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中小企業活性化協議会に相談すると何が起きるか|窓口相談から計画成立までの手順と公表された相談件数

最終更新日:

この記事の要点

  • 協議会の実施基本要領では、窓口相談のあとで相談企業の承諾を得てから、主要債権者に説明する順になっています。相談しただけで取引金融機関に連絡が行く手順はありません。
  • 計画が成立するのは、対象債権者の全員が同意した時点です。対象債権者には銀行・信用金庫・政府系金融機関・信用保証協会に加え、貸金業者も含まれます。
  • 令和8年6月末までの累計は窓口相談88,831件、再生支援の完了21,263件、収益力改善支援の完了4,732件。令和7年度の窓口相談は10,081件で、令和2年度(5,580件)の1.81倍です。

手順は要領の手順表、件数は公表された実績の表からどうぞ。

中小企業活性化協議会に相談しても、その時点で取引金融機関に連絡が行くことはありません。要領は、窓口相談で状況を聞いたあと、協議会が支援を行うのが適当と判断し、相談企業が承諾したときに主要債権者へ説明する順序を定めています。
窓口相談は無料で、予約が必要です。

相談から計画の成立までに誰が何をするのか、1社でも反対すると計画はどうなるのかは、民間の解説記事にはほとんど書かれていません。国の実施基本要領と、中小企業庁が公表している件数の表から並べました。
返済条件の変更そのものはリスケジュール(返済条件の変更)で、協議会の累計の内訳は同じ記事で扱っています。

原文:中小企業庁「中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)」。

窓口相談の前に用意するもの

協議会は企業の本社・事業所・営業所などがある都道府県のものに予約して相談します。担当は統括責任者補佐(場合によっては統括責任者)で、要領は原則として面談、オンライン会議などでの対応も妨げないとしています。
窓口相談で聞き取る事項は国の要領に書かれており、機関ごとに案内される持参資料は次のとおりです。

示している機関 聞き取る事項・持参する資料
国の実施基本要領(窓口相談で把握する事項) 企業の概要/直近3年間の財務状況(財務諸表・資金繰り表・税務申告書等)/滞納公租公課の存否と状況(滞納金額目録、換価の猶予許可通知書など)/株主と債権債務の関係(取引金融機関)/事業形態と主要取引先/会社の体制と人材/現状に至った経緯/これまでの改善努力とその結果/取引金融機関との関係/活用できる会社の資源/今後の要望と社内体制の準備
中小機構 直近3期分の決算書等/会社概要が分かる資料/その他必要と思われる資料
東京商工会議所(東京の窓口の案内) 直近3期分の決算書類/直近の残高試算表/金融機関借入残高一覧/会社案内。常駐の専門家が2名1組で対応

前提:東京商工会議所の欄は東京の協議会の案内で、全国共通の決まりではありません。国の要領が示すのは把握する事項で、提出書類の一覧ではありません。
原文:中小企業活性化協議会実施基本要領 第二章第2 3(2)・中小機構「中小企業活性化協議会による支援」・東京商工会議所「ご相談の流れ」。

税や社会保険料の滞納がある場合も、窓口相談では状況を伝える項目に入っています。滞納の整理の順番は納税の猶予で扱っています。
民事再生や破産をすでに申し立てた企業は相談の対象になりません。ただし、その企業の保証人が保証債務の整理を相談することはできます。

相談した時点では、金融機関に連絡は行かない

別冊2(再生支援実施要領)は、再生支援の開始を次の順に定めています。統括責任者または補佐が窓口相談で把握した状況から再生支援が適当と判断し、相談企業の承諾を得て、主要債権者に財務・事業の状況と再生可能性を説明し、意向を確認する。そのうえで統括責任者が支援を行うかどうかを決め、相談企業に通知します。
収益力改善支援の別冊1も同じ構造で、相談企業の承諾を得てから主要債権者等に暫定的な資金繰りの見通しを説明します。

中小機構は、協議会の私的整理が金融機関などの債権者以外には企業の窮状を知られない手法をとっていると案内しています。中小企業庁も、相談内容と相談の申込みについて秘密を守るとしています。
窓口相談の申込書は「窓口相談申込書兼同意書」の書式が中小企業庁のページに載っています。

