000万円以上 10.0% 100.0%

前提:2025年度調査、回答2,165社(図ごとの回答数は記載なし)。累積の割合は当サイトの足し算です。
原文:日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」p.9 図-13。

平均の975万円は「500万円〜1,000万円未満」の階級に入り、その階級は29.7%です。1,000万円以上で開業したのは28.5%で、2,000万円以上の10.0%のような大きな開業が平均を引き上げています。
平均と中央値の差は375万円です。自分の見積もりを比べる相手は平均より中央値と分布が向いています。

開業費用の推移のイメージ

35年で開業費用はどう動いたか

同じ図-13から、年度を選んで平均・中央値・累積の割合を並べました。

調査年度 平均 中央値 平均÷中央値 500万円未満 1,000万円未満
1991年度 1,440万円 970万円 1.48倍 23.8% 50.5%
2000年度 1,537万円 895万円 1.72倍 24.4% 53.6%
2010年度 1,289万円 620万円 2.08倍 38.1% 66.6%
2020年度 989万円 560万円 1.77倍 43.7% 71.0%
2024年度 985万円 580万円 1.70倍 41.1% 71.8%
2025年度 975万円 600万円 1.63倍 41.8% 71.5%

前提:金額は当時の金額(物価の補正なし)。平均÷中央値と累積の割合は当サイトの計算(小数第3位を四捨五入)。1999年度までは「500万円未満」が1つの階級で、250万円未満は分かれていません。
原文:日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」p.9 図-13。

  • 平均は1994年度の1,775万円が最高で最低は2021年度の941万円です。2025年度の975万円は低い方から2番目でした。
  • 中央値は1993〜1995年度の1,000万円から2022年度と2023年度の550万円まで下がり、2025年度は600万円です。
  • 平均÷中央値は1991年度の1.48倍から2005年度の2.18倍(最大)まで開き、2025年度は1.63倍です。大きな開業が平均を押し上げる程度は年度で違います。
  • 1,000万円未満で開業した割合は、1991年度の50.5%から2025年度の71.5%に増えました。

言えるのは、公庫の融資先の開業費用が35年で少額の側に寄ったことまでです。物価や業種の構成も同じ期間に変わっているので理由までは分かりません。

調達額の平均1,219万円は、開業費用の平均975万円より244万円多い

公庫の概要版には、開業費用とは別に「開業時の資金調達額」の平均も載っています。2025年度は1,219万円で、開業費用の平均975万円との差は244万円です。同じ年度どうしを引き算し、年度を選んで並べました。

調査年度 開業費用の平均 資金調達額の平均 差(調達額−開業費用)
1991年度 1,440万円 1,452万円 12万円
1998年度 1,377万円 1,442万円 65万円
1999年度 1,682万円 1,832万円 150万円
2010年度 1,289万円 1,449万円 160万円
2020年度 989万円 1,194万円 205万円
2025年度 975万円 1,219万円 244万円

前提:2つの平均は別の図の数値で、差は当サイトの引き算です。公庫の資料にこの差の理由は書かれていません。
原文:日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」p.9 図-13とp.10 図-14。

35年分を引き算すると、1998年度までは0〜71万円(1993年度は−1万円)で1999年度以降は90〜251万円でした。2025年度の244万円は最大の2011年度(251万円)に近い水準です。
1991年度から2025年度までに開業費用の平均は465万円減り、調達額の平均は233万円減りました。調達額は費用ほど減っていません。

開業費用の平均だけを見ると、公庫の融資先が実際に集めた金額より小さく見えます。目安にするなら開業費用と調達額の両方を並べて見てください。
運転資金を含めた必要額の考え方は運転資金の計算方法にまとめています。

