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決算書の読み方を10分で。貸借対照表・損益計算書を見る順番と金融機関が見る箇所

最終更新日:

要点まとめ

  • 決算書は損益計算書(PL)より先に、貸借対照表(BS)の右下=純資産から見ます。プラスか、資産合計の何%かで会社の体力が分かります。
  • 利益は売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5つ。区分は会社計算規則で決まっていてどこで利益が消えたかを上から見ると原因が絞れます。
  • 「利益は出ているのに現金がない」は売掛金と在庫の回転期間を前期と比べると見つかります。仮設例では利益560万円に対して現金が1,000万円減りました。主因は回収の遅れ1,250万円と在庫の積み上がり600万円でした。

手順だけ知りたい方は10分点検の順番、数字で追いたい方は仮設例の通し計算からどうぞ。

決算書は税理士に作ってもらって銀行に出すだけの書類になりがちです。でも本当は自社がどれだけ持ちこたえられるのか、どこでお金が詰まっているのかを他人の意見なしに確かめられる唯一の資料でもあります。
以下ではまず見る順番を書き、そのあと仮設例のBS・PLを1組つくって同じ数字だけで指標を最後まで計算していきます。物差しには中小企業実態基本調査から計算した全国平均を並べました。

決算書を見る順番(10分点検の手順)

決算書には数百の数字が並びますが、最初に見る箇所は限られています。次の順番なら電卓ひとつで10分です。「悪い数字を探す」より前期と比べて動いた数字を探すのがコツです。

順 見るところ 確かめること 目安時間
1 BSの右下「純資産合計」 プラスか。マイナスなら債務超過 30秒
2 純資産 ÷ 資産合計 自己資本比率。前期と比べて上がったか 1分
3 BSの「現金・預金」 月商(年商÷12)の何か月分あるか 1分
4 短期借入金+長期借入金 月商の何か月分か。前期から増えたか 1分
5 売掛金・受取手形と棚卸資産 月商の何か月分か。前期より長くないか 3分
6 PLの5つの利益 どこで利益が小さくなったか 2分
7 当期純利益と現金の増減 利益が出ているのに現金が減っていないか 1分30秒

この順番にしているのは会社が潰れるのは赤字だからではなく、支払うお金がなくなるからです。損益計算書で分かるのは「1年間でいくら儲けたか」だけです。手元にいくら残っていて返す借金がいくらあるかは貸借対照表にしか書かれていません。

最初に用意するのは「2期分」

点検は必ず2期分を並べてください。1期だけではその数字が良いのか悪いのか判断できません。
日本政策金融公庫も法人の融資申込みには直近期とその前期の確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含む一式)の2期分を求めています。金融機関が見たいのは変化です。同じ資料を先に自分で見ておくのがこの点検の狙いです。

決算後6か月以上たっている場合などは試算表も必要になります。

貸借対照表を読むイメージ

貸借対照表(BS)の読み方:左右と純資産

左は「使いみち」、右は「出どころ」

貸借対照表は会社法に基づく会社計算規則で「資産」「負債」「純資産」の3つの部に区分して表示すると決められています。紙の上では左に資産、右に負債と純資産が並びます。

位置 区分 意味 細分(会社計算規則)
左(借方) 資産 集めたお金を何に変えたか 流動資産/固定資産(有形・無形・投資その他)/繰延資産
右(貸方) 負債 お金の出どころのうち返すもの 流動負債/固定負債
純資産 お金の出どころのうち返さなくてよいもの 株主資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金ほか)/評価・換算差額等/株式引受権/新株予約権

左右の合計が必ず一致するのは集めたお金の総額(右)と、それが今どんな形になっているか(左)を同じ金額で両側から書いたものだからです。

右下の純資産がいちばん大事

純資産は資産をすべて処分して負債を返したときに残る計算上の金額で、中心は資本金と利益剰余金(これまでの利益のうち社外に出さずに積み上げた分)です。

  • 純資産がマイナス=債務超過。資産をすべて売っても負債を返しきれない状態で、新規の融資はまず通らなくなります
  • 利益剰余金がマイナスなら過去の赤字が資本金を食っている状態。資本金が大きいと純資産はプラスのままなので見落としやすい箇所です
  • 純資産が前期より減っていれば原因は赤字か、配当・役員賞与などの社外流出です

