当サイトのコンテンツには、アフィリエイト広告が含まれている場合があります。

社会保険料が払えないときの猶予制度|換価の猶予・延滞金・差押えまでの流れ

最終更新日:

要点まとめ

  • 厚生年金保険料・健康保険料(協会けんぽ)が払えないときの窓口は管轄の年金事務所です。納期限から6か月以内なら「換価の猶予」を申請でき、認められると原則1年以内の分割納付になります。
  • 税金と違って督促状の指定期限までに完納すれば延滞金はかかりません。過ぎると納期限の翌日にさかのぼって計算され、令和8年は3か月までが年2.8%、その後は年9.1%です。
  • 令和6年度に差押えを受けた事業所は59,548(前年度の約1.4倍)。これに対して年度末に自分から申請して換価の猶予を受けていた事業所は1,002だけでした(数字で見る)。
  • 保険料の半分は従業員の負担分です。滞納が続くと預金や売掛金の差押えに進みます。いちばん選択肢が多いのは督促状が届く前に相談する段階です。

自社がどの段階かは差押えまでの流れで、税金との違いは税の猶予との比較表からどうぞ。

会社が社会保険料を払えないときに使える制度は、日本年金機構の「換価の猶予」と「納付の猶予」です。
どちらも保険料を免除してくれる制度ではありません。分割して納めることを認め、延滞金を軽くする制度です。

仕組みは税金の猶予とよく似ています。違うのは延滞金がかかり始める条件と、窓口が保険料の種類で分かれる点です。
日本年金機構・厚生労働省の資料と法令にあたったうえで、滞納から差押えまでの流れ・延滞金の計算・税の猶予との違いをまとめました。
税金が払えない場合は納税の猶予・換価の猶予のほうをご覧ください。

どの保険料を、どこに相談するか

払えないもの 相談・申請先
厚生年金保険料・子ども・子育て拠出金 管轄の年金事務所
健康保険料(協会けんぽに加入) 管轄の年金事務所(厚生年金保険料と同じく翌月末日が納期限で、あわせて納付)
健康保険料(健康保険組合に加入) 加入している健康保険組合(督促も組合が行う)
労働保険料(労災保険・雇用保険) 都道府県労働局(後述)
法人税・消費税・源泉所得税などの国税 所轄の税務署(納税の猶予・換価の猶予)

厚生年金保険料は毎月の保険料を翌月末日までに納めます。
保険料は被保険者(従業員)と事業主が半額ずつ負担します。ただし納付する義務を負うのは事業主です。従業員の負担分も事業主がまとめて納めます。

保険料の督促が届く流れのイメージ

滞納から差押えまでの流れと「相談が間に合う時点」

納期限までに納付がない事業所に対して、日本年金機構は次の順に手続きを進めるとしています。
督促状で指定する期限は督促状を発する日から10日以上後でなければならないと法律で決まっています。

いつ 年金事務所の動き 延滞金 この時点でできること
① 納期限(翌月末日)の前 — かからない 最も選択肢が多い。年金事務所に相談し、換価の猶予の申請を準備する
② 納期限を過ぎた 電話・文書・訪問による納付督励 この時点では確定しない 分割納付の相談。換価の猶予の申請(納期限から6か月以内)
③ 督促状が届いた 指定期限を示して督促 指定期限までに完納すればかからない 指定期限までに払えるかを確認。払えないなら猶予の申請を急ぐ
④ 指定期限を過ぎた 滞納処分に入る。金融機関への預金残高の確認、取引先への売掛金の調査などの財産調査 納期限の翌日にさかのぼって計算 換価の猶予(納期限から6か月以内)。実情によっては分割納付による完納が認められ、滞納処分が猶予されることもある(延滞金はかかる)
⑤ 差押え 預金・売掛金は取り立て、不動産などは公売で金銭化 完納または差押えの日の前日まで計算 換価の猶予が認められると換価が猶予され、差押えの猶予・解除もありうる
⑥ 納付指導に従わないなど悪質と判断 国税庁に徴収を委任することがある — —

見落としやすいのは申請による換価の猶予の期限(納期限から6か月以内)が、督促や差押えの進み具合とは関係なく進むことです。
保険料には毎月それぞれ納期限があります。最初に払えなかった月の納期限から6か月以内に動くのが安全です。

税金の滞納は、社会保険料の猶予にも響きます

厚生年金保険法は国税・地方税などの滞納によって滞納処分を受けるとき、保険料を納期前でもすべて徴収できる(繰上徴収)と定めています。
日本年金機構の手引きでも、この繰上徴収の事由にあたる事実が生じたことは換価の猶予が許可されない場合のひとつです。
税金と社会保険料が両方払えないなら、片方だけ先に手当てせず税務署への猶予の相談と並行して進める必要があります。

