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当座貸越・手形貸付・証書貸付の違い|同じ300万円の利息と印紙税、当座貸越が得になる日数を計算

最終更新日:

この記事の要点

  • 日本銀行の公表値(2026年8月末)では、国内銀行の平均金利は当座貸越が2.050%、証書貸付にあたる長期が1.424%でした。当座貸越は0.626ポイント高く、信用金庫では0.984ポイント高くなっています。
  • 同じ300万円を60日だけ借りると、利息と印紙税の合計は手形貸付8,101円、当座貸越10,110円、証書貸付(12か月)25,190円です。金利が低くても、借りる期間が短ければ証書貸付は割高になります。
  • 当座貸越が証書貸付より安いのは、1年に300万円を使う日数が国内銀行の平均で137日まで、信用金庫で128日までです。手形貸付とは13日で逆転します。

費用の差は同じ300万円での比較表、使い分けは当座貸越が得になる日数からどうぞ。

銀行からの借入は、証書貸付・手形貸付・当座貸越・手形割引の4つの形に分かれます。
どれを選ぶかで変わるのは、契約書の種類と借りる期間の自由度、それに印紙税です。
費用の差は「金利の高さ」よりも「何日借りるか」と「返し方」で決まります。

日本銀行の統計と国税庁の税額表だけを使い、形ごとの平均金利と、同じ300万円を借りたときの費用を計算します。当座貸越が得になる日数と手形貸付の今後も、原文で確かめました。
手形そのものの廃止と手形割引のコストは手形が廃止されたら何が変わるかで計算しています。

4つの形は、何が違うか

上位の解説がそろって書く違いを、書類と返し方と印紙税に絞って並べます。

形 借りるときの書類 返し方(一般的な説明) 印紙税
証書貸付 金銭消費貸借契約書 分割して返す形が多い 契約ごとに課税。300万円は2,000円
手形貸付 銀行あての約束手形 期日に一括して返す形が多い 手形1枚ごとに課税。300万円は600円
当座貸越 極度額を決める契約 極度額の範囲で借入と返済を繰り返せる 借入のたびの印紙は不要(契約書の税額は未確認)
手形割引 自分が受け取った約束手形 期日前に割引料を引いて現金にする ここでは計算しない

原文:国税庁 No.7140「印紙税額の一覧表(その1)」(令和8年4月1日現在。金銭消費貸借契約書は第1号の3文書で100万円超500万円以下、約束手形は第3号文書で200万円超300万円以下)、長崎県信用保証協会。
書類と返し方の欄は一般的な説明で、実際の契約で変わります。

国税庁の質疑応答事例には、手形貸付の方法で一定の金額の範囲内を反復して借りる極度契約があります。
この契約証書は記載金額のない第1号の3文書とされ、極度額は記載金額になりません(令和7年8月1日現在)。
枠を決めて繰り返し借りる形なら、手形1枚ごとの課税とは別の扱いです。

上位の記事には、当座貸越を「当座預金の残高不足を銀行が立て替える仕組み」とだけ説明するものがあります。
長崎県信用保証協会は、当座預金や普通預金とは別に「当座貸越勘定(融資専用口座)」を設定して借りる形も示しています。
同じ当座貸越でも口座の作り方は2通りあります。契約前に銀行へ確認してください。

形態ごとの平均金利は、日銀の表でどれだけ違うか

日本銀行が毎月公表する「貸出約定平均金利」には、短期(1年未満)・長期(1年以上)・当座貸越の区分があります。
2026年8月末に残高のある貸出の平均は次のとおりです。

区分(2026年8月末) 国内銀行 信用金庫
長期(1年以上。証書貸付にあたる) 1.424% 1.796%
短期(1年未満。手形貸付・割引手形にあたる) 1.521% 2.209%
当座貸越 2.050% 2.780%

原文:日本銀行「貸出約定平均金利の推移(2026年8月)」の「2. ストック」(2026年10月2日公表)。
国内銀行の短期は1年未満の貸出と割引手形の平均で、手形貸付だけの値ではありません。信用金庫は同じ表の注記で、短期が手形貸付と割引手形、長期が証書貸付とされています。表の読み替えは当サイトの近似です。

当座貸越は、国内銀行で長期より0.626ポイント、信用金庫で0.984ポイント高い平均です。
同じ表の2026年8月の新規の貸出では、国内銀行の短期が1.427%、長期が1.999%で順番が逆でした(新規の総合は当座貸越を除く)。
借りた人の信用力も貸出の時期も違う平均値です。自分の借入の金利は、銀行の提示で決まります。
以下の計算は、形による費用の構造の違いを見るために、この平均を当てはめたものです。