純資産が資産合計に占める割合を自己資本比率といいます。中小企業実態基本調査はこれを「純資産÷総資本(総資産)×100」と定義していて中小企業(法人企業)の全産業加重平均は令和6年度決算で44.93%でした(前年度より0.53ポイント上昇)。

加重平均値は各統計表の中小企業全体の合算値で計算されたものです。

流動と固定の分かれ目

資産も負債も「流動」と「固定」に分かれます。1年以内に現金になるもの・支払うものが流動です。会社計算規則は現金及び預金・受取手形・売掛金・棚卸資産などを流動資産、支払手形・買掛金などを流動負債に区分すると定めています。
ここから出てくるのが流動比率(流動資産 ÷ 流動負債 × 100)です。短期に支払うものに対して短期に現金化できるものがどれだけあるかを見ます。法令ではなく実務で広く使われている計算式です。

損益計算書(PL)の読み方:5つの利益

損益計算書は会社計算規則で売上高/売上原価/販売費及び一般管理費/営業外収益/営業外費用/特別利益/特別損失の項目に区分して表示すると定められていて、ここから利益が5段階で計算されます。段階ごとに引かれるものが違うのでどこで利益が小さくなったかを上から追えば原因が絞れます。

段 利益の名前 計算 何が分かるか
1 売上総利益(粗利) 売上高 − 売上原価 商品・サービスそのものの儲け。値引きや仕入値の変化が出る
2 営業利益 売上総利益 − 販売費及び一般管理費 本業の儲け。人件費・家賃・広告費の使いすぎが出る
3 経常利益 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用 毎年くり返される実力。支払利息の重さが出る
4 税引前当期純利益 経常利益 + 特別利益 − 特別損失 今期だけの臨時の損得を反映した額
5 当期純利益 税引前当期純利益 − 法人税等 など 最終的に残る額。純資産(利益剰余金)に積み上がる

会社計算規則の条文では「売上総損益金額」などと呼び、マイナスのときは損失として表示します。

どこで消えたかで打ち手が変わる

  • 売上総利益の率が落ちた → 売値か仕入値の問題。値決めと仕入条件を見直す
  • 売上総利益は保てているのに営業利益が落ちた → 固定費の増加。販管費の中身を前期と比べる
  • 営業利益は出ているのに経常利益が小さい → 支払利息が重い。借入の本数・金利・返済期間を組み直す
  • 経常利益は出ているのに当期純利益が小さい → 特別損失。今期限りの要因か毎年出ているのかを確かめる

特別損益は毎年起きるものではないので会社の実力は経常利益までで見るのが通例です。

仮設例のBS・PLを同じ数字で最後まで計算する

ここからは仮設例で、実在の企業ではありません。製造業・年商3億円のA社という設定でBSとPLを1組つくり、そこに書いてある数字だけで指標を計算します。

A社の損益計算書(単位:千円)

項目 金額 売上高比
売上高 300,000 100.0%
売上原価 216,000 72.0%
売上総利益 84,000 28.0%
販売費及び一般管理費 72,000 24.0%
営業利益 12,000 4.0%
営業外収益 500 0.2%
営業外費用(支払利息など) 2,500 0.8%
経常利益 10,000 3.3%
特別損失(固定資産除却損) 2,000 0.7%
税引前当期純利益 8,000 2.7%
法人税等 2,400 0.8%
当期純利益 5,600 1.9%

仮設例です。売上高比は小数第2位を四捨五入。減価償却費8,000千円は売上原価と販管費に含まれるものとして、後のキャッシュの計算で使います。

A社の貸借対照表(期末・単位:千円)

資産の部 金額 負債・純資産の部 金額
現金・預金 25,000 支払手形・買掛金 36,000
受取手形・売掛金 62,500 短期借入金 20,000
棚卸資産 36,000 その他の流動負債 14,000
その他の流動資産 2,500 流動負債合計 70,000
流動資産合計 126,000 長期借入金 70,000
有形固定資産 70,000 固定負債合計 70,000
無形固定資産 2,000 負債合計 140,000
投資その他の資産 6,000 資本金 10,000
固定資産合計 78,000 利益剰余金 54,000
純資産合計 64,000
資産合計 204,000 負債・純資産合計 204,000