数字で見る:差押えは1年で4割増、自分から申請した猶予は1,002事業所

日本年金機構の業務実績の資料をもとに、厚生年金保険料などの徴収の実態を表にしました(令和6年度=2024年4月〜2025年3月)。

項目 令和5年度 令和6年度
差押えを執行した事業所 42,072 59,548(+41.5%)
年度末の滞納事業所(適用事業所に占める割合) 142,119(5.1%) 140,958(4.9%)
年度末に猶予を受けている事業所(合計) 11,295 5,409
 うち換価の猶予(事業所が申請) 2,184 1,002
 うち換価の猶予(年金事務所の職権) 9,105 4,401
 うち納付の猶予 6 6
督促状の指定期限までの電話督励で未納が解消した割合 82.5% 84.8%(267,986件中227,227件)

猶予の件数は各年度末の時点で適用されている事業所数で、1年間に認められた件数ではありません。差押えは年度中に執行した事業所数です。

この表から読み取れることは3つあります。

  • 差押えは1年で約1.4倍に増えています。資料によると、財産調査を本部で集約して行う体制を整えて差押えなどの滞納処分を進めたそうです。「差押えまでは時間がかかるだろう」という見込みは以前ほど当てになりません。
  • 猶予を受けている事業所は半分以下に減り、そのうち自分から申請したのは1,002事業所だけです。申請による換価の猶予は年金事務所の職権による猶予(4,401事業所)の4分の1以下にとどまります。減った理由は資料に書かれていません。それでも申請の期限(納期限から6か月以内)を過ぎる前に自分から動く事業所は少数派だということは読み取れます。
  • 督促状の指定期限までの電話で約85%の事業所は未納が解消しています。指定期限までに納めれば延滞金はかかりません。電話がかかってきた段階で払える見込みがあるかどうかを伝えるのが、いちばん費用のかからない対応です。

同じ資料には猶予の期間が満了しても完納できない事業所について、直ちに差し押さえるよりも実情に応じた分割納付を続ける方が徴収上有利と認められる場合は、猶予制度によらない分割納付を認めているとも書かれています。猶予が終わっても払いきれないときは放置せず、満了前に年金事務所へ相談しておくことです。

換価の猶予の要件と効果

換価の猶予を受けられるのは次の6つをすべて満たす場合です。

  1. 保険料等を一時に納付すると、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある
  2. 保険料等の納付について誠実な意思がある
  3. 納期限から6か月以内に「換価の猶予申請書」を年金事務所に提出している
  4. その保険料等について、納付の猶予を受けていない
  5. 猶予を受けようとする保険料等以外に、保険料等の滞納がない
  6. 原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保を提供する

「事業の継続を困難にするおそれ」とは不要不急の資産を処分するなど経営の合理化を行った後でも、なお一時に納付すると事業の休止・廃止のおそれがある場合です。
「誠実な意思」はその保険料等を優先的に納付する意思があると年金事務所長が認められることを指します。

猶予期間・分割納付・担保

  • 猶予期間:1年の範囲内で最も早く完納できると認められる期間。やむを得ない理由があれば当初の期間と合わせて最長2年まで延長が認められることがある
  • 分割納付:原則として猶予期間中の各月に分割して納める
  • 担保が不要な場合:猶予を受ける金額が100万円以下、猶予期間が3か月以内、担保として提供できる財産がないなどの特別の事情がある

認められると何が変わるか

  • すでに差し押さえられた財産の換価(売却)が猶予される
  • 差押えで事業の継続が困難になるおそれがある財産は、差押えが猶予(または解除)される場合がある
  • 猶予期間中の延滞金の一部が免除される(免除される額は年金事務所に確認)

未納が何か月分もあるとき

手引きの記載では、申請書にその時点で未納となっている保険料等をすべて記入する決まりです。
「他に滞納がないこと」が要件なので、払えていない月の一部だけを申請するのではなく未納分をまとめて年金事務所に相談します。
申請後に新たに納付すべき保険料を滞納すると猶予が取り消されることがあります。

納付の猶予(災害・病気・休廃業・著しい損失など)

次のような事実があって厚生年金保険料等を一時に納付するのが難しいときは納付の猶予を申請できます。

  • 財産について災害を受けた、または盗難にあった
  • 事業主またはその生計を一にする親族が病気にかかった、または負傷した(個人事業主とその親族に限る)
  • 事業を廃止した、または休止した
  • 事業について著しい損失を受けた
  • 各種届出が遅れたことで、過去の月分の保険料がまとめて発生した