前提:ここで書いたのは要領の手順です。債権者が別の経路で相談の事実を知る場合(金融機関自身が協議会に事前相談する場合など)は含みません。
原文:別冊2 再生支援実施要領(2026年3月31日改定)2(2)・別冊1 収益力改善支援実施要領(2026年3月31日改正)3(1)・中小機構・中小企業庁。

相談から計画成立までの手順のイメージ

相談から計画成立まで:要領の手順

再生支援を例に、要領の条文を時間の順に並べました。収益力改善支援は、個別支援チームと調査報告書が無く、計画も短い点が違います。

順 段階 誰が何をするか
1 窓口相談(第一次対応) 協議会が経営課題を聞き取り、助言する。収益力改善・再生・再チャレンジのいずれかが妥当と判断すれば第二次対応へ。関係機関の活用が適当なら、よろず支援拠点などを紹介する
2 主要債権者への説明 相談企業の承諾を得て、協議会が主要債権者(債権額が上位の債権者)に状況を説明し、意向を確認する
3 支援の決定と通知 統括責任者が認定支援機関の長と協議して決め、相談企業に通知する。資金繰りから必要と判断すれば、債権者へ元金返済猶予を要請する
4 個別支援チームの編成 外部専門家で構成し、原則として公認会計士か税理士を含める。債権放棄等を要請する見込みなら弁護士と公認会計士を含める
5 再生計画案の作成 チームが財務面・事業面を調査分析し、相談企業が計画案を作る。計画案には実態貸借対照表、資金繰り計画、債務弁済計画(公租公課の滞納がある場合はその解消)などを入れる
6 調査報告書(金融支援を含む場合) 統括責任者が計画案の相当性と実行可能性を調査し、報告書を対象債権者に提出する
7 債権者会議 全対象債権者に調査結果と計画案を説明し、同意・不同意を表明する期限を定める。会議を開かず持ち回りで説明することも妨げない
8 計画の成立 対象債権者の全員が同意し、文書等で確認した時点で成立する。支援の完了もこの時点
9 モニタリング 成立から概ね3事業年度(成立年度を含む)を目途に、協議会が主要債権者と連携して達成状況を確認し、助言する

前提:条文の趣旨を当サイトが要約した表です。債権放棄等を含む計画では要件が追加されます。数値基準(債務超過の解消年数など)は債務超過の記事にあります。相談から成立までの標準的な期間は、読んだ公表資料に数字がありません。
原文:別冊2 再生支援実施要領(2026年3月31日改定)2(2)〜(8)、4(1)・中小機構。

収益力改善支援と再生支援:入口の条件と費用

別冊1は、収益力改善計画の策定を支援するのが適当な場合を、今後6か月間の資金繰りの見通しが認められる場合などとしています。見通しが立たないほど資金が逼迫している場合は、再生支援や再チャレンジ支援が検討されることになります。

収益力改善支援 再生支援
対象 収益力の低下や借入の増加のおそれがある中小企業 収益性のある事業はあるが財務上の問題があり、自助努力だけでは再生が難しい中小企業
始める目安 今後6か月間の資金繰りの見通しが認められる場合など 主要債権者の意向を踏まえ、統括責任者が決定
計画の形 1年間から3年間のアクションプランと簡易な収支・資金繰り計画。金融支援を要請する場合は1年間 実態貸借対照表・資金繰り計画・債務弁済計画などを備えた再生計画
成立の条件 対象債権者の全員が確認・同意 対象債権者の全員が同意
成立後の確認 少なくとも1年ごと。金融支援を要請した場合は少なくとも四半期ごと 概ね3事業年度を目途
費用 計画策定の費用は原則無料 第二次対応は、協議会が外部専門家に依頼する場合の活動費等の一部を相談企業が負担

前提:費用の金額は、読んだ公表資料に数字がありません。東京商工会議所は第二次対応で「調査報告書作成のための費用がかかる」と案内しています。再チャレンジ支援は協議会が行う支援が無料です。
原文:別冊1 3(1)〜(3)・5(1)・中小企業庁「収益力改善支援」・同「プレ再生支援・再生支援」・同「再チャレンジ支援」・中小機構・東京商工会議所。