この2枚だけで計算できること

月商は「売上高 ÷ 12」で25,000千円。これを物差しにするとBSの各項目が「何か月分か」に置き換わります。

指標 計算式 A社の計算 結果
自己資本比率 純資産 ÷ 資産合計 × 100 64,000 ÷ 204,000 31.4%
流動比率 流動資産 ÷ 流動負債 × 100 126,000 ÷ 70,000 180.0%
売上債権回転期間 (受取手形+売掛金)÷ 月商 62,500 ÷ 25,000 2.50か月
棚卸資産回転期間 棚卸資産 ÷ 月商 36,000 ÷ 25,000 1.44か月
仕入債務回転期間 (支払手形+買掛金)÷ 月商 36,000 ÷ 25,000 1.44か月
営業運転資本 売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務 62,500+36,000−36,000 62,500千円
(2.50か月)
現金・預金の月商倍率 現金・預金 ÷ 月商 25,000 ÷ 25,000 1.00か月
借入金の月商倍率 (短期+長期借入金)÷ 月商 (20,000+70,000)÷ 25,000 3.60か月
総資本回転率 売上高 ÷ 資産合計 300,000 ÷ 204,000 1.47回
財務レバレッジ 資産合計 ÷ 純資産 204,000 ÷ 64,000 3.19倍

仮設例にもとづく計算です。回転期間や流動比率の算式は法令で決まっているものではないので、金融機関によって扱いが違うことがあります。自社の数値の評価は取引金融機関や税理士に聞くのが確実です。

A社は本業で12,000千円の黒字で、最終利益も5,600千円のプラスです。それなのに手元の現金は月商1.00か月分しかなく、売上債権は2.50か月分あります。この差の出どころを次に見ます。

「利益は出ているのに現金がない」をどこで見抜くか

前期と並べると原因が出てくる

A社の前期は売上高270,000千円(月商22,500千円)でした。当期と並べます。

項目 前期 当期 増減 回転期間(前期→当期)
売上高 270,000 300,000 +30,000 月商 22,500 → 25,000
受取手形・売掛金 45,000 62,500 +17,500 2.00か月 → 2.50か月
棚卸資産 27,000 36,000 +9,000 1.20か月 → 1.44か月
支払手形・買掛金 30,000 36,000 +6,000 1.33か月 → 1.44か月
現金・預金 35,000 25,000 −10,000 1.56か月 → 1.00か月

売上が30,000千円伸びた以上、売掛金も在庫も増えて当然です。大事なのは「売上が伸びた分」と「条件が悪くなった分」を分けることで、前期の回転期間を当期の月商に当てはめた金額と比べれば分かれます。

項目 前期の回転期間を保っていたら 実際 売上増による自然増 条件悪化による増加
受取手形・売掛金 2.00か月 × 25,000 = 50,000 62,500 +5,000 +12,500
棚卸資産 1.20か月 × 25,000 = 30,000 36,000 +3,000 +6,000

A社では回収が0.50か月分遅れて12,500千円、在庫が積み上がって6,000千円、合計18,500千円が余計に寝ています。仕入債務の増加6,000千円を差し引いた運転資本の増加は20,500千円で、当期純利益5,600千円をはるかに超えます。これが「黒字なのに金庫が軽い」の正体です。

利益から現金までをつなげる

利益と現金の差を足し引きすると次のようになります。当期純利益から出発して、現金を伴わない費用(減価償却費)を戻し、運転資本の増加を引くのが基本の形です。

項目 金額(千円) 説明
当期純利益 +5,600 PLの最終利益
減価償却費 +8,000 費用だが現金は出ていかない
売上債権の増加 −17,500 売れたが、まだ入金されていない
棚卸資産の増加 −9,000 仕入れたが、まだ売れていない
仕入債務の増加 +6,000 仕入れたが、まだ払っていない
本業で増えた現金 −6,900 黒字なのにマイナス
設備投資 −6,000 機械の購入
借入金の純増 +2,900 新規借入 − 返済
現金・預金の増減 −10,000 期首35,000 → 期末25,000