「著しい損失」とは申請前の1年間に、その前年の利益の2分の1を超える損失(赤字)が生じた場合です。
前年の利益が400万円なら、直近1年間に200万円を超える赤字が出ていれば該当します。

申請先は管轄の年金事務所を経由して地方厚生(支)局長で、時期は猶予に該当する事実が発生した後、速やかにです。
届出の遅れで過去の月分が発生した場合は、さかのぼって発生した保険料の納期限までに申請しなければなりません。
認められれば1年以内の期間で新たな差押えや換価を受けなくなり、猶予期間中の延滞金の全部または一部が免除されます。

必要書類と申請の手順

書類 猶予を受けようとする金額が100万円以下 100万円超
申請書 換価の猶予申請書 または 納付の猶予申請書 同左
財産と収支 財産収支状況書 財産目録 + 収支の明細書
担保 不要 担保の提供に関する書類(期間3か月以内・担保にできる財産がない場合などは不要)
納付の猶予の場合のみ 事実を証する書類(罹災証明書、医師の診断書、廃業届、調査期間と基準期間の仮決算書など)

財産収支状況書などを出すときはその根拠となる資料もあわせて提出します。
国税・地方税・労働保険料で猶予を申請したときの申請書や財産収支状況書の写しを付ければ一部の記載や書類の添付を省略できます。

  1. 管轄の年金事務所(徴収担当)に連絡する。払えないと分かった時点で早めに
  2. 書類を作る。様式は日本年金機構のホームページ(「ケース6:換価の猶予」「ケース5:納付の猶予」)からダウンロードできます
  3. 提出する。換価の猶予は年金事務所へ。納付の猶予は年金事務所を経由して地方厚生(支)局長へ
  4. 審査を受ける。職員から事情や収支について質問を受けたり帳簿書類の確認を求められたりします。補正通知書を受けた日の翌日から20日以内に補正しないと、申請を取り下げたものとみなされます
  5. 許可されたら、猶予許可通知書の分割納付計画どおりに納める。「現在納付可能金額」として計算した額は、すぐに納付に充てる必要があります

収支の見込みで「支出」と認められにくいもの

分割額は今後の収入から事業に必要な支出を引いた額をもとに決まります。
手引きでは次のような支出は事業の継続に真に必要なものとは認められないとされています。猶予を申請する前後にこうした支出を続けていると通りにくくなるということです。

  • 不要不急の財産を取得するための支出
  • 期限の定めのない債務など、不要不急の債務の弁済
  • 事業の拡張などのための支出(分割納付を増やせる場合の最小限度を除く)
  • 役員給与・交際費・寄附金などのうち、事業に必要な範囲を超える支出
  • 利益配当のための支出(同族会社以外でやむを得ない特別の事情がある場合を除く)

年金事務所の職員からの連絡に応答しない・帳簿の提示の求めに理由なく応じないといった場合は猶予が許可されない事由に当たります。
不許可やみなし取下げの後に新たな事情がないまま同じ保険料で再申請することも、許可されない例に挙がっています。

延滞金が時間とともに増えるイメージ

延滞金はいくらかかるか:保険料150万円の仮設例

厚生年金保険料・健康保険料の延滞金は督促状の指定期限までに納付がなく、その後に納付したときにかかります。
計算に使うのは納期限の翌日から納付日の前日までの日数です。保険料の1,000円未満を切り捨てて365日で日割りし、延滞金の100円未満を切り捨てます。

期間(令和8年1月1日〜12月31日) 延滞金の割合
納期限の翌日から3か月を経過する日まで 年2.8%
納期限の翌日から3か月を経過する日の翌日以降 年9.1%

2026年9月時点で日本年金機構が案内している割合です。

前提:3月分の厚生年金保険料と健康保険料の合計150万円、納期限は2026年4月30日。督促状の指定期限までに払えず8月31日に納付したとします。
日数は5月1日〜8月30日の122日です。このうち3か月を経過する7月31日までの92日が年2.8%、8月1日以降の30日が年9.1%の期間になります。

期間 計算 延滞金
5月1日〜7月31日(92日) 150万円 × 2.8% × 92日 ÷ 365 10,586円
8月1日〜8月30日(30日) 150万円 × 9.1% × 30日 ÷ 365 11,219円
合計 21,805円(100円未満切捨て) 21,800円
督促状の指定期限までに完納した場合 延滞金はかからない 0円