借入形態ごとの利息を比べるイメージ

同じ300万円を借りたときの利息と印紙税

300万円を60日だけ借りる場合です。売掛金が入るまでのつなぎにあたります。
証書貸付は12か月の元利均等で借りたとします。

形(国内銀行の平均金利) 金利 利息 印紙税 合計
手形貸付 60日・期日に一括 1.521% 7,501円 600円 8,101円
当座貸越 60日使う 2.050% 10,110円 未確認 10,110円
証書貸付 12か月・元利均等(月251,933円) 1.424% 23,190円 2,000円 25,190円

※ 当サイトの計算。前提:借入300万円。手形貸付と当座貸越の利息=300万円×年利×日数÷365で、期日に後払い。証書貸付は月利=年利÷12の元利均等。金利は日銀の平均値です。当座貸越の契約書の印紙税は国税庁の資料から税額を特定できず、合計に含めていません。
信用金庫の平均金利で計算すると、利息は手形貸付10,894円・当座貸越13,710円・証書貸付29,265円です。

金利がいちばん高い当座貸越でも、60日なら証書貸付(12か月)の半分以下の費用です。
証書貸付は、契約した返済計画の分だけ利息がかかるためです。
短い期間の資金を長い返済計画の借入で賄うと、金利の低さを使いきれません。

3年間、300万円を使い続ける場合

次に、300万円を3年間使い続ける場合です。手形貸付は3か月ごとに書き替えて元本を据え置き、当座貸越は全額を3年間使うと仮定します。

形(国内銀行) 3年間の利息 印紙税 元本の返し方
証書貸付 36回の元利均等(月85,175円) 66,316円 2,000円 毎月返して3年で完済
手形貸付 3か月ごとに書替 136,890円 7,200円(600円×12枚) 3年間は据置
当座貸越 全額を3年間 184,500円 未確認 3年間は据置

※ 当サイトの計算。前提は前の表と同じ。手形貸付は書替のたびに新しい約束手形を作り、1枚600円が課税されると仮定しました。極度契約の形なら扱いが変わります(前の章)。

利息の差には返し方の違いが入っています。元本を据え置けば残高が減らず、利息は増えます。
証書貸付の金利で元本を3年据え置くと利息は128,160円で、手形貸付(136,890円)との差は金利差だけです。
手形貸付の印紙税は1枚なら安くても、書替を重ねると証書貸付1回分の3.6倍の7,200円です。
「手形貸付は印紙税が安い」という説明は、1回だけ借りる場合の話です。

日数で損得を比べるイメージ

当座貸越が得になるのは、年に何日までか

当座貸越の利息は、使った日数の分だけかかります。
年に300万円を使う日数が何日までなら証書貸付(12か月・利息23,190円)より安いかを、利息の式から逆算しました。

比べる相手 国内銀行の平均金利 信用金庫の平均金利
証書貸付(12か月)より当座貸越が安い 137日まで 128日まで
手形貸付(印紙税600円込み)より当座貸越が安い 13日まで 12日まで

※ 当サイトの計算。前提:借入300万円を連続して使う。手形貸付は1枚600円。当座貸越の印紙税と保証料は含めていません。

たとえば当座貸越を年に120日使うと利息は20,219円で、証書貸付(12か月)の23,190円より安くなります。
1年中使えば61,500円で、証書貸付の2.7倍です。
常に要る資金は証書貸付、数日から数か月で戻る資金は当座貸越か手形貸付という使い分けには、費用の面でも理由があります。

ただし当座貸越を使うには、枠を持つための審査があります。
保証協会の保証つきで持つ場合の要件は、後の章に並べました。
足りない月の見通しは資金繰り表の作り方、不足の兆候は資金ショートの兆候で整理しています。

手形貸付は2027年度以降どうなるか

全国銀行協会は2025年3月26日に、「2027年度初から電子交換所における手形・小切手の交換を廃止する」と決定しました。
同じ発表の注記には、次のように書かれています。

  • 2027年度初から手形・小切手が使用できなくなるものではありません。
  • 電子交換所を介さない決済になるため、各金融機関が郵送などによる個別の取立てを行う必要があります。
  • 金融機関の判断により、手形・小切手の取扱い等が変更となる可能性があります。

原文:全国銀行協会「手形・小切手の電子化に関する中間的な評価を踏まえた抜本的な取組み等について」(2025年3月26日)。
個別の銀行が手形貸付をいつまで取り扱うかは、公式ページで確認できませんでした。

「廃止される」「今後も同じように使える」のどちらかに言い切る説明は、原文と合いません。
制度としてすぐ使えなくなるのではなく、取扱いを続けるかどうかを銀行が決める段階です。
いま手形貸付を使っているなら、取引銀行に今後の扱いを聞いてください。切替えで費用がどう変わるかは、前の表と同じ式で試算できます。
手形割引とでんさい割引の費用は手形廃止の記事で比べています。