この形はキャッシュ・フロー計算書の営業活動の区分(間接法)と同じです。ただキャッシュ・フロー計算書は会社法上の計算書類には含まれません。会社計算規則が定める計算書類は貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の4つです。
中小企業の決算書に入っていないのはこのためで、ないなら上の表のようにキャッシュフロー計算書を自分で組み立てるしかありません。

金融商品取引法の適用を受ける会社などは、別の法令で作成が求められる場合があります。

回収が遅れているなら売掛金の回収、在庫が積み上がっているなら在庫と資金繰りが打ち手の入口です。どちらも運転資金と直結します。

在庫と売掛金の異常を見つける3つの角度

売掛金と在庫は決算書のなかでもっとも先に異常が出る場所です。次の3つの角度で見ます。

角度 見方 異常のサイン 考えられる中身
1 前期比 回転期間が前期より0.3か月以上長くなった 回収サイトの延長、滞留在庫、回収できていない請求
2 売上との比較 売上高の伸び率より売掛金・在庫の伸び率が大きい 期末の前倒し計上、返品予定の出荷
3 中身の年齢 勘定科目明細に1年以上動いていない先・品番がある 回収不能の売掛金、評価損未計上の不良在庫

いちばん役に立つのは3つめです。合計金額だけでは健全な残高と焦げ付きが混ざって見えます。勘定科目明細書は公庫の融資申込みでも求められる書類です。金融機関は明細まで見る前提なので、自分でも先に開いておきます。

追加で必要になる現金 = 伸びた回転期間(か月)× 月商

A社の売上債権回転期間は2.00か月から2.50か月へ0.50か月伸びました。月商25,000千円なので0.50 × 25,000 = 12,500千円が追加で必要です。
逆にいえば回転期間を0.50か月縮めれば12,500千円の現金が戻るわけです。借入を増やさずに現金を作る方法がここにあります。
月単位で資金の出入りを追う手順は資金繰り表の作り方にまとめています。

全国平均と比べる

自社の数字が良いのか悪いのかは前期との比較とほかの中小企業との比較で判断します。後者の物差しになるのが中小企業庁の中小企業実態基本調査です。最新の令和7年確報(令和6年度決算実績)の集計表から中小企業(法人企業)全体の合算値で計算した数値を並べます。

指標 中小企業(法人企業)
全産業
A社(仮設例) 読み方
自己資本比率 44.93% 31.4% 平均を13ポイント以上下回る
流動比率 190.1% 180.0% ほぼ同水準
売上債権回転期間 1.46か月 2.50か月 約1.0か月長い
棚卸資産回転期間 1.05か月 1.44か月 在庫を多く持つ
仕入債務回転期間 1.15か月 1.44か月 支払は遅い
現金・預金の月商倍率 2.66か月 1.00か月 手元資金が薄い
売上高総利益率 25.2% 28.0% 粗利は厚い
売上高営業利益率 3.66% 4.0% 本業の利益率は平均以上
売上高経常利益率 4.44% 3.3% 支払利息で平均を下回る
総資本回転率 1.07回 1.47回 資産は効率よく回している

自己資本比率44.93%・総資本回転率1.07回・売上高経常利益率4.44%は調査の概況で公表されている値です。それ以外は集計表「2.資産及び負債・純資産(法人企業)」「3.売上高及び営業費用」の合算値から当サイトで計算した参考値です。中小企業(法人企業)の加重平均なので、業種や規模によって大きく違います。

A社は本業の利益率は平均より高いのに、経常利益率は平均を下回ります。理由は支払利息で、背景にあるのは売掛金と在庫に資金が寝ていることです。「粗利は取れている。詰まっているのは回収と在庫」という読み方がこの1枚でできます。

ただ自己資本比率は業種差が大きく、同じ調査の産業大分類別だと学術研究・専門技術サービス業66.86%、宿泊業・飲食サービス業31.01%(令和6年度決算)です。全産業の平均だけを物差しにすると判断を誤ります。

金融機関が決算書を確認するイメージ

金融機関は決算書のどこを見るか

中小企業庁は中小企業の会計情報の開示先として「取引先、金融機関、同族株主、税務当局等」を挙げています。金融機関が決算書をどう使うかは公表資料から次のように読み取れます。