指定期限を1日でも過ぎると、4月30日の翌日にさかのぼる

150万円に対する1日あたりの延滞金は年2.8%の期間で約115円、3か月を過ぎた年9.1%の期間で約374円です。
指定期限までに完納できるなら0円、過ぎれば納期限の翌日からの全日数が計算対象になります。督促状が届いたら何よりも先に指定期限を見てください。

納付が遅れた期間ごとの延滞金(同じ150万円の例)

上の例と同じ150万円(納期限4月30日)で、納付がいつになるかによって延滞金がどう変わるかを計算しました。3か月を超えると率が年2.8%から年9.1%に上がるので、そこから先は延滞金が一気に増えます。

納付した日 年2.8%の日数 年9.1%の日数 延滞金
督促状の指定期限までに完納 — — 0円
5月31日(1か月後) 30日 0日 3,400円
8月31日(4か月後・上の例) 92日 30日 21,800円
2027年4月30日(12か月後) 92日 272日 112,300円

※ 当サイトの試算。日数は納期限の翌日から納付日の前日まで、保険料の1,000円未満と延滞金の100円未満は切り捨て。2027年分も令和8年と同じ率と仮定しています(率は毎年見直されます)。計算方法は日本年金機構の案内に沿っています。換価の猶予を受けた期間は延滞金の一部が免除されますが、日本年金機構のページには免除後の具体的な率が載っていないのでこの表には含めていません。

※ 1か月分だけを取り出した単純化した仮設例です。未納の月が重なれば計算の基礎となる保険料も増えます。
正確な延滞金は年金事務所でご確認ください。

税金(国税)の猶予との比較表

税金と社会保険料が両方払えない会社は少なくありません。制度は似ていても細部が違うので、同じ感覚で扱うと判断を誤ります。

国税(税務署) 厚生年金保険料・健康保険料(年金事務所) 労働保険料(労働局)
延滞の負担 延滞税 延滞金 延滞金
いつからかかるか 法定納期限の翌日から自動的にかかる 督促状の指定期限までに完納すればかからない。過ぎると納期限の翌日から計算 督促状の指定期限までに完納すればかからない。過ぎると納期限の翌日から計算
低い割合の期間 納期限の翌日から2か月 納期限の翌日から3か月 納期限の翌日から2か月
令和8年の割合 年2.8% / 年9.1% 年2.8% / 年9.1% 本則は年7.3% / 年14.6%。軽減措置あり(割合は労働局で確認)
換価の猶予の申請期限 納期限から6か月以内 納期限から6か月以内 納期限から6か月以内
他に滞納があるとき 申請による換価の猶予は原則不可(職権による換価の猶予の場合あり) 申請による換価の猶予は要件を満たさない 申請による換価の猶予は原則として認められない
災害・休廃業などの猶予 納税の猶予 納付の猶予(地方厚生(支)局長) 災害猶予・一般猶予
猶予中の延滞の軽減 換価の猶予などは年1.3%(令和8年)、災害・病気等は全額免除 換価の猶予は一部免除、納付の猶予は全部または一部免除 猶予期間中の延滞金は免除
猶予期間 1年以内(延長で最長2年) 1年以内(延長で最長2年) 1年以内(一般猶予は延長で最長2年)
担保が不要な場合 猶予を受ける金額が100万円以下、猶予期間が3か月以内、担保にできる財産がない(労働保険料の災害猶予は担保不要)

社会保険料で特に大事なのは「督促状の指定期限」が延滞金の分かれ目になる点です。
国税は納期限を1日過ぎた時点から延滞税がかかります。払う順番を考えるときはこの違いも判断材料になります。
とはいえ社会保険料も指定期限を過ぎれば滞納処分に入り、延滞金は納期限の翌日にさかのぼるので、先延ばしの理由にはなりません。

従業員の保険料を滞納するということ

厚生年金保険料と健康保険料は、被保険者と事業主が半額ずつ負担します。
事業主は従業員が負担すべき前月分の保険料を給与から控除でき、控除したときは控除額を従業員に通知しなければなりません。

仮設例の150万円ならそのうち75万円は従業員の給与から控除した分です。
それを納めずに運転資金に回すのは従業員から預かったお金で支払いをしているのと同じです。
源泉徴収した所得税も同じ構造です(消費税・源泉所得税が詰まりやすい理由)。

社会保険料は給与と同じ性格の支出です。資金繰り表では給与の支払いと同時に確保しておくのが基本です。
それが難しくなっている時点で、会社は資金ショートの兆候のかなり進んだ段階にいます。

労働保険料(労災保険・雇用保険)が払えないとき

労働保険料は原則として毎年6月1日から7月10日までの「年度更新」で申告・納付します。窓口は都道府県労働局(労働基準監督署)です。

払えなくなる前に:延納(分割納付)