資金調達の内訳:自己資金は2割台、金融機関等は5〜7割

図-14は調達額の平均を調達先ごとに分けています。年度ごとの金額を調達額で割り、割合に直しました。

調査年度 調達額 自己資金 親族・友人・知人等 金融機関等 その他
1991年度 1,452万円 360万円(24.8%) 243万円(16.7%) 748万円(51.5%) 101万円(7.0%)
2000年度 1,645万円 428万円(26.0%) 241万円(14.7%) 895万円(54.4%) 82万円(5.0%)
2010年度 1,449万円 364万円(25.1%) 211万円(14.6%) 827万円(57.1%) 46万円(3.2%)
2020年度 1,194万円 266万円(22.3%) 78万円(6.5%) 825万円(69.1%) 25万円(2.1%)
2024年度 1,197万円 293万円(24.5%) 90万円(7.5%) 780万円(65.2%) 34万円(2.8%)
2025年度 1,219万円 279万円(22.9%) 94万円(7.7%) 827万円(67.8%) 19万円(1.6%)

前提:割合は「平均額÷調達額」を当サイトが小数第2位で四捨五入したものです。2025年度の金融機関等は原文が67.9%と書いています(丸める前の金額で計算した値)。「親族・友人・知人等」は「配偶者・親・兄弟・親戚」と「友人・知人等」の合計で、借入と出資の両方を含みます。「金融機関等」には公庫・民間金融機関・地方自治体(制度融資)などが入ります。
原文:日本公庫総研「2025年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」p.10 図-14。

  • 自己資金の金額は1991年度の360万円から279万円へ81万円減り、金融機関等は748万円から827万円へ79万円増えました。割合では金融機関等が51.5%から67.8%へ上がっています。
  • 親族・友人・知人等は16.7%から7.7%へ下がりました。35年での最大は1999年度の16.9%、最小は2021年度の6.3%です。
  • 自己資金の割合は35年で最小21.2%(2019年度)最大30.2%(1998年度)の幅でした。2025年度の22.9%は低い方の水準です。

平均の割合をそのまま自分の開業に当てはめることはできません。費用の小さい開業と大きい開業では自己資金の割合が違うはずだからです。公庫の概要版は規模別の割合を載せていません。
自己資金の見られ方や面談で確認される点は公庫の面談の記事に書きました。

業種ごとに違う開業費用のイメージ

業種で費用の中身は違う:公庫が業種別に載せた最新の内訳

2025年度の概要版に業種別の開業費用は載っていません。公庫の調査ページで探せた範囲では、開業費用の内訳を業種別に載せた最新の資料は2018年度調査の特別調査「250万円未満の少額開業の実態」(2019年3月公表)でした。
公庫は詳しい内容を『新規開業白書』などの書籍で案内しています。

この資料は開業費用が250万円以上の企業を「非少額開業」としています。非少額開業の合計額に構成比を掛けて、項目ごとの金額を万円に直しました。

業種(2018年度、非少額開業) 合計 運転資金 内装工事 設備の購入 不動産の購入 その他
全業種計 1,247万円 364万円 257万円 291万円 216万円 121万円
建設業 902万円 412万円 53万円 273万円 102万円 61万円
運輸業 722万円 284万円 31万円 327万円 0万円 79万円
小売業 1,148万円 344万円 203万円 200万円 219万円 181万円
飲食店・宿泊業 1,295万円 196万円 482万円 231万円 241万円 145万円
医療・福祉 1,822万円 530万円 324万円 415万円 412万円 140万円
サービス業 1,149万円 275万円 255万円 329万円 200万円 91万円

前提:2018年度調査(2018年7月実施、回答1,655社。業種ごとの回答数は記載なし)。金額は「合計×構成比」を万円未満で四捨五入した当サイトの換算です。構成比が四捨五入されているので数万円のずれがあります。「その他」は敷金・入居保証金・フランチャイズ加盟金など。2025年度とは調査年度も物価も違います。
原文:日本公庫総研「250万円未満の少額開業の実態~2018年度新規開業実態調査結果から~」p.7 図-16。

  • 飲食店・宿泊業は内装工事が482万円(37.2%)で、運転資金の196万円(15.1%)の約2.5倍です。
  • 建設業は運転資金が412万円(45.7%)で最も大きく、運輸業は設備の購入が327万円(45.3%)です。
  • 医療・福祉は合計1,822万円で、運転資金だけで530万円です。運輸業の合計は722万円でした。