場面 決算書がどう使われるか 確認できる資料
融資の申込み 法人は直近期とその前期の確定申告書・決算書(一式)の2期分を提出。勘定科目明細書を含む 日本政策金融公庫の必要書類案内
信用保証料率の決定 中小企業信用リスク情報データベース(CRD)により確定決算内容を評価して料率区分(9区分)を決定 東京信用保証協会の料率体系
財務内容の評価 一定の条件を満たす借入金は資本とみなして取り扱うことが可能(資本性借入金) 金融庁の監督指針改正

保証料率の体系は保証協会や制度によって違います。

動いた理由を説明できるようにしておく

金融機関が2期分を求めるのは変化を見るためです。数字そのものより動いた理由を説明できるかが大事になります。点検の締めくくりとして次の3つを一言で言えるようにしておくと安心です。

  • 売上が増えた(減った)のはなぜか。単価か数量か、取引先の増減か
  • 利益率が動いたのはなぜか。原価か、固定費か、一時的な損失か
  • 借入が増えた(減った)のはなぜか。設備投資か、運転資金の増加か、赤字の穴埋めか

3つめを「運転資金の増加」と説明できる状態にしておくのが理想です。回転期間の変化を根拠に示せれば借入の必要性が数字で裏づけられます。逆に赤字の穴埋めの借入が続いているなら事業の立て直しが先です(銀行に融資を断られたとき)。

よくある質問

決算書はどこから見ればいいですか

貸借対照表の右下にある「純資産合計」からです。マイナスなら債務超過なので、ほかの数字より先に手を打つ必要があります。
次に純資産を資産合計で割った自己資本比率と、現金・預金と借入金が月商の何か月分かを見て、そのあとで損益計算書の5つの利益を上から追います。2期分を並べるのが前提です。

貸借対照表の左右は何を表していますか

右側がお金の出どころ、左側がその使いみちです。右側は返す必要のある「負債」と返さなくてよい「純資産」に分かれます。左側は集めたお金が現金・売掛金・在庫・設備などどんな形になっているかを示します。
左右の合計が必ず一致するのは同じ金額を両側から書いているからです。会社計算規則では貸借対照表を資産・負債・純資産の3つの部に区分して表示すると定められています。

5つの利益のうちどれをいちばん重視すべきですか

一般には本業の儲けを示す営業利益と、そこに支払利息などを加減した経常利益が重視されます。特別利益・特別損失は毎年起きるものではないので、会社の実力は経常利益までで見るのが通例です。
とはいえ純資産に積み上がるのは当期純利益です。5つを上から追って「どこで利益が小さくなったか」を確かめるのがいちばん役に立ちます。

利益が出ているのに現金が残らないのはなぜですか

多くは売掛金と在庫が増えているからです。売上が立っても入金は先、仕入れても売れるまでは在庫のまま。こうして現金が寝てしまいます。
当期純利益に減価償却費を足し戻して売上債権と棚卸資産の増加を引き、仕入債務の増加を足すと本業で現金がいくら増えたかが分かります。仮設例では最終利益560万円に対して本業の現金は690万円のマイナスでした。

まとめ

  • 決算書はBSの右下「純資産」から見る。プラスか、資産合計の何%か、前期から増えたか
  • 貸借対照表は右がお金の出どころ、左が使いみち。会社計算規則で3つの部に区分される
  • 利益は売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5段階
  • BSの各項目は月商で割って「何か月分」に直すと規模の違う会社と比べられる
  • 「黒字なのに現金がない」は売掛金と在庫の回転期間を前期と比べると原因が出る
  • 回転期間が伸びた分 × 月商が追加で必要になる現金。縮めれば借入を増やさずに現金が戻る
  • 物差しは中小企業実態基本調査。自己資本比率は全産業加重平均44.93%(令和6年度決算実績)
  • 金融機関は2期分の決算書と勘定科目明細を見る。決算内容は信用保証料率にも直結する

このページについて

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の資金調達・会計・税務についての助言ではありません。
法令の定めと中小企業庁の統計値は2026年9月時点の内容で、改正・更新されることがあります。
記載した貸借対照表・損益計算書と計算例は説明のために単純化した仮設例で、実在の企業のものではありません。
自社の決算書の評価や会計処理は取引金融機関または税理士にご相談ください。

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