費用がかからないのは窓口相談(第一次対応)までで、第二次対応で外部専門家を使う場合に自己負担が出ます。計画づくりを認定経営革新等支援機関に頼む場合の補助(405事業など)はリスケジュールの記事に補助率と上限額の表があります。
別冊1(2026年3月31日改正)が、収益力改善支援の中で協議会が主要債権者等に元金返済猶予を要請できる場合として挙げているのは、災害等で中小企業庁が認めた場合です。

対象債権者が1社でも反対したとき

計画の成立には対象債権者の全員の同意が要ります。対象債権者とは、計画が成立したときに金融支援の要請を受ける予定の債権者で、実施基本要領は銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、漁業協同組合、政府系金融機関、信用保証協会(代位弁済で求償権が生じている場合)、サービサー、貸金業者を指すとしています。
挙げられているのは金融債権者で、仕入先は含まれていません。

要領は、同意が得られない場合を次のように定めています。

  • 一部の債権者が同意しない:統括責任者がその債権者に理由の説明を求め、相談企業・主要債権者・個別支援チームが計画案を修正して合意形成を続ける
  • 不同意の債権者を除いても計画の実行に影響がないと判断できる場合:不同意の債権者からの金融支援を除いた変更計画を作り、残りの全員が同意すれば成立が認められる
  • 計画案の作成を断念した、全員の同意を得られる見込みがない、同意を得られなかった:再生支援は終了し、協議会は相談企業に通知する。その場合も、事業面の支援、専門家の紹介、再チャレンジ支援や弁護士の紹介など可能な対応を行う

前提:変更計画の扱いは別冊2の条文にある例外で、どの案件にも認められるものではありません。保証債務の整理は別の手順です(経営者保証)。
原文:別冊2 2(7)〜(9)・実施基本要領 第二章第1 1(4)。

公表された相談実績のイメージ

公表されている実績:年度別・四半期別・都道府県別

中小企業庁は四半期ごとに活動状況を公表しています。令和8年度第1四半期(令和8年4〜6月)の表が最新で、累計は窓口相談88,831件、再生支援の完了21,263件、収益力改善支援の完了4,732件です。
「完了」は計画が成立した時点を指します(別冊1・別冊2の定め)。申込みの件数ではありません。

年度 窓口相談 再生支援の完了 同年度の完了÷相談 収益力改善支援の完了
平成25年度 4,128 2,537 61.5% -
令和1年度 2,247 1,032 45.9% -
令和2年度 5,580 406 7.3% -
令和3年度 4,244 1,017 24.0% -
令和4年度 6,409 1,067 16.6% 1,676
令和5年度 6,787 1,029 15.2% 942
令和6年度 8,761 1,118 12.8% 859
令和7年度 10,081 1,212 12.0% 1,065
令和8年度第1四半期(暫定) 2,578 229 8.9% 190
累計 88,831 21,263 23.9% 4,732

前提:「同年度の完了÷相談」は同じ年度に数えた2つの件数の比で、同じ企業を追跡した割合ではありません。相談から完了までに年をまたぐ案件もあり得るため、完了の割合としては読めません。累計の窓口相談は平成15年度以前から、収益力改善支援は令和4年度から。令和8年度の件数は年度終了後に確定します。
原文:中小企業庁「中小企業活性化協議会の活動状況について 令和8年度第1四半期」の年度別表。割合は当サイトの計算。

窓口相談は令和1年度の2,247件から令和7年度の10,081件へ約4.5倍になりました。令和2年度(5,580件)との比では1.81倍、令和6年度からは15.1%の増加です。
再生支援の完了が最も多かったのは平成25年度の2,537件です。収益力改善支援は令和4年度から表に載っています。

令和7年度は、完了が1〜3月に集まった

四半期 窓口相談 再生支援の完了 収益力改善支援の完了
令和7年度 第1四半期(4〜6月) 2,565 242 212
第2四半期(7〜9月) 2,576 250 234
第3四半期(10〜12月) 2,528 282 266
第4四半期(1〜3月) 2,412 438 353
令和8年度 第1四半期(4〜6月、暫定) 2,578 229 190

