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消費税の納付と資金繰り|中間申告が始まる売上と、預かった消費税を手元に置ける日数を計算

最終更新日:

この記事の要点

  • 中間申告は前の課税期間の国税の年税額が48万円超で始まります。標準税率の売上だけなら、一般課税は売上と課税仕入れ(税抜)の差が615万円超で、簡易課税の第5種(サービス業など)は売上1,231万円超です。
  • 振替納税の個人事業者が売上に含めて預かった消費税を手元に置ける平均日数は、中間申告なしの302日から年1回で196日、年3回で140日に縮みます。
  • 売上が年1,500万円で第5種の個人事業者は3割特例の45万円から簡易課税の75万円へ30万円増え、翌年から8月末に37.5万円の前払いが加わります。

出ていく日は令和8年分の日程、自分の売上の位置は中間申告が始まる売上からどうぞ。

消費税の納付は、前の課税期間の国税の確定額が48万円を超えると年1回の確定申告だけでは済みません。
48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回の中間納付が加わり、1回の額は前年の確定額の6/12・3/12・1/12です。
個人事業者の令和8年分は、中間が6月1日・8月31日・11月30日で確定が令和9年3月31日です。

国税庁の公表日程と法令の金額だけで、いつ・いくら出ていくかを計算しました。

令和8年分の個人事業者:消費税が出ていく日

個人事業者の消費税は、確定も中間も口座振替(振替納税)にできます。振替日は納期限より後です。

前年の国税の確定額 納付の区分 法定納期限 振替日 納期限から
48万円超400万円以下 年1回の中間 8月31日(月) 9月29日(火) 29日
400万円超4,800万円以下 年3回の1回目 6月1日(月) 6月25日(木) 24日
2回目 8月31日(月) 9月29日(火) 29日
3回目 11月30日(月) 12月24日(木) 24日
すべて 確定(令和7年分) 令和8年3月31日(火) 令和8年4月30日(木) 30日

原文:国税庁「中間申告分の納期限及び振替日について」、同「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」。
令和8年分の確定(納期限は令和9年3月31日)の振替日は「令和9年4月中旬~下旬」とされ日付は未公表です。表の確定は令和7年分の実績です。年3回の1回目が6月1日なのは5月31日が日曜だからです。

  • 振替納税の対象は個人事業者の消費税(確定分と中間分)です。残高が足りないと引き落とされず、納期限の翌日から延滞税がかかります(国税庁 No.9201)。
  • 法人は日程が事業年度ごとに変わります。確定も中間も、期間の末日の翌日から2か月以内に申告と納付をします。

回数の区分は冒頭のとおりで、前の課税期間の国税が48万円以下なら原則として中間申告はありません(届出で年1回を選べます)。
各回の額にはその22/78の地方消費税が加わります。上位の解説に「年2回・3回・12回」と書くものがありますが公式は年1回・3回・11回です。
原文:国税庁 No.6609「中間申告の方法」(令和8年4月1日現在法令等)、No.6611「任意の中間申告制度」。

中間申告が始まる売上の線のイメージ

中間申告が始まる売上:国税48万円の線を売上に直す

判定に使うのは売上ではなく前の課税期間の国税の確定額ですが、標準税率の国税は7.8%なので売上に直せます。一般課税の国税は(売上−課税仕入れ)×7.8%なので、線は次の差額です。

国税の確定額の線 回数が変わる 売上−課税仕入れ(標準税率10%のみ) 同(軽減税率8%のみ)
48万円 中間申告なし→年1回 615万円 769万円
400万円 年1回→年3回 5,128万円 6,410万円
4,800万円 年3回→年11回 6億1,538万円 7億6,923万円

※ 当サイトの計算(検算:2026年10月17日)。前提:金額は税抜で国税の税率は標準7.8%・軽減6.24%(国税庁 No.6351)。端数は無視した概算。
給与は課税仕入れに含まれないため(No.6355)、人件費の多い業種は差額が大きくなります。

簡易課税と2割・3割特例は、売上だけで国税が決まります。

方式(事業区分) みなし仕入率 国税+地方の実質税率 中間申告が始まる売上
簡易課税 第1種(卸売業) 90% 1.0% 6,154万円超
簡易課税 第2種(小売業) 80% 2.0% 3,077万円超
簡易課税 第3種(製造・建設業など) 70% 3.0% 2,051万円超
簡易課税 第4種(飲食店業など) 60% 4.0% 1,538万円超
簡易課税 第5種(サービス業など) 50% 5.0% 1,231万円超
簡易課税 第6種(不動産業) 40% 6.0% 1,026万円超
2割特例(売上税額の2割) (80%と同じ) 2.0% 3,077万円超
3割特例(売上税額の3割) (70%と同じ) 3.0% 2,051万円超

