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資金繰りは税理士に相談していい?頼めること・頼めないことと相談先の振り分け方

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最終更新日:

要点まとめ

  • 相談先は「何を解決したいか」で変わります。
    借りるなら金融機関・日本政策金融公庫、返済が重いなら中小企業活性化協議会、
    日常の数字づくりは税理士、何から手をつけるか分からないならよろず支援拠点です。
  • 税理士に頼める範囲は税理士法で定められています。
    税務代理・税務書類の作成・税務相談のほか税理士業務に付随して財務書類の作成や記帳代行その他の財務に関する事務も行えます。
  • よろず支援拠点は何度でも無料です。
    計画づくりを専門家に頼む費用にも3分の2(計画策定は上限50万円など)を中小企業活性化協議会が負担する制度があります。

行き先を先に決めたいなら相談先の判定表へ。
相談の準備なら持参する資料から読んでください。

資金繰りが苦しくなったとき、多くの経営者がまず頭に浮かべるのが顧問税理士です。
会社の数字をいちばんよく知っている相手だからです。

ただ税理士に頼める範囲と、公的機関のほうが早い場面は別にあります。
順番を間違えると時間だけが過ぎていきます。
以下では何をどこに持ち込むかを先に整理し、そのあと税理士に頼める範囲と
専門家費用を補助する公的制度について書きます。

何を解決したいかで相談先を振り分ける

先に困りごと別の行き先を表にしておきます。

困っていること 最初に行く先 費用
今月・来月の支払いが足りない 取引金融機関、日本政策金融公庫 無料(相談)
新しく借りたい/断られた 取引金融機関、公庫、信用保証協会 無料(相談)
返済が重い。条件を変えたい まず取引金融機関。まとまらなければ中小企業活性化協議会 無料(相談)
抜本的に立て直したい(再生) 中小企業活性化協議会 相談は無料。計画策定は補助あり
資金繰り表を作りたい・毎月見たい 顧問税理士、よろず支援拠点 顧問契約の範囲による
決算書の数字を良くしたい 顧問税理士 顧問契約の範囲による
税金・社会保険料が払えない 税務署・都道府県税事務所、年金事務所(猶予制度) 無料(相談)
経営者保証を外したい 取引金融機関(経営者保証を外すを参照) 無料(相談)
何から手をつければいいか分からない よろず支援拠点 何度でも無料
専門家に計画づくりを頼みたい 認定経営革新等支援機関+中小企業活性化協議会 費用の3分の2を協議会が負担(上限あり)

「お金を出す人と、書類を作る人は違う」という点は押さえておきたいところです。
貸すか貸さないかを決めるのは金融機関で、税理士ではありません。
その代わり金融機関が判断するための数字を整えるのは税理士の領域です。

「税理士に相談すれば借りられる」わけではなく、「税理士に整えてもらった数字を持って金融機関に行く」という順番になります。

残り日数で順番が変わる

もうひとつの軸は緊急度です。資金が尽きるまでの日数で動く順番が変わります。

資金が尽きるまで 先にやること
1か月以内 取引金融機関に今日連絡する。同時に支払いの優先順位(給与・仕入・税金・借入返済)を決める。税理士には資料の準備を並行して依頼する
2〜3か月 資金繰り表を作って不足額と時期を確定させ、金融機関・公庫へ新規または追加の相談。返済が重いなら条件変更も同時に検討する
半年以上 計画づくりに時間を使える段階。認定経営革新等支援機関と計画を作り、補助制度を使う余地がある

残り日数が短いほど相談先は金融機関に寄ります。
補助制度や計画策定は役に立ちますが手続に時間がかかるため、資金が尽きる直前では間に合いません。
余裕があるうちなら費用補助を使って腰を据えた計画づくりができます。

税理士事務所に相談するイメージ

税理士に頼めること・頼めないこと

税理士の業務範囲は税理士法(昭和26年法律第237号)で決まっています。
なんとなくのイメージではなく、条文をもとに線を引いておきます。

税理士法が定める業務

条文 内容
第2条第1項
(税理士業務)
税務代理(申告等について代理・代行する)
税務書類の作成(申告書等を作成する)
税務相談(課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずる)
第2条第2項
(付随業務)
税理士業務のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない
第52条
(税理士業務の制限)
税理士または税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない

表の条文は要約して引用しています(税理士法より)。

資金繰りの支援は第2条第2項の「税理士業務に付随して行う財務に関する事務」として行われるのが普通です。
法律上の業務として必ず含まれるものではなく、どこまで対応するかは顧問契約の内容によります。

実務での線引き

頼めることが多い 税理士の役割ではない
試算表・決算書の作成と説明 融資の可否を決めること(決めるのは金融機関)
資金繰り表の作成・確認 審査に通ることの保証
数値計画・返済計画の作成補助 法律事件に関する法律事務(弁護士等の業務)
税金の申告・納税の猶予の相談 登記手続(司法書士等の業務)
金融機関へ提出する資料の整備 他の法律で制限されている事務(第2条第2項ただし書)

「金融機関との面談に同席してもらえるか」「金融機関への説明資料を作ってもらえるか」は、事務所によって対応が分かれます。
顧問契約の範囲と追加費用の有無は先に聞いておくと後で揉めません。

相談前に用意する資料

どこに相談するにしても持っていく資料はほぼ同じです。
手ぶらで行くと「まず資料を揃えてください」で終わってしまいます。

資料 何を見られるか
決算書(3期分)と法人税申告書一式 収益力、純資産、返済能力。決算書の読み方を参照
直近の試算表(できれば月次) 今期の着地見込み。前期比の変化
資金繰り表(実績と予定) いつ、いくら足りなくなるか。最重要
借入金一覧(借入先・残高・月返済額・金利・保証の有無) 年間返済額と返済負担。保証や担保の状況
売掛金・買掛金の明細(主要先と回収・支払条件) 運転資金の必要額。回収の遅れ
預金通帳の写し(直近数か月) 実際の入出金。資金繰り表との整合
受注残・今後の見込みが分かる資料 売上が戻る根拠

どれから手をつけるか迷ったら資金繰り表が最優先です。
「いつ、いくら足りないのか」が分からないと、どの相談先も打ち手を出せません。
反対にこれが1枚あるだけで話は一気に具体的になります。
資金ショートの兆候が出ているならなおさらです。

相談の場で必ず聞かれること

どの窓口でも最初に聞かれるのは次の3点です。答えを用意しておけば初回で話が前に進みます。

  • いつ、いくら足りないのか。「来月末に400万円」のように月と金額で答えられるようにする
  • なぜ足りなくなったのか。売上の減少か、入金の遅れか、設備投資や在庫の増加か。原因が違えば打ち手も変わります(運転資金の増加が理由なら、その説明自体が融資の材料になります)
  • これからどう戻すのか。受注の見込みや経費の削減、回収条件の見直しなど、根拠のある見通しを1枚にする

この3点が言えないまま相談に行くと、どの窓口でも「まず資金繰り表を作ってください」で終わります。
裏を返せばここを税理士やよろず支援拠点と一緒に作ることが、最初の依頼内容になります。

認定経営革新等支援機関とは

公的な支援制度を使おうとすると必ず出てくるのが認定経営革新等支援機関(認定支援機関)です。

中小企業の経営課題が多様化・複雑化するなかで支援の担い手を増やそうと、
平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)が施行され、
専門性の高い支援事業を行う機関を国が認定する制度が創設されました。

認定を受けているのは商工会や商工会議所などの中小企業支援機関のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士などです。

顧問税理士が認定支援機関かどうかを確かめる

中小企業庁の認定支援機関検索システムで
認定支援機関の活動内容や支援実績等を地域から検索できます。
後述の補助制度は、認定支援機関の支援を受けることが前提です。
顧問税理士が認定を受けているかどうかで使える制度が変わってきます。

公的な相談窓口のイメージ

公的な無料相談窓口

お金をかけずに相談できる窓口は主に次の3つです。

窓口 特徴 向いている相談
よろず支援拠点 国が設置。経営上のあらゆる相談に何度でも無料で対応。47都道府県に設置。中小企業・小規模事業者のほか、創業予定の方も対象 何から手をつけるか分からない。売上・販路・資金繰りなど幅広い相談
商工会議所・商工会 地域の経営相談窓口。認定支援機関として登録されている場合が多い 地域の制度融資、日常的な経営相談
中小企業活性化協議会 国が設置する公正中立な機関。全国47都道府県にあり、都道府県庁所在地の商工会議所や県の公益財団法人等に設置されている 借入金返済など財務の課題。経営再建、計画策定支援の申込み