概算保険料の額が40万円以上(労災保険か雇用保険の一方のみ成立している場合は20万円以上)の場合や労働保険事務組合に事務を委託している場合は原則として納付を3回に分割できます。
猶予を申請する前に、この延納を使っているかどうかをまず見直してみてください。

労働保険料の猶予制度

  • 災害猶予:災害で全積極財産のおおむね20%以上の損失を受けた場合。災害のやんだ日から2か月以内に申請
  • 一般猶予:災害・盗難、病気・負傷、事業の休廃止、事業の著しい損失などがある場合。1年の範囲内(延長で最長2年)
  • 換価の猶予:一時に納付すると事業の継続などが困難になるおそれがある場合。納期限から6か月以内に申請。すでに滞納している労働保険料があると、原則として認められない

猶予が認められると猶予期間中の延滞金が免除され、財産の差押えや換価も猶予されます。

滞納したときの不利益

延滞金は法律上は年14.6%(納期限の翌日から2か月までは年7.3%)で、延滞税と同じような軽減措置があります。督促状の指定期限までに完納すればかかりません。
怖いのは督促状の指定期限を過ぎて滞納している期間中に労災事故が起きると、保険給付の費用が事業主から徴収されることです。労働局の案内では、給付額の40%相当額が上限です。

よくある質問

社会保険料は分割で払えますか

納期限から6か月以内に年金事務所へ換価の猶予を申請し、認められれば原則1年以内の各月に分割して納付できます。
申請期限を過ぎていても事業所の実情によっては分割納付による完納が認められることがあります。まずは管轄の年金事務所に相談です。
ただしその場合も延滞金はかかります。

社会保険料の延滞金はいつからかかりますか

督促状で指定された期限までに完納すれば延滞金はかかりません。
期限を過ぎて納付すると納期限の翌日から納付日の前日までの日数で計算されます。令和8年は3か月までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。

従業員の給与から控除した保険料を払えていません。どうなりますか

厚生年金保険料と健康保険料は被保険者と事業主が半額ずつ負担し、事業主が両方をまとめて納付する義務を負います。
滞納が続けば督促のうえ預金や売掛金などの財産調査・差押えに進みます。
払えないと分かった時点で、督促状が届く前に年金事務所へ相談して換価の猶予などの手続きを進めるのが得策です。

労働保険料も年金事務所に相談すればよいですか

労働保険料(労災保険・雇用保険)の窓口は都道府県労働局です。
労働保険料にも納付の猶予と換価の猶予(納期限から6か月以内の申請)があり、概算保険料が一定額以上なら年3回の延納(分割納付)もできます。

まとめ

  • 相談先は厚生年金保険料・協会けんぽの健康保険料なら年金事務所、健康保険組合は組合、労働保険料は労働局、税金は税務署
  • 納期限から6か月以内なら換価の猶予を申請でき、認められれば原則1年以内の分割納付
  • 災害・病気・休廃業・著しい損失・届出遅延による遡及保険料などは納付の猶予
  • 督促状の指定期限までに完納すれば延滞金は0円。過ぎると納期限の翌日にさかのぼり、150万円・122日の仮設例で21,800円
  • 保険料の半分は従業員の給与から控除した分。税の滞納処分は社会保険料の繰上徴収・猶予の不許可事由にもつながる
  • 相談に応答しない、過大な役員給与や不要不急の支出を続けると猶予は通りにくくなる
  • 令和6年度の差押えは59,548事業所(+41.5%)。督促状の指定期限までの電話督励で約85%は解消しており、早い段階の連絡が最も安く済む

調べ方について

  • 制度の要件・手続きは日本年金機構・厚生労働省・国税庁の公表資料と法令の条文にあたりました。
  • 徴収の実態は日本年金機構の令和6年度業務実績の評価資料(令和7年9月19日)の数値をそのまま転記し、増減率・割合は当サイトで計算しました。
  • 延滞金は日本年金機構が公表している計算方法と令和8年の率で計算しています。
  • ほかのページには改定前の延滞金の率や、労働保険料の用語を社会保険料に当てはめた説明も見られたので、公式の記載に合わせています。

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の手続きや法務・労務に関する助言ではありません。
猶予の要件に該当するか、猶予される金額や期間は、申請内容と年金事務所・労働局の審査によって決まります。管轄の年金事務所、健康保険組合、労働局または社会保険労務士にご確認ください。
延滞金の割合は令和8年(2026年)に適用される値で、毎年見直されます。
記載した計算例は説明のための単純化した仮設例です。

all-list-go