※ 当サイトの計算(検算:2026年10月17日)。前提:標準税率10%の課税売上(税抜)だけ。国税=売上×7.8%×(1−みなし仕入率)、地方消費税=国税×22/78。線は国税が48万円を超える売上。
みなし仕入率は国税庁 No.6505。簡易課税は基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間に限られます。

  • 同じ売上でも事業区分で中間申告の始まりが6倍違います。第1種は6,154万円超で第6種は1,026万円超です。
  • 2割特例は第2種と、3割特例は第3種と、それぞれ同じ税額で売上の線も同じです。
  • 簡易課税は売上5,000万円までなら国税が最大でも234万円(第6種)にとどまり、年3回の線(400万円)には届きません。
手元に置ける日数が縮むイメージ

預かった消費税を手元に置ける日数は、中間申告で302日から196日に縮む

令和7年分の公表日程を使い、売上に含めて預かった消費税のうち納める分を何日手元に置けるかを計算しました。売上と税額は1年を通じて均等とします。

前年の国税の確定額 中間申告 振替納税で払う 納期限どおりに払う
48万円以下 なし(確定だけ) 302日 272日
48万円超400万円以下 年1回 196日 166日
400万円超4,800万円以下 年3回 140日 114日
4,800万円超 年11回 111日 86日

※ 当サイトの計算(検算:2026年10月17日)。前提:個人事業者の令和7年分(課税期間は1月1日〜12月31日)。売上と税額は毎日均等で前年と同額。
日数=支払日の加重平均(中間は6/12・3/12・1/12、残りは確定)−課税期間の中央日(7月2日)。支払日は国税庁の令和7年分の振替日・法定納期限(確定は令和8年4月30日・3月31日)。

年3回になると手元に置ける期間は確定だけの半分以下です。振替納税にすると、どの区分でも25〜30日長く置けます。
売上が伸びて前年の国税が48万円や400万円を超える年は、利益が増えても現金の出るのが早くなります。人件費が重く早く年3回に入る業種の例は人材派遣業の資金繰りにあります。

2割特例が終わった後:納付額が増え、翌年に中間申告が始まる

2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終わります。個人事業者は令和8年分で法人は同日を含む事業年度までです。
個人事業者には令和9年分と令和10年分に3割特例があり、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下などが条件です。法人は使えません。その後は簡易課税か一般課税です。第5種の個人事業者で年ごとに並べました。

年分 売上(税抜) 方式 国税 国税+地方 中間申告
令和8年分 1,000万円 2割特例 15.6万円 20.0万円 なし
令和9年分 1,500万円 3割特例 35.1万円 45.0万円 なし
令和10年分 1,500万円 3割特例 35.1万円 45.0万円 なし
令和11年分 1,500万円 簡易課税 第5種 58.5万円 75.0万円 なし(前年の国税35.1万円)
令和12年分 1,500万円 簡易課税 第5種 58.5万円 75.0万円 年1回。8月末に37.5万円

※ 当サイトの試算(検算:2026年10月17日)。前提:標準税率10%の課税売上だけで令和7年の売上は900万円。2割特例と3割特例は基準期間(令和9年分なら令和7年・令和10年分なら令和8年)の売上が1,000万円以下などの条件を満たすと仮定しました。端数は無視。
原文:国税庁 インボイス特設サイト「令和8年度税制改正特集」、No.6498。

令和10年分から令和11年分で同じ売上のまま納付額は45万円から75万円へ30万円増えます。
中間申告は前年の国税で判定するため、令和11年分の国税58.5万円が48万円を超えて翌年の令和12年から8月末に37.5万円(国税29.25万円と地方消費税8.25万円)を前払いすることになります。
税額が増えた年は払う額だけが変わり、中間申告は1年遅れて始まります。
3割特例のあと簡易課税にするなら簡易課税制度選択届出書を翌課税期間の確定申告の期限までに出します(令和10年分の3割特例なら令和12年4月1日)。

免税事業者からの仕入れも、令和8年10月から控除が減る

登録のない免税事業者などへの外注費は、仕入税額相当額の一部だけ控除できます。割合は令和8年9月30日までが80%で、同年10月1日から令和10年9月30日までが70%、その後の2年間が50%、令和12年10月1日から令和13年9月30日までが30%です。
税込110万円の仕入れ(仕入税額相当額10万円)なら控除は8万円から7万円に下がって納付が1万円増えます。

原文:国税庁 インボイスQ&A 問113(令和8年4月改訂)。一般課税の事業者が対象で、簡易課税と2割・3割特例は仕入れの実額を使いません。

前年実績で払う中間納付は、今年の税額とずれる

中間納付は前年の確定額で決まるので、売上が前年と違えば確定のときに差が出ます。前年(令和7年分)の国税が78万円(売上2,000万円の第5種で国税+地方は100万円)の個人事業者が令和8年に年1回の中間申告をする場合を計算しました。中間納付は国税39万円と地方消費税11万円の50万円です。