利息が先に引かれる形は、実質の率が上がる

手形割引のように利息分を先に引く形では、受け取る額が減ります。
額面300万円を90日で割り引き、年1.521%を当てはめると割引料は11,251円、手取りは2,988,749円です。
手取りに対する実質の年率は1.527%で、表示の率より少し高くなります。
金銭の貸借で利息を天引きすると、利息制限法は受け取った額を元本として計算し直すと定めています(第2条)。割引金や手数料も利息とみなします(第3条)。手形割引にそのまま当てはまるかは確かめていません。

当座貸越を保証協会の保証つきで持つ条件

当座貸越の枠を、信用保証協会の保証つきで持つ制度があります。神奈川県信用保証協会の「当座貸越根保証」の掲載事項を並べます。

項目 神奈川県信用保証協会の記載
使える人 同一事業の業歴が3年以上あり、2期以上の決算または確定申告を行っている。申込金融機関との与信取引が6か月以上ある。法人は直前期の決算のスコアリングが一定以上など
保証限度額 100万円以上2億8,000万円以内
保証期間 1年間もしくは2年間。要件を満たせば更新できる(当初の保証から5年を超える場合は新規保証)
返済方法 約定弁済または随時弁済
信用保証料率 0.39〜1.62%
担保 5,000万円以内は原則不要。5,000万円超は必要

原文:神奈川県信用保証協会「当座貸越根保証」、長崎県信用保証協会(原則5,000万円以内は無担保)。
制度の内容は協会ごとに違い、ほかの地域は各協会で確認してください。保証料率を何に対して何日分かける形かは、確認したページに記載がなく、費用の計算には使っていません。

保証つきの当座貸越は、業歴3年以上・2期以上の決算が入口です。創業して間もない場合は別の形を先に考えます。
保証協会の制度全体は信用保証協会の保証制度にまとめています。
長崎県の協会は、当座貸越の利点に、借入のたびの印紙代が不要なことと随時返済できることを挙げています。

よくある質問

当座貸越とは何ですか。普通の借入と何が違いますか

あらかじめ極度額を決め、その範囲内で借入と返済を繰り返せる借入です。証書貸付のように借りるたびに契約を結ぶ必要がなく、使った日数分だけ利息がかかります。
日本銀行の2026年8月末の平均金利は、国内銀行で当座貸越が2.050%、長期が1.424%でした。

手形貸付と証書貸付は、どちらが得ですか

借りる期間と返し方で変わります。300万円を60日だけ借りるなら、利息と印紙税の合計は手形貸付8,101円、証書貸付(12か月)25,190円です。
3年借り続けるなら、手形貸付は書替12枚で印紙税が7,200円になり、元本も据え置きのままです。

手形貸付は廃止されますか

制度として廃止されるのではなく、銀行の判断で取扱いが変わる可能性があります。全国銀行協会は2027年度初から電子交換所での手形・小切手の交換を廃止しますが、手形・小切手が使用できなくなるものではないとしています。

当座貸越は、借りっぱなしにしても大丈夫ですか

契約上は可能でも、費用は使った日数に比例します。国内銀行の平均金利で300万円を1年使い続けると利息は61,500円で、証書貸付(12か月)の23,190円の約2.7倍です。
常に使う資金は、返済計画のある借入に切り替える方法を銀行に相談してください。

まとめ

  • 平均金利は国内銀行で当座貸越2.050%・長期1.424%(2026年8月末)。信用金庫は2.780%と1.796%
  • 300万円を60日借りると、利息と印紙税の合計は手形貸付8,101円・当座貸越10,110円・証書貸付25,190円
  • 当座貸越が証書貸付より安いのは年137日まで(信用金庫は128日)。手形貸付との分かれ目は13日
  • 手形貸付の印紙税は書替のたびにかかり、3年で7,200円。手形貸付の今後は銀行の判断で決まる
  • 保証つきの当座貸越は、神奈川県の例で業歴3年以上・2期以上の決算が要件

この記事の調べ方

  • 平均金利は日本銀行の「貸出約定平均金利の推移(2026年8月)」のPDFを画像で読み取って転記しました。印紙税額は国税庁のタックスアンサーと質疑応答事例、手形の扱いは全国銀行協会の発表、保証の条件は神奈川県と長崎県の信用保証協会のページで確認しました(2026年10月17日)。
  • 費用の比較は、日銀の平均金利を各形に当てはめて計算した試算です。実際の金利は銀行の審査で決まります。当座貸越の契約書の印紙税額と保証料の計算の基礎は確認できず、計算に入れていません。
  • 手形貸付の印紙税を1回の比較だけで述べる説明と、手形貸付の今後を言い切る説明は、国税庁・全国銀行協会の原文と合わないため使っていません。個別の銀行の取扱いは確認していません。

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の融資・税務に関する助言ではありません。
融資・保証の可否と条件は各金融機関・信用保証協会の審査によって決まります。金利・印紙税額・保証の条件は変更されることがあるため、申込前に各機関の公式情報をご確認ください。
記載した計算例は、日本銀行の平均金利を当てはめた説明のための単純化した試算です。

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