前提:令和7年度の4四半期の合計は、窓口相談10,081件・再生支援1,212件・収益力改善支援1,065件で年度表と一致します。第4四半期の割合は、再生支援438÷1,212=36.1%、収益力改善支援353÷1,065=33.1%。理由は公表資料に書かれておらず、推測はしていません。
原文:同 活動状況(令和8年度第1四半期)の都道府県別の表を全国で合計。

令和7年度の窓口相談は四半期ごとにほぼ横ばい(2,412〜2,576件)でしたが、完了は1〜3月に集まっています。ほかの年度の四半期別の表は読んでいないため、毎年そうなるかは分かりません。

県による差:令和7年度の窓口相談

順位 都道府県 令和7年度の窓口相談 累計(平成15年度から)
1 東京都 843件 8,256
2 大阪府 642件 5,038
3 愛知県 496件 3,169
4 静岡県 399件 2,522
5 神奈川県 393件 2,617
43 高知県 101件 875
44 山口県 98件 1,266
45 奈良県 96件 1,034
46 鳥取県 70件 841
47 島根県 65件 789

前提:令和7年度の第1〜第4四半期の件数を当サイトが合計した値で、47都道府県の合計は全国の10,081件と一致します。企業数や人口で割っていないため、窓口の混み具合や利用しやすさの比較には使えません。
原文:同 活動状況(令和8年度第1四半期)。

東京都が843件で全国の8.4%、上位3都府県で19.7%を占めます。最も少ない島根県は65件で、東京都との差は13倍です。中央値は159件でした。
自分の県の窓口が開いている日時や予約方法は、中小企業庁の連絡先一覧から確かめられます。税理士など外部の専門家への相談との使い分けは税理士に相談するタイミングにまとめています。

よくある質問

中小企業活性化協議会に相談すると、取引銀行に知られますか

窓口相談の時点では、要領の手順に債権者へ連絡する工程はありません。支援が適当と判断された場合に、相談企業の承諾を得てから主要債権者に説明します。

中小企業活性化協議会の相談は無料ですか

窓口相談(第一次対応)は無料です。第二次対応で協議会が外部の専門家に依頼する場合は、その活動費等の一部を負担します。収益力改善計画の策定費用は原則無料、再チャレンジ支援も協議会が行う支援は無料です。

債権者の1社が反対すると、計画は成立しませんか

原則として成立しません。ただし、不同意の債権者を除いても計画の実行に影響がないと判断できる場合は、その債権者からの金融支援を除いた変更計画を作り、残る全員が同意すれば成立が認められます。

初めての相談には何を持っていけばよいですか

直近3期分の決算書と、会社の概要が分かる資料です(中小機構の案内)。東京の窓口は、直近の残高試算表と金融機関借入残高一覧も案内しています。事前の予約が必要です。

まとめ

  • 窓口相談のあとに承諾を得てから主要債権者へ説明する順で、相談だけで金融機関に連絡は行かない
  • 計画の成立は対象債権者の全員の同意。貸金業者も対象債権者に含まれる
  • 収益力改善支援は今後6か月間の資金繰りの見通しが目安。再生支援は第二次対応で費用が生じる
  • 令和8年6月末までの累計は窓口相談88,831件、令和7年度は10,081件で、令和7年度の完了は第4四半期に3割以上が集まった

この記事の調べ方

  • 国の実施基本要領と別冊1・別冊2(2026年3月31日改正・改定)の条文を読み、手順・条件・同意の定めを表にしました。中小企業庁・中小機構・東京商工会議所のページで、費用と持参資料を確かめました。
  • 件数は中小企業庁の活動状況(令和8年度第1四半期)の表を転記し、都道府県の合計が全国の値と全列で一致することを計算で確かめたうえで、割合と順位を計算しました。
  • 2026年3月26日付の改定のお知らせは取得できず、改定内容は書いていません。相談から成立までの標準的な期間と第二次対応の自己負担額は、公表資料に数字が見当たらないため載せていません。

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の融資・税務・法律に関する助言ではありません。
協議会の支援を受けられるかどうか、計画が成立するかどうかは、各都道府県の協議会の判断と債権者の同意によって決まります。要領や支援の内容は改定されることがあるため、相談の前に中小企業庁・中小機構と各協議会の最新の案内をご確認ください。
記載した件数の割合は公表値からの単純な計算で、個別の案件の結果を示すものではありません。

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