借入そのものの相談は日本政策金融公庫や取引金融機関が窓口です。
返済の条件変更を考えているならリスケジュールの記事も参考になります。

計画づくりの費用を補助する制度

専門家に頼む費用の3分の2を、中小企業活性化協議会が負担する制度があります(2026年9月時点)。
資金繰りが苦しい会社ほど、これを知っているかどうかで打てる手が変わります。

早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)

資金繰り管理や採算管理などの基本的な経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者が対象です。
認定支援機関が資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図といった計画の策定を支援し、
その計画を早めに金融機関へ出すことをきっかけに経営を見直していく制度です。

費用の種類 補助上限 上限に達する費用 自己負担
計画策定支援費用 500,000円 750,000円 250,000円
伴走支援費用 300,000円 450,000円 150,000円
企業概要書作成費用(任意) 100,000円 150,000円 50,000円
金融機関交渉費用(任意) 100,000円 150,000円 50,000円

※ 補助率は3分の2。「上限に達する費用」「自己負担」は、上限額と補助率から当サイトで逆算した仮設例です。
企業概要書作成費用は事業承継先探索を伴う場合、金融機関交渉費用は経営者保証解除に取り組む場合が対象で、
依頼先は認定経営革新等支援機関である弁護士等に限られます。計画策定と伴走支援を合わせた上限は80万円です。

経営改善計画策定支援(405事業)

金融支援を伴う本格的な経営改善が必要な中小企業・小規模事業者が対象です。

枠 内訳 補助上限 上限に達する費用 自己負担
通常枠 DD・計画策定支援費用 2,000,000円 3,000,000円 1,000,000円
伴走支援費用 1,000,000円 1,500,000円 500,000円
合計 3,000,000円 4,500,000円 1,500,000円
中小版GL枠 DD 300万円+計画策定 300万円+伴走支援 100万円 7,000,000円 10,500,000円 3,500,000円

DDはデューデリジェンス(経営状況や財務状況の調査)。
「上限に達する費用」「自己負担」は補助率3分の2から当サイトで逆算した仮設例です。
申込みは全国47都道府県の中小企業活性化協議会が受け付けています。要件・手続の詳細は最寄りの協議会にご確認ください。

見落としがちなのが金融機関交渉費用の枠です。
経営者保証の解除に取り組む場合の交渉費用にも補助が用意されています。
経営者保証を外す交渉を専門家に手伝ってもらうときに使えます。

どちらの制度を使うか

早期経営改善計画策定支援
(バリューアップ支援事業)
経営改善計画策定支援
(405事業)
対象 資金繰り管理や採算管理などの基本的な経営改善に取り組む事業者 金融支援を伴う本格的な経営改善が必要な事業者
金融機関との交渉 返済条件の変更を前提としない。計画を早期に提出することが端緒 返済条件の変更など金融支援を求めることが前提
補助上限 計画策定50万円+伴走支援30万円 通常枠300万円/中小版GL枠700万円
作るもの 資金実績・計画表、ビジネスモデル俯瞰図など デューデリジェンスを踏まえた経営改善計画

まだ返済は続けられるが、数字の管理を立て直したいなら早期(バリューアップ支援事業)。
返済条件の変更を金融機関に求める必要があるなら405事業。基本の分かれ目はここです。
迷ったときはどちらも窓口が中小企業活性化協議会なので、そこで相談すれば振り分けてもらえます。

顧問税理士が資金繰りに弱いと感じたら

「決算と申告はしてくれるけど、資金繰りの話にはならない」という声はよく聞きます。
すぐに税理士を変える前に、次の順で手を打ってみてください。

変更の前にやること

  • 1|契約の範囲を確認する。資金繰り表の作成や月次の打ち合わせが顧問料に含まれているか。追加費用でできるのか
  • 2|求めることを具体的に伝える。「資金繰りを見てほしい」ではなく「毎月15日までに翌6か月の資金繰り表がほしい」と伝える
  • 3|認定支援機関かを確認する。補助制度を使うなら認定を受けている必要があります
  • 4|足りない部分は公的窓口で補う。よろず支援拠点は無料です。税理士を変えずに片づくこともあります

変更するなら、いつがよいか

それでも合わないなら、引き継ぎの負担がいちばん小さいのは、決算と申告が終わった直後です。
期の途中で変わると新しい税理士が期首から数字を作り直すことになり、費用も手間も増えます。