令和8年の売上 年税額 予定申告の中間 確定で払う額 仮決算の中間
3,000万円 150万円 50万円 100万円 75万円
2,000万円 100万円 50万円 50万円 50万円
1,000万円 50万円 50万円 0円 25万円
500万円 25万円 50万円 −25万円(還付) 12.5万円

※ 当サイトの計算(検算:2026年10月17日)。前提:第5種の簡易課税、標準税率10%のみ。仮決算は上半期の売上が年の半分として1月から6月までを1つの課税期間とみなして計算。確定で払う額=年税額−中間納付額(仮決算も同じ式)。
原文:国税庁 No.6609。

売上が前年の1.5倍になると確定のときに100万円を一度に払います。積立は前年の額ではなく当年の見込み売上から決めるほうが外れません。
売上が4分の1に落ちた年は、50万円を前払いして確定申告で25万円が戻るまで待ちます。

払いすぎや遅れに関わる決まりを、国税庁 No.6609 と No.6611 の記載から4つ挙げます。

  • 減額申請の手続はありません。所得税の予定納税額の減額申請のような手続はないと明記されています。減らす方法は仮決算での申告です。
  • 仮決算の結果がマイナスでも、中間申告での還付はありません。納めた中間納付額は確定申告で精算され、引ききれない分がそこで還付されます。
  • 中間申告書を期限までに出さないと、前年実績の額で出したものとみなされます。仮決算の申告書を期限後に出すことはできません。
  • 納付が遅れると、確定も中間も法定納期限の翌日から延滞税がかかります。前年が48万円以下でも、届出書を出せば自主的に年1回の中間申告ができます(No.6611)。

足りない月が見えたとき

日程が分かったら納付の月を資金繰り表に入れます。作り方は資金繰り表の作り方にあります。
納期限までに払えないと分かったら、納期限の前に税務署へ相談します。猶予の手続は納税の猶予に、借入と猶予の順番は税金を滞納しているときの資金調達にあります。

よくある質問

消費税の中間申告は、売上がいくらから必要ですか

売上ではなく前の課税期間の国税の確定額が48万円を超えると必要です。標準税率の売上だけなら一般課税で売上と課税仕入れ(税抜)の差が615万円超、簡易課税の第5種で売上1,231万円超が目安です。

消費税の中間納付は、いくらになりますか

前年の確定消費税額(国税)の6/12(年1回)・3/12(年3回)・1/12(年11回)に、その22/78の地方消費税を加えた額です。国税が78万円なら年1回で、国税39万円と地方消費税11万円の計50万円です。

売上が減ったのに、中間納付が多いときはどうしますか

減額申請の手続はなく、仮決算で計算した額で申告・納付します。仮決算は期限内に出す必要があり結果がマイナスでも中間での還付はありません。

2割特例が終わると、中間申告も始まりますか

納付額が増えて前年の国税が48万円を超えた翌年から始まります。売上1,500万円の第5種なら、国税が3割特例の35.1万円から簡易課税の58.5万円に増え、翌年から年1回の中間申告です。

まとめ

  • 中間申告の回数は前の課税期間の国税の確定額で決まる。標準税率なら一般課税は売上と課税仕入れの差が615万円超、簡易課税の第5種は売上1,231万円超で始まる
  • 令和8年分の個人事業者の中間は6月1日・8月31日・11月30日。手元に置ける日数は中間申告なしの302日から年1回で196日・年3回で140日に縮む
  • 2割特例の終了後は納付額が増えて翌年から中間申告が始まることがある。減額申請はなく減らす方法は仮決算だけ

この記事の調べ方

  • 回数・金額・仮決算・みなし仕入率・特例の条件は国税庁のタックスアンサーとインボイス特設サイト・Q&A、e-Gov法令検索の消費税法第42条で確かめました。
  • 日程は国税庁の令和7年分・令和8年分の表から転記し日数と税額は当サイトの試算です。前提は各表の下に書き再計算して全件一致を確認しました。
  • 検索上位の解説に見られた「年2回・3回・12回」「減額申請」「仮決算で払いすぎを戻せる」といった説明は国税庁の記載と合わないため使っていません。飲食料品の消費税率引下げは、国税庁の特設サイトが法案成立前の内容としているため、計算に入れていません。

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務・融資に関する助言ではありません。
申告・納付の方法と額は課税期間・事業区分・税率・届出の有無で変わります。納期限や振替日、特例の適用期間と割合は変更されることがあるため、手続の前に国税庁の公式情報を確認し、個別の判断は税務署や税理士に相談する必要があります。
記載した計算例は説明のための単純化した試算です。

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