業種で合計も中身も違うので、全業種の平均975万円は自分の業種の目安としては粗い数字です。
開業費用250万円未満の「少額開業」も同じ図に業種別の合計があります(全業種計139万円、運輸業189万円、サービス業132万円など)。
2018年度の全体の平均は1,062万円で、2025年度の975万円より87万円高い水準でした。

自分の見積もりに当てはめる順番

  1. 費用を項目に分けて見積もる。運転資金・内装工事・設備の購入・不動産の購入(敷金や保証金を含む)・その他の5つに分けると、上の表と並べられます。
  2. 合計を中央値600万円と分布に当てる。500万円未満なら下位41.8%、1,000万円以上なら上位28.5%に入ります。
  3. 調達額は開業費用より多めに見る。公庫の融資先は平均で費用より244万円多く集めています。理由は資料にないので、自分の余裕は運転資金の計算で決めます。
  4. 自己資金の割合は幅で見る。35年の幅は21.2〜30.2%です。最初の1年の資金繰りは創業1年目の資金繰り、個人事業主の借入先は個人事業主の資金調達にあります。

よくある質問

開業費用の平均はいくらですか

公庫の2025年度新規開業実態調査では、平均975万円で中央値600万円です。公庫が融資した開業後1年以内の企業(不動産賃貸業を除く)の数字で、1,000万円未満が71.5%で500万円未満が41.8%でした。

平均と中央値のどちらを目安にすればよいですか

全体の位置を知るなら中央値の600万円と分布です。平均は2,000万円以上(10.0%)などの大きな開業に引き上げられ、中央値より375万円高くなっています。自分の業種では運転資金・内装・設備の中身が違うので、項目ごとの見積もりが基準になります。

開業のとき、自己資金はどれくらい用意している人が多いですか

平均では279万円で、調達額(1,219万円)の22.9%です。これは平均値で費用の規模別の数字ではありません。割合は1991年度から2025年度までの35年で21.2〜30.2%の幅でした。

業種別の開業費用の平均は、公庫が公表していますか

2025年度の概要版には載っていません。開業費用の内訳を業種別に載せた最新の公開資料は、2018年度調査の特別調査(2019年3月公表)でした。公庫は詳しい内容を『新規開業白書』などの書籍で案内しています。

まとめ

  • 開業費用は平均975万円・中央値600万円。1,000万円未満が71.5%、500万円未満が41.8%
  • 35年で平均は465万円減り、1,000万円未満の割合は50.5%から71.5%に増えた
  • 調達額の平均は費用の平均より244万円多い。1998年度までは0〜71万円、1999年度以降は90〜251万円
  • 自己資金は調達額の22.9%(35年の幅は21.2〜30.2%)、金融機関等は67.9%
  • 業種で内訳は違い、飲食店・宿泊業は内装工事が482万円。業種別の最新の内訳は2018年度調査

この記事の調べ方

  • 公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表)のPDFを原文で読み、図-13と図-14の数値ラベルを35年分書き出しました。各系列の並びが原文と同じこと、年度ごとの内訳の合計が公表の合計と3万円以内で合うことを検算で確かめています。
  • 割合・累積・差・倍率は当サイトの計算で、前提を表の下に書きました。業種別は2025年度版に載っていないので2018年度の特別調査の図-16だけを使い、年度を明記しています。
  • 他のページに見られる業種別の開業資金の「目安」は、調査名と年度が書かれていないものが多く、公庫の公開PDFで確認できなかったので使っていません。公庫の調査ページの注意書きに従い、「日本公庫総研」と調査名を原文の欄に記しました。

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の融資・税務に関する助言ではありません。
調査結果は公庫の融資を受けた企業の平均で、個々の開業に必要な金額や融資の可否を示すものではありません。
記載した割合・差・金額の換算は説明のための試算で、公庫の公表値とは丸め方の違いで差が出ることがあります。

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