  • 決算・申告の完了後に切り替える。次の事業年度の初めからが区切りとしてよい
  • 融資の申込みの直前は避ける。金融機関に出す資料の作成者が変わると、説明の一貫性が保ちにくくなる
  • 預けた資料を必ず返してもらう。総勘定元帳、申告書の控え、固定資産台帳、会計データなど
  • 新しい税理士には資金繰りと金融機関対応にどこまで関与するかを契約前に確認する

ちなみに税理士報酬に公的な相場の統計はありません。
金額は業務範囲・訪問頻度・記帳の有無で大きく変わります。複数の事務所から業務範囲を明記した見積りを取って比べるのが確実です。

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税理士の見直しを考えている場合

近くで顧問先を探している税理士の紹介を受けられるサービスがあります。
紹介を受ける場合も資金繰りや金融機関への対応をどこまで手伝ってもらえるかは契約前に聞いておきたいところです。


税理士ドットコムで税理士を探す

※ 紹介される税理士や報酬は、地域・業務内容によって異なります。

よくある質問

資金繰りの相談は税理士と公的窓口のどちらが先ですか

顧問税理士がいるなら、まず税理士に現状を共有するのが早いです。
会社の数字を持っているのは税理士だからです。
そのうえで借入そのものは金融機関や日本政策金融公庫、返済条件の見直しや再生は中小企業活性化協議会が本来の窓口になります。
何から手をつけるか分からないなら何度でも無料で相談できるよろず支援拠点から始めるのも手です。

税理士に資金繰りの相談をするのは業務の範囲内ですか

税理士法第2条第1項が定める税理士業務は税務代理・税務書類の作成・税務相談です。
同条第2項はこれに加えて税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を行えるとしています。
資金繰りの支援はこの付随業務として行われるのが普通です。ただ法律上必ず含まれるものではなく、対応範囲は顧問契約によります。
どこまで頼めるかは契約内容と追加費用の有無で決まります。

計画づくりの費用はどのくらい補助されますか

認定経営革新等支援機関の支援を受けて計画を作るなら費用の3分の2を中小企業活性化協議会が負担します。
早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)は計画策定が上限50万円、伴走支援が上限30万円。
経営改善計画策定支援(405事業)は通常枠が上限300万円、中小版GL枠が上限700万円です。
申込みは全国47都道府県の中小企業活性化協議会が受け付けています。要件や手続の詳細は最寄りの協議会にご確認ください。

税理士を変えるならいつが良いですか

決算と申告が終わった直後が、引き継ぎの負担がいちばん小さいタイミングです。
期の途中で変えると新しい税理士が期首から数字を作り直すことになり、費用と手間が増えます。
融資の申込み直前は避けたほうが無難です。金融機関に出す資料の作成者が変わると説明の一貫性を保ちにくくなります。
変えるときは総勘定元帳や申告書の控え、会計データなど預けた資料を必ず返してもらいます。

まとめ

  • 相談先は何を解決したいかで振り分ける。借入は金融機関・公庫、再生は中小企業活性化協議会、日常の数字は税理士
  • 貸すかどうかを決めるのは金融機関。税理士の役割は、判断材料になる数字を整えること
  • 税理士業務は税務代理・税務書類の作成・税務相談(法2条1項)。財務書類の作成や記帳代行は付随業務(同2項)で、対応範囲は契約による
  • 持っていく資料は決算書3期分・試算表・資金繰り表・借入金一覧が基本。最優先は資金繰り表
  • よろず支援拠点は国が設置し、何度でも無料。47都道府県にある
  • 計画づくりの費用は3分の2を中小企業活性化協議会が負担。早期は計画策定上限50万円・伴走支援上限30万円、405事業は通常枠上限300万円・中小版GL枠上限700万円
  • 税理士を変えるなら決算・申告の直後。融資申込みの直前は避け、預けた資料は必ず回収する

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務・法務・融資判断に関する助言ではありません。
税理士に依頼できる業務の範囲は法令および個別の契約によって決まります。
補助制度の要件・上限額・受付状況は変更されることがあり、記載した「上限に達する費用」「自己負担」は補助率から逆算した仮設例です。
最新の内容と個別の適用可否は、税理士、中小企業活性化協議会、取引金融機関などにご確